LITTLEWHEEL Modeler's Diary

モデルフィニッシャー北澤志朗が、カーモデル作りに明け暮れる日々の暮らしを赤裸々に綴ります。

宇宙戦争

2005年07月06日 22時56分46秒 | 映画&小説関連
スピルバーグ監督の話題作、見て来ました。

とりあえず良く出来た映画だとは思います。見る価値はあるか? 一応あると思います。しかし、面白かったか?と問われると、ちょっと考えちゃいますねえ。
別に途中で飽きちゃったとか、眠くなったとかってワケじゃないのね。ちゃんと最後まで観たし、それなりに楽しめました。
しかしこの映画、最近ちょっと疲れ気味だから映画でも見てスカッとするか、なんてナメた気分で見に行くと、裏切られます。

その理由はね、多分、あまりにリアルすぎるからだと思います。
あまりにもリアルに普通の人を演じたトム・クルーズ、あまりにもリアルになすすべもなく殺されまくり、あまりにも愚かで身勝手な一般群集。あまりにもリアルに人類を地面を這う虫くらいにしか見ていない異星人。あまりにもリアルに弱くてやられる一方の軍隊。
実際に異星人の侵略があったら、こうなるかも、とは思いました。コミュニケートしようのない異質な存在に対する生理的な恐怖が濃密に描かれています。

しかし、それをこうまで夢も希望もなくリアルに描いて、一体何を言いたいのスピルバーグさん?って聞きたくなりました。

もちろん、そのココロは判っています。相手が宇宙人だろうとどこかの国だろうと、戦争になったら我々一般人はこういう目にあう。家族を守ろうとあがきながら、ひたすら逃げて生き延びようとするしかない。ヒロイックに戦いを挑む余裕なんか、無いわけです。どうよ戦争って。ひどいもんだよ。それでもやりたいか?ってわけね。

そういうわけでこの映画、一見すると非常に壮大なスケールのSFスペクタクルのようですが、本質は違うんですね。巨大な暴力にさらされてなすすべも無く翻弄される、無力な1人の男の個人的な物語。
エンドロールが流れてる時に気がつきました。ああ、これって「未知との遭遇」の裏側にある映画だったんだな。
あれも、壮大なスペクタクルのフリをしていながら本質的には非常にパーソナルな、異質なものに出会ってしまった1人の男の心の混乱を描いた映画でした。

結構けなしちゃったけど、異星人のマシンが街を破壊し、人々を殺戮するシーンは非常に迫力があります。寒々とするような恐怖感。映画的なカタルシスとは違う温度感が痛いです。
それは、9ー11がスピルバーグ監督の心に残した痛みなのかもしれません。

ま、私は根本的にお気楽志向な人間なので、同じ異星人の侵略なら「インデペンデンス・デイ」の方が好きだな。自分は逃げまどうのではなく、勇気を振り絞って戦う人々の1人でありたいと思うからです。イザその時に果たしてそれが出来るかどうかは判らないけどね。


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