ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

言葉が短縮されるとどうなるのか?

2016年09月02日 18時50分01秒 | ことば
外国から導入された現象や文化が日本社会の間で広まっていくときに、その現象を現した言葉が短縮されて使われることがあります。

例えば、古くは「サイケデリック・ムーヴメント」を「サイケ」と言ったり、サイケ調と言ったりしました。また「アンダーグラウンド」を「アングラ」と言います。アングラ劇団とかアングラ映画などとも言われていました。
「イラストレーション」を「イラスト」と言い、「アニメーション」を「アニメ」と言ったりしますね。

言葉が縮められて流布していっても、意味が分かるんだからそれでいいじゃん、という意見を聞くことがあります。
でも縮められた言葉には、それが出来た時の元々含まれていた意味が省略されているような気がします。

一例を挙げると、「アンダーグラウンド」は、ブロードウエーなどの華やかな劇場での公演ではなく、小さな地下室のような所や薄暗い倉庫のような場所でしか公演できなかった、またそのようなところで行うことに意味を見出した若者によって行われた演劇や映画や音楽の運動だったのです。

「アンダー・グラウンド」は華やかな地上ではなく、文字通り<地下で生まれたカルチャー>だったのです。
日本語で「アングラ」と書かれる時、<地下>の意味はあるのでしょうか。
せいぜいあるとすればアングラは「暗蔵」ぐらいでしょうかね。

もう一つの例として、イラストとアニメを考えてみましょう。
これらの言葉の原語は、イラストは英語の<illustration>に基づいています。
アニメは英語の<animation>の日本語での読みを省略したものです。

ここで原語の「・・・・tion」に注目してみたいと思います。

動詞に -tion を付けると名詞になり、動作・状態・結果などを表します。
例えば動作するという意味の単語はactですがそれにtionの接尾語をつけると「アクション」となります。

■-tionが付く単語例
add(追加する)    → addition(追加) 
satisfy(満足させる) → satisfaction(満足) 
suggest(提案する) → suggestion(提案) 
construct(建築する) → construction(建築)
inform(知らせる)  → information(情報) 

これを見てもわかるように、「・・・・tion」は形は名詞ですがその中には何らかの動作をすることの意味が元々付与されているのです。
これが日本語として使われるとき、「・・・ション」には元々あった動作の意味が薄らいでいき、さらにそれが短縮されて使われるとさらにその薄らぎは大きくなると思えてくるのです。

今は、多くのカタカナ語が使われています。その語源を考えることなしに使うことはどうなのかなと思ってしまいます。













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