「美しい」とはどうゆう事なのか？

私たちは何気なくいろんな言葉を日常の生活の中で使っています。
それらの言葉でみんながわかっているようで、本源的にはわかりにくい言葉として、「美しい」があります。

そもそも、「美しい」とはどんなことを言うのでしょうか。

「美しい」という形容詞は様々な事柄や物に対して付けられています。
例えば、整った顔立ちと均整のとれた姿態を持つ女性に対して、あの人は美しい人だ言います。
また、富士山のように対称の形で独立峰のような山の姿を美しいと感じることもあります。
さらには、ある人が周囲の環境に惑わされることなく自分の意思を貫き他人の為に何かを成し遂げた時などを称して「あの人の生き方は美しい生き方であった」などという事もあります。

ここで少し視点を変えて、美の付く言葉を思いつくままに挙げてみましょう。
美人、美女、美男子、美少女、美少年、美品、美本、美山（？）、美術、美学、美点、美食、美貌などが挙げられます。

しかし、形が美しい車を「美車」とは言いません。同じように美しい家を「美家」とも言いません。
美女や美男子はいますが「美赤ちゃん」はいません。「美老女」もいません。
ですから、美しければ何でも美が付きそうですが、一般に「美」を付けない言葉の方が多い事に気がつきますね。

美しいは、ある特定のモノや事柄につく形容詞である事に気がつくと思います。
私たちが「美しい」を感じる感性には、特定の分野に限られている事に気がつきます。

「美しい」の概念は実体を伴う事物だけに付く形容詞ではありません。
優美な調べの音楽を聴いたときに、その旋律に美しさを感じることはあります。
生の演奏はその時に聴いた聴衆がその時に限り、経験できる美しさです。
ですがその調べの持つ「美しさ」は深く脳裏に焼き付けられるます。

このように「美しい」と感じる事は、実は実体に備わっているものではありません。
あくまで、その事を感じたものだけが持つ経験なのです。

このように経験が積み重なって、いつの間にか私たちは他人の経験を、あたかも自分自身が経験したかのように、「美しさ」を感じることが出来るのでしょう。
ですから、本来の美しさは人により差異があるのにも関わらず、共通の認識とした「美しさを」を感じているのでしょう。

自分が見つけることが出来る「美しさ」を求めて行きたいと、思います。