切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

《 ロシアによるウクライナへの侵略という暴挙 》 ⑩  2022.3.12

2022-03-12 23:38:34 | 社会


◆ イギリス国営放送 BBC の分析について・・・今後のシナリオ

 今回のロシアによる侵略戦争に対して、世界中のメディアが様々な報道をしているが、中でも際立っているのがイギリス国営放送 BBC だ。ただ単に現地からのライブ放送だけではなく、ウクライナとロシアの会談にも鋭い質問を浴びせ掛け追求をしている。さらに放送局として独自の分析を行い、それを明らかにしている。同じ国営放送とはいっても、日本の NHK とは大違いだ。根本的にマスメディアが、国民に対してどういう役割を担うのかということを十分に理解しており、また責任を持っているということだ。 NHK のように権力に忖度し一部迎合し、都合の悪いことは口を濁すような腰抜けのメディアとは明らかに異なる。さらに日本の民放に至っては特に東京のキー局において、扱う内容も量もどう考えても不十分としか言いようのない事実が目の前に流されている。イギリス BBC がいかに国営放送とはいえども、独立した主権的な意識を明確に保持しており、それを国民に示していることそのものが、メディアとしての本質を世界に見せているということが言える。

 数日前に BBC がこの侵略戦争に対して、今後考えられる5つのシナリオを検討した。
(1) 短期決戦
(2) 長期戦
(3) ヨーロッパ全域戦争
(4) 外交交渉による解決
(5) 内部崩壊、プーチン大統領の失脚

 以上の5点だ。それぞれに予想の分析を加え、今後の方向性の道筋を考えている。総論的にはどのシナリオにおいても困難さが伴い、単純なシナリオでは済まないだろうと言っている。1から5のいくつかが複雑に混ざり合って、あらぬ方向へ向かうことも考えられるというのもあった。大まかな形でまとめると、確かに上に掲げた5点が主なシナリオになることは確かだろうと思われる。
 2月24日に侵略を開始したその日から数えて2週間余が経っている。当初プーチン大統領が描いていた短期決戦において、ウクライナの首都を制圧し大統領を交代させて、ロシアによる傀儡政権を樹立し、親ロシア派の政権が誕生する、というシナリオはプーチン大統領としてもあまり考えていなかったのではないかと思われる。それほどにウクライナの人々の心意気は高かったのだ。



 現在ロシア側の攻撃は主にミサイル、あるいは砲撃を使って中距離からの無差別攻撃を展開している。軍の施設だけではなく民間のアパートをはじめとする居住区や公的施設も攻撃され、民間人に多大な犠牲者を出している。もちろん小さな子供も含めたものとなっており、戦いそのものが悲惨な状況を呈するようになってきている。最新の情報では首都キエフにロシアの陸軍が、戦車隊を中心に三方から迫りつつあり、まもなく砲弾やミサイルを使った総攻撃を始めて一気に攻め込むのではないかと予想されている。
 おそらくそれに対してゼレンスキー大統領を始めウクライナ側は、徹底的に抗戦すると言明しており、ロシア軍がそう簡単にキエフを陥落させることは難しいと考えられる。これまでの経過を含めて考えると、 BBC のシナリオのうち最も考えられるのが(2)長期戦の可能性だ。
 ロシアはかつて中近東におけるイスラム教徒との戦いに10年間を費やした。そして結果は、多大な犠牲を出して引き上げざるを得なかったと言う苦い経験があるはずだ。にもかかわらずロシアは、そしてプーチン大統領は同じ轍を踏むのかと思ってしまう。
 かつてシリア内戦においてもロシアは痛い目に遭っているが、その時にロシア軍を支援した義勇兵達が大勢いて、今回プーチン大統領はウクライナ侵略に対して義勇兵の応募を始めた。おそらく親ロシア派の義勇兵たちが一定程度は集まるのではないかと考えられている。同時に実質上の同盟国である隣国のベラルーシから兵士を出すことにもなるだろうと考えられている。
 こうして始まるのがいわゆる市街戦。これは敵味方の兵士達が戦車などを伴いながら、地上戦を戦うという形をとり、特に攻撃を受けた側はいわゆるゲリラ戦法を取るケースが多い。そしてこれは予想以上に大きな成果をもたらす。かつてアメリカがベトナム戦争において、徹底的に空から爆撃を繰り返し市街地であれ山間部であれ、農地などを破壊し尽くしたにも関わらず、サイゴンなどの大都市を市街戦で攻略することができなかったと言う歴史的な事実がある。同時にこのような市街戦はお互いの兵士だけではなく、そこに居住する一般民間人にも多大な犠牲者を出すことになる。
 プーチン大統領はそのようなことを知識として持っていたとしても、成り行き上市街戦が長期化してもそれを続けることになるのではないかと予想する。ただこのような市街戦が長期化し先行きが見通せない状態に陥った場合に、プーチン大統領は地域限定の戦術核兵器を使用する可能性が十分にあるとも考えられる。



 しかし核兵器が戦術核である場合は、ヨーロッパとしても反撃はおそらくできないのではないかと思われる。 NATO 側はアメリカの核兵器を共同保有しているが、同時にイギリスやフランスは自国が核兵器の保有国だ。報復のための核ミサイルを発射するとすれば、ウクライナの戦場ではなく、直接ロシアの軍事施設に向けての攻撃ということになるだろう。つまりモスクワなどの大都会の一般市民を殺戮することは極めて選択しにくいということだ。だがヨーロッパ側の報復ミサイルの発射と同時に、ロシア側の核ミサイルはヨーロッパ主要国の首都を直接狙って発射される。こうなるとシナリオの(3)ヨーロッパ全域戦争、しかも核兵器による戦争でヨーロッパは甚大な被害を出す。そういったことを考えれば少なくとも、ウクライナの戦場で戦術核と言う地域限定の小型核兵器が使われるだけでは、とても反撃の核攻撃は決断できないと予想される。これはたとえ首都キエフ市内において使われた場合でも同様だろう。
 従ってウクライナとしても、少しでも市民達に犠牲が出ないように配慮して戦うということになれば、市街戦をゲリラ戦を戦うという選択肢しか考えられないのではないかと思われる。



 本日のテレビのニュース情報番組の中で、最新のウクライナ国民の一人が泣きながら訴えている場面が放映された。彼女は次のように言った。
「なぜ私たちを助けてくれないの。どの国も何もしてくれない。国連も何もしてくれない。」
 まさしく悲痛な訴えだ。核超大国の一方的な侵略というのは、一歩間違えれば全面的な核戦争につながる可能性があるだけに、たとえアメリカであれそう簡単には手が出せないと言う難しい現実がある。不幸なことにロシアという国にプーチンという男が成り上がってきて、いつのまにか大統領の地位についてしまった。このような状況は誰もが、ナチスドイツのヒトラーを連想するだろう。彼もまた第1次世界大戦においては単なる一兵卒に過ぎなかった。しかし彼が政治の世界に足を突っ込み投獄されても、その中でドイツという国を今後彼なりに考えて、後にその巧みな話術で人心を煽り遂には総統の地位までに上り詰め、第2次世界大戦と言う取り返しのつかない事態を引き起こさせる結果になったのだ。
 もちろんヒトラー一人の責任だけでは済まされない。第1次世界対戦の戦勝国側のとった様々な行動にも問題があったのは確かだ。同じように考えれば1991年にソ連邦が崩壊した時に、西側諸国がただただそれをひたすら喜んだ。そしてロシアという名前が復活し一応は自由主義陣営の一国として再スタートを切ったということにはなるものの、いわゆる西側陣営のとるべき戦略が正しかったのかどうかということは、改めて考えておくべきだったんだろう。自由主義の国になったから良かった、だけでは済まされないロシア人の過去の長い歴史的な経緯と喪失感、あるいは敗北感というものが多くのロシア人の中に焼き付けられたというものがあったのではないか。そういったことに対するいわば手当てがほぼなされないまま、東西冷戦は終わったなどと言って安心した世界が、逆にこのような結果を招いている面があるのではないかとも思われる。


 (以下続く) (画像はTVニュースより)
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