ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

「〇〇力(リョク)」について

2017年12月11日 19時22分50秒 | ことば
世間では色んな事柄について、技術や能力がが高い事を「〇〇力」がある、という事があります。
例えば歌手を評価するときなどに使われています。
あの人の「歌唱力」は素晴らしいとか言っていますね。
また、その歌手が情感を込めて歌ったりする時には「表現力」が豊かだ、という事もあります。

これ等の場合、「〇〇力」の「力」とはどの様な尺度なのでしょうか?

「力」と言うのはそもそも、力学や物理の概念であることは知っていますね。
地球と人工衛星との引力が釣り合っているから、人工衛星は宇宙空間に飛び出すことも、地球に落下することもなく飛び続けるんだ、というふうに「〇〇力」は使われています。
また、自動車やバイクのブレーキの性能の事を「制動力」と言います。
動いている車両が短い距離で停止出来ることを、制動力が高いと言っております。
これ等の「〇〇力」の使い方は力学の概念です。
この言葉の使い方は、力学や物理学の方面以外にも、使われることが多くあります。

そこで、この言葉がどのように使われているのかを見てみましょう。
思いつくままに挙げてみましょう。
歌唱力、表現力、指導力、学力、適合力、創造力、文章力、技術力、能力、回復力、攻撃力、防護力、遠心力、求心力・・・などなど。
そしてそれらの能力が高くない事を「非力」と言ったり、「無力」と言ったりします。
近頃の政治や軍事の分野では「敵の攻撃力を無力化する」と言うように使われております。

さてここで、歌の上手いと思われている歌手がいると仮定しましょう。
その人が歌唱力が高いと言われているとしましょうか。
この場合の歌唱力を評価する基準にはどんなものがあるのかを考えてみましょう。
音程の正確さ、発声の大小、リズムが楽譜と違っていないか、そしてメロデイに応じた歌い方をしている事、などでしょうか。
歌を唄う時に、それらの各点で総合的に大きい事を、歌唱力があると言っているのでしょう。
ですが、歌手の方の「歌唱力」は力学や物理学での使われ方に比べると、かなり主観的な要素が多い事に気がつきます。
厳密な評価の基準が定まっていない気がするのです。

この「〇〇力」は年齢や社会経験によって、違っているのでしょうか。
同じ歌を年代の離れた歌手が歌う事を考えてみましょう
歌詞の内容の解釈はその人の経験や過ごしてきた生活の環境により、感じ方が異なっていて当然です。
歌詞の内容をどのように考えるかにより、歌い方も又違ったものになる事はあり得るのです。

そんなわけで、私など老人に片足を突っ込んでいるものには、指導力、学力、適合力、創造力などの積極的な力はもはや必要はありません。
これからのわたしなどに必要なのは「反省力」かと思うのです。
そして、「老人力(赤瀬川源平らの造語)」や「ひきこもり力やボケ力(ともにわたくしの造語)」がふさわしいのでしょう。
そして、出来るなら「協調力」があれば言う事なしなのでしょう。





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