フェラーリ５００スーパーファスト（２）

ボディの下拵えをおこないました。ワイヤブラシで磨いてへアライン状態です。

フェニックスのメタル鋳造は非常に高品質で、表面もわりとキレイなんですが、それでもペーパーを当ててみると面の歪みは結構あります。
全体を６００番で磨いて面を出し、柔らかい真鍮のブラシで磨いて下地を仕上げます。
これは表面を整えると同時に、アシ付けの意味もあります。

スジ彫りは例によって改造Ｐカッターで彫り込み。メタルが柔らかく、気泡が少ないので引っ掛かる所もほとんど無いので、サクサク彫れて気持ちがイイです。

外装パーツ取付け用の下穴は、全て説明書にドリル径が指定されていますが、塗装の厚みを考えて少し大きめにしておきます。
リアバンパーの取付け穴は左右に２個ずつでしたが、外側のは目立つので埋めてしまい、内側のみドリルを入れました。

あと、忘れちゃいけないのがフロントグリル。楕円形の枠の中にエッチングの格子を入れるんですが、枠の中はコンマ５ミリ程の凹みがあるだけで、中は真っ平です。そこにエッチングをペタッと貼付けるだけ。
それではいくら何でもリアリティに欠けるので、枠の中をリューターで彫り込んで、凹みの深さを２ミリくらい深くしました。
ノーズの部分の肉厚がすごく厚いので、貫通させるのはちょっと無理。でも、格子の奥に少し空間があれば、かなり表情は良くなります。

さて、そろそろ前回におわせた「重大な問題」について触れておきますか。
この写真だとパースのせいでほとんど判りませんが、実は、このボディ、かなり歪んでいるんですね。
それも、ちょっとルーフの真ん中が落ちてるとか、ピラーが倒れぎみだとか、そういうアマッチョロイ歪みじゃない。そういうんなら、ちょっと指で押してやるだけで矯正できますが…。

上から見ると、全体が平行四辺形。ボディの左側が右側よりも１ミリくらい後ろにズレてる。
ノーズは丸いので一見判らないんですが、Ａピラーあたりから後ろでは歪みがハッキリ判ります。局所的なズレではなく、ルーフも平行四辺形で、という事は左右のサイドウィンドウもズレてるし、テールエンドは完全に斜めになってます。それにともなってテールエンドの絞り込みも左右で違っています。
これは…修正のしようがないぞ。

いったい何でこんな事になったのか。
ルフ程の名手がこんな歪んだ原型を作る筈が無いので、おそらく鋳造時に発生した歪みでしょう。
ヨーロッパのメーカーでは、メタルの湯が隅々まできちんと流れるように、ゴム型を回転させて鋳造しているらしいという噂を、聞いたことがあります。
遠心鋳造機？　ホントかどうか知らんけど、もしそうなら、ちょっと回し過ぎちゃったんでしょうな（笑）。
今日はいつもより余計に回しております！なんちゃって。
そういえば、以前レーシング４３のキットで、ボディ全体が片方に倒れているのを作った事がありました。あれも遠心力の影響かな。

ま、修正しようと思えば出来ない事は無い。でも、４本のピラーの位置、すべてのスジ彫り、ホイールアーチの位置、全て直さないとダメ。ボディそっくり作り直した方がむしろ早い。

一瞬だけ考えました。
表面のモールドをすべて削り取り、ウィンドウも埋めて基本形状に戻した上で、左右対称をキッチリと出す。それをマスターに、ゴム型取ってレジンで複製して、窓枠やスジ彫りをやり直す。
メタルキットがレジンキットに化けちゃうし、キットもう１つ買うくらいカネもかかるけど、左右対称は出せるわね。
もちろん、そんなバカげた事をやるつもりはありません。

じゃあどーするのかというと…このまま作ります。

こういう全体に均等な歪みは、１ケ所だけ直すとますますそこが目立ってしまうものです。
だいたい、クルマって真上から見るもんじゃないし。この写真みたいに、角度がついたアングルでは歪みはほとんど判らない。
実際、１０年以上キットの状態で持ってて気が付かなかったくらいですから。

ということで、全部無かったことにして（笑）、次へ進みます。
世の中にはどーにもならん事もある。どーにもならん事はさっさと諦める。そして忘れる。
これもオトナの知恵。