つれづれなるままに

今、もっとも関心のある出来事を備忘録としてつづります。2005年から。

「教えて考えさせる授業」を創る 基礎基本の定着・深化・活用を促す「修得型」授業設計

2014-06-26 | 

書名:「教えて考えさせる授業」を創る 基礎基本の定着・深化・活用を促す「修得型」授業設計
著者:市川伸一
図書文化、2008年初版

感想
まず、理科が少ないが、理科の考え方の内、予習に関しては納得できる。また、帰納的な道筋で理科は授業を行っているが、科学者が何年もかかって到達した真理を子どもらがものの1時間で到達させる現行のやり方に疑問があることから、納得できる。
ただし、教えて考えさせるというフレーズが学校現場で一人歩きし、従来の一斉指導で良いんだ、と納得している人が見られる。必要最低限の基礎基本を教えるという部分が、教師によって幅がありすぎる。

気になった部分
p.4:教えずに考えさせる授業の特徴
・授業中に教科書をつかわない(閉じておく、もしくは、しまうように教示される)。
・予習を促さない( 「してこないでよい」あるいは、より強く「してこないように」と教示される)。
・「○○のしかたを考えよう」という呼びかけで始まる(教科書や教師の説明を理解するのではなく、計算の仕方や面積の公式などを全て自力発見せようとする)。
・新しい概念については、教師からは教えず、具体的操作活動を行わせて、そこから帰納的に導かせようとする。
・多様な考えを出すことを促す(「いろいろな意見を出し合いましょう」と呼びかける)。


 p.22~ 鏑木良夫先生の理科の授業例
 理科でこそ、教えて考えさせる授業
理科というのは、ふつうは、「教えて考えさせる授業」がもっとも反発される教科です。「先に実験の結果を知ってしまったら、子どもの関心や意欲がそがれる」「結果がどうなるかを考えさせてから、実験するのが当然だ」、あるいは、「ビックリするような実験を見せて、興味を引きつけてから授業に入る」というのが、伝統的な理科教育での意見です。ましてや、予習で教科書を読んでくることが奨励されることはまずありません。

p.26~ 教えて考えさせる授業の段階
・「教える部分」(教材、教具、操作活動などの工夫、
・「考えさせる第1ステップ」(教科書や教師の説明が分かっているかを確認する子ども同士の説明活動)
・「考えさせる第2ステップ」(問題解決部分、問題解決深化課題を与える。)
・「考えさせる第3ステップ」(メタ認知的活動)

p.41~ 第2章 授業の実際「72÷3のように繰り下がりのある割り算」
教科書では、色紙の10枚束7つと2枚の色紙を3人の子どもに分ける事例を示している。
著書では、10円玉7枚と1円玉2枚を代表者3名に分ける方法を解いている。
教科書の方法でない方法を「教える部分」で使用し、第1ステップで、教科書を読むことを行っている。
教科書の方法は、10枚の束ねている髪をほどくことが必要だが、10円玉を1円玉10枚に換えるのは、生活感として定着していることから,繰り下がりの概念を掴みやすいと思われる。
p.60
教師の説明を受けただけでは、分からない子がいることが大前提の学習方略である。

p.94 予習の方法
5分間だけでも呼んできて、分からないところに付箋紙を貼ってくる。

p.96 これからの授業
これからの学校では、「教科書を先に読まれると困る」という授業ではなく、「教科書を活用し,教科書を超える授業」

p.110~ 理解深化課題として何を用意するか
(1) 子どもが誤解しがちな問題
 例:浮力、海面下と深海の浮力に違いがあるか。
(2) 習ったことを応用発展させる問題
 例:複合図形の面積、応用問題で様々なとき方がある場合。うまい問題の解き方とまずい問題の解き方を考えさせる。
 


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