切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

《 ロシアによるウクライナへの侵略という暴挙 》 ⑨  2022.3.10

2022-03-10 23:38:24 | 社会


◆ 戦術核兵器の使用はあるのか?

  ロシアによるウクライナへの侵略戦争は2週間を超えた。プーチン大統領の当初の思惑は大きくはずれウクライナ軍の抵抗が予想以上に激しく、首都キエフの包囲および陥落はいまだならずといった状態になっている。伝えられるところではこの状況にプーチン大統領はかなり苛立ちを見せており、側近の部下たちを怒鳴ったりしているという。何度かの交渉が持たれたが、いわゆる人道回廊も約束が守られず民間人への攻撃は続き、しかもその行き先は全てベラルーシ及びロシア国内と言う、誰が考えても受け入れ難い扱いとなっている。

★ トルコの仲裁・・・ロシアのアリバイ作り

 そのような中でトルコが両者の仲裁に入ることになり、10日トルコ国内においてロシアおよびウクライナの外務大臣が直接顔を合わせ話し合いに入った。無論トルコの首相も同席だ。トルコはロシアからの武器購入などを通して一定のつながりがあり、また同時にウクライナとも武器の技術その他での支援があって交流がある。そういった意味でどちらにも一定の顔が立つような立場にあるということで、トルコが仲裁に入ったということだ。

 しかし夕方のニュースでは少なくとも、ウクライナ側の外務大臣は話し合いになんら進展はなかったと明言した。ただ若干の変化として見られるのが、ウクライナとしては NATO への参加についてはしばらくはないだろうということ。また NATO 側としても参加したいからすぐにどうぞ、というわけにはいかない。少なくとも10年はかかるだろうとの見通しを発表している。ロシアのプーチン大統領が最も恐れていたのが、ウクライナという隣国が NATO に加わるという点があったので、そういった意味ではプーチンの安心材料にはなるだろう。だが結果的にはこの会談は、単に形式的なものであり、少なくともロシアとしては最初から何らかの有効な提案をするつもりもない、上滑りの見せかけのものでしかなかった。



 従ってあくまでも話し合いレベルの互いの探りあいの中での話であり、具体的に何らかの締結があったというわけではないのであり、パフォーマンスでしかなかったのだ。そういった意味ではプーチン大統領としては、ウクライナが完全に降伏するまで攻撃を続けると言う当初の目的には変わりないだろう。だがロシア軍の兵士の損失は想定を大きく上回るほどの損害を出しており、陸上部隊がそのまま首都キエフに突入するというのはさらに犠牲を増やす可能性が大きい。従ってこのところは戦闘爆撃機によるミサイル攻撃、あるいはロシア国内から地対地ミサイルで攻撃するという方法をとっている。使用されているミサイルは命中精度が低くピンポイントでの目標破壊はできないものだということで、目標をそれて民間施設や住宅街に次々に爆撃がなされる形になる。尤も、それだけに関わらず、意図的に民間施設へのミサイル攻撃が行われているのは間違いないところだ。
 その状況は被害を受けているウクライナ市民たちの、スマホによる SNS 発信で世界中に流され、日本でもニュース映像の中に一緒に流されている。産科婦人科病院がミサイル攻撃を受け病院そのものが破壊された。そのことはロシア側にもすぐに伝わり、会談のロシアの外務大臣はウクライナの作り話だと一蹴した。元産婦人科病院であったが今では軍が接収して、軍人の駐留基地になっている、とぬけぬけと喋ったのだ。こんな嘘は現地からの映像で簡単に見分けられるものであり、ロシア側の嘘の上塗りに一層信頼性を低下させることにしかならないものだ。



★ 戦術核兵器使用の可能性
 
 そんな中、欧米の軍事専門家筋の間では長引く戦闘状態に対して、プーチン大統領が戦術核兵器を使うのではないかとの議論が進められており、かなり具体的な危機的な問題として取り上げられている。
 言うまでもなく核兵器は第二次世界大戦中に、アメリカやドイツ、日本などが研究を始めていて、結果的にはアメリカが真っ先に実験に成功し、実戦に使用した。ドイツは完成間近ではあったが情報を掴んだ連合国側の攻撃によって研究所が爆破され、結局日の目を見ることはなかったのだ。日本はさらに遅れた状態であった。そのまま敗戦を迎える。この時アメリカが完成させた3発の原子爆弾のうち、1発が実験に使用され、残りの2発がそれぞれ広島及び長崎に投下され、何十万人と言う膨大な死者を出すことになった。正しく悪魔の兵器が牙を剥いたのだ。
 そして第二次世界対戦後、アメリカに続いてソ連が開発に成功。それ以降フランスやイギリス、インド。そして中国などが次々に原子爆弾を開発し保有するに至る。中には原子爆弾の威力をはるかに上回る水素爆弾も開発され実験に成功している。
 こうして核兵器による開発競争は東西冷戦の対立構造の中で、お互いに相手を威嚇しつつまた抑止力としての位置づけを与えられ、際限なく開発が進んで行くことになった。もちろんそんな中で核兵器をなくす運動も高まり、様々な核実験禁止条約や核拡散防止条約などが締結されてなんとか今現在に至っているのが現状だ。

 しかしそのような核兵器の開発競争において、様々な種類の核兵器が開発され、超大型水素爆弾から大砲の砲弾の中に超小型の核物質を込めた砲弾型核兵器。さらには劣化ウラン弾を使った、機関銃から発射する弾丸の中に放射性物質を挿入したものまで開発されている。実際に劣化ウラン弾は局地紛争などで現実に使われている。そういうものが実際に使われた結果、放射能の影響力はどのようになったのかと言ったところまでは、科学的な調査が場所がら難しく、大概は使用したという事実だけが残っているという状態だ。

 仮にプーチン大統領が核兵器を使用するという場合、考えられるのか劣化ウラン弾の弾丸、そしていわゆる戦術核。つまり小型の核ミサイルだ。これだと人口約250万といわれるキエフという大都市には壊滅的な被害までは与えないだろう。それでも都市の半分は壊滅すると思われる。ハリコフなどの人口100万あまりの都市だとほぼ壊滅するのではないかと考えられる。こうなれば完全にジェノサイドとしか言いようのない惨状となるのは確実だ。ジェノサイドというのは市民全滅、大量虐殺を表す言葉でまさしく軍人民間人関係なくすべてを蒸発させ殺戮するという意味になる。

 このような形で核兵器が使われた場合に、ウクライナはその瞬間に実質上降伏状態にならざるを得ない。それに対して核による反撃を行うことができるのかどうかという点では、恐らく難しいだろう。 NATO 側はイギリスやフランスが核兵器を保有しているものの、そしてアメリカの核兵器が NATO 諸国に共同保有されているものの、実際の反撃をするとなると、ヨーロッパは全体が核の戦場となり、消滅するだろう。そこまでの危険をおかして反撃することができるかどうかといえば、結論から言ってしまえば、できないということになる。例えヨーロッパからの核兵器がモスクワを殲滅したとしても、ヨーロッパ側の核兵器の数ではロシアの核ミサイルの数にははるかに及ばない。ロシアが保有する6000発と言われる核ミサイルは尋常なものではない。100発も撃てばヨーロッパは全滅する。いかにアメリカが対抗しようとも、まずヨーロッパがそこまでの危険をおかして反撃するのはやはり難しいだろう。
 結局は核大国に対しては手が出せない、というのが本当のところだ。無論プーチン大統領としても本当に核兵器を使ったならば、一定の反撃の核ミサイルをを覚悟するかもしれない。そういった意味では核の使用そのものはどこかで踏みとどまるのかもしれない。もちろん核兵器を使わないからと言って、今の戦争が許されることがないのは当然だ。



★ ABC兵器・・・ジェノサイドなのか

 そこで次に考えられるのが、すでにこれも欧米の研究機関で論議の課題に上がっているロシアによる BC 兵器の使用についての問題だ。
  BC 兵器とは何か。これは一般的には ABC 兵器としてまとめられて呼ばれてきた。 A というのはアトミック、つまり核兵器のことだ。 B というのはバイオロジー、 つまり生物兵器のことを言う。生物ってどんな生物か。要するに細菌兵器だ。今世界的にコロナウイルスが蔓延していて大勢の死者が出ているが、人工的に作り出した強力な細菌兵器がいくつかの国には保管されている。かつてイギリスで研究所からその一部が漏れて周囲に被害を出したということがあった。核兵器よりも強力で人類の最終兵器とも言われている。C というのはケミカル、つまり化学兵器のことだ。いわゆる毒ガスの類のものだ。
 第二次世界対戦後、世界のあちこちで地域紛争が実際に起こっているが、その中で B 兵器、C兵器が使われたのではないかとも言われている。特に C 兵器についてはこの日本でもオウム真理教によってサリンが使われた。実際に使われることになると、その兵器が目に見えないだけに恐ろしい結果を招くことになる。そして対象は無差別だ。軍人民間人関係なく死に至る。ある意味究極の兵器と言える。

★ プーチン大統領を阻止できないロシア国民の実情

 プーチン大統領が勝手に始めた大義のない侵略戦争によって、話はここまで来ているのだ。事と次第によっては人類滅亡などということも視野に入れておかなければならない。専門家の中には、あくまでもプーチン大統領の個人的な思いによる戦争であって、一般のロシア国民はメディア統制によって真実を知らされず騙されている、などと解説している人もいる。ロシア兵の中にも訓練だと言われて連れてこられた、自分はこんな戦争に参加したくない、などと言っている捕虜になった兵士もいる。だが現実はある程度の数の市民国民が、戦争反対の運動をしてもごくわずかな数であり、即警察権力によって拘束される。そしてほとんどの戦っている兵士や交渉に臨むロシア政府の高官たち、実際会議に出てきた外務大臣も含め、みんながプーチンの戦争に協力してウクライナを攻撃し、また自国民の反体制派を弾圧している。善良な市民の中には公共メディアの嘘の放送によってすっかり洗脳され、騙されている国民も多いと言われている。
 またプーチン大統領がそう簡単には大統領の座から引きずり下ろされることは考えにくいだろうと思われる。誰か気を許して相談する相手は政府高官の中でもごく一部と言われており、あとは政府系の民間会社で超大富豪となった人たちの支持がある。ただしこの人たちの中からも経済制裁によって損失を出すことが現実の問題となりつつあり、プーチンに一定の歯止めをかける必要があるという動きも出ているのではないかとも言われている。



★ 危機的な状況
 
 侵略戦争が始まって2週間。おそらくプーチン大統領の忍耐ももうこの辺で切れるだろう。トルコの仲裁も虚しく成果を全く上げることはできなかった。この後間違いなく一気に大攻撃を仕掛けてくることは間違いないと思われる。陸上部隊だけで首都キエフのを陥落が難しいと判断すれば、本当に核兵器を使う可能性があるかもしれない。その時ヨーロッパのみならず、アメリカも含めて世界はどのように立ち向かっていけばいいのか。経済制裁には時間がかかると言われていたが、それだけで済ますことのできる問題なのかどうか。事態は重大な局面に達しようとしている。


 (以下続く)  (画像はTVニュースより)
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