切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

《 ロシアによるウクライナ侵略 2年・・・危機的な状況なのか 》  2024.2.25

2024-02-25 23:27:57 | 社会
  

 独裁者プーチン大統領が率いるロシアによるウクライナ侵略が始まってから2年経過した。当初は3日間で決着するなどと言われていたものが、やはり長期戦となった。全く理不尽な理由を考え出して、他の主権独立国家を侵略するなどというのは、現代社会ではどう考えてもありえない愚の骨頂とも言うべき無様な行いだ。
 戦争の長期化というのは、 一般的に過去の例を見ればどこでも同じことの繰り返しであり、短期決戦で決着をつけようとの思惑は成功した試しがないと言ってもいいほどだ。アメリカが北ベトナムを攻撃したベトナム戦争においても、何年もの長きにわたって続き、多大な犠牲者を出した。そんな例を思い浮かべる必要もなく、このように長引くことは少なくとも冷静な第三者からは目に見えていたことであり、かつてのドイツ軍のように電撃作戦で3日間で終わらせるなどとと考えていたのはプーチン大統領しかいなかったと思われる。

 この2年間でウクライナは首都のキーウを除く地方都市を中心に、徹底的にミサイルや砲弾で破壊され見る影もない状態になっている。犠牲もうなぎ登りであり、ロシア軍兵士の死者は約13万人とされている。一方のウクライナ兵の犠牲者は約7万人という。様々な数字があり戦争という非常事態の中では、詳細な数字は把握しづらいところだろうが、いずれにしろ両国ともに一般市民も交えた犠牲者の数は大変な状況になっている。
 そして最新の戦争状況は、ウクライナにとってかなり厳しい状況になりつつあり、その主な原因が兵士の不足、武器の不足、弾薬の不足などなど、戦いを維持するための基本的な兵器などが決定的に不足していることが大きな要因となっている。このまま行けばいずれウクライナは全土が侵略により、ロシアに併合される可能性が高まりつつある。一つの大きな 正念場であり、ウクライナの大統領にとっても、これまでの支援を受けている国々との交流 だけではどうにもならないところまで追い詰められつつある実態だと言える。

◆ 発端は・・・プーチン大統領による勝手な理屈、 かつて手に入れた領土を守るために自衛のための戦いである!

 ソ連崩壊後、ソ連を構成していた各共和国は独立国家となり、それぞれの歩みを始めた。 しかしプーチン大統領はこの事態を受け入れることができず、かつてのソ連の領土を元に戻したいとの思いが強まり、10年ほど前には一方的にクリミア半島を占領する。それ以降クリミア半島に居住するロシア系住民に対するウクライナ国民の反感が強く、ロシア系住民を守らなければならないという一方的な理屈をつける。
 と同時に、ソ連崩壊により NATO( 北大西洋条約機構)に加盟する旧ソ連の新たな独立国も含めた様々な国が増え始める。このことは同時にロシアへの圧迫を意味し、 NATO の勢力からロシアを守らなければならないという理屈をひねり出して、特に隣接するウクライナへの対応を準備し始める。旧ソ連においてはウクライナというのは特別な存在であり、さらにその ウクライナが将来的には、 NATO 加盟が予想されるということもあり、プーチン大統領としてはそれを食い止めなければならないと考えたのではないか。



◆ 「ウクライナ侵攻」ではなく、完全に「 ウクライナ侵略」 と いうべきだ

 プーチン大統領の言い方はあくまで「侵攻」であり、世界中のメディアもこのように表記している。もちろん日本も侵攻なので、宣戦布告を行った上での「戦争」ではないという。 従って戦争による「他国侵略」ではないという。よくわからない屁理屈と言うべきだ。
 従って戦場はあくまでも国境沿いからウクライナ国内での戦いという形式を取る。ウクライナからロシア領に深く入り込んでの戦いという場面は、一部を除いてほとんどなく、ましてや首都のモスクワに対する 爆撃なども、ごく一部の例を除いてないに等しい。従って民間人の犠牲者数では圧倒的にウクライナ住民に多く、病院や学校も無関係に無差別に、無人機やミサイルの攻撃を受け、子供たちも大勢犠牲になっている。ロシア国内においては少なくとも国民たちは、広大な国であるだけに、自分たちには直接被害が及ぶものではないとの感覚で平和な暮らしを、大半の国民が行っている状態になっている。
 ウクライナ侵攻だからロシア国内では、戦闘状態にはならないというのは、単なる取ってつけた理屈でしかない。本来ならばウクライナにとってみれば、「完全に防衛戦争」ということになり、戦場はウクライナ国内だけでは済まないはずなのだ。しかしウクライナを支援する NATO 諸国やアメリカなども含めて、この状況をそのまま受け止めている。

◆ 戦況の経緯、近況は

 第二次世界対戦ではドイツ帝国は、戦車部隊による電撃作戦で一気に旧ソ連、フランスを侵略し、短期間で戦闘を勝利に導いた。プーチン大統領も当然そのようなことは知っており、またそうなるものだと思っていたと考えられる。ウクライナ側には油断があったのではないだろうか。実は侵略の少し前に、アメリカの軍事偵察衛星がロシア、ウクライナ間の国境沿いにロシアの大部隊が集結しているのを確認し、ウクライナに注意を促している。しかし当時の ウクライナはおそらく「まさか」との認識だったんだろう。
 2022年2月24日、 ロシア軍は一斉に攻撃を開始し、国境を乗り越えてウクライナの国内へ侵略を開始した。ほとんど準備のないウクライナではあったが、国民の自国防衛意識は もともと高く、ゼレンスキー大統領の指示と世界へのメッセージ発信によって、直ちに反撃 が開始される。当初はロシア軍側が大量の戦車部隊を投入し、またヘリコプターなどの航空 勢力も含めてミサイルや弾丸で国境周辺の都市を次々に破壊していく。部分的に占領状態に置かれた地方都市においては、ロシア兵による処刑や性暴力などの虐殺・虐待が繰り返され、これも世界に発信されることになる。戦争状態の中ではこれらのことはほぼ確実に発生している事象だ。

 しかし NATO 諸国及びアメリカによる武器の援助体制が整い、次々に首都キーウを経由して各地に武器や食料などの支援物資が届くようになると、反転攻勢の体制が徐々に整い、戦況は一進一退の状況となる。の中でもロシア兵の犠牲者がどんどん増え、一方ウクライナでは民間人の犠牲が日に日に増加し、生活も疲弊し始める。無論民間人の他都市への避難や 国外への避難なども始まり、多くの国民が日本も含め、世界各国に避難生活を求めて出て行くことになった。それと同時にロシア兵の犠牲者が増えるにつれ、ロシア 国内においても一部ではあるものの、プーチン大統領に批判的な声が高まり始め、中には公然とメディア や SNS を通じて大統領を批難する活動家も現れる。

 

 そんな中で戦争状態は長期化し、ついに1年を超える。そして2年目に入りやはり一進一待の膠着状態。こうして戦争が長引くとロシア側にも疲弊の様相が明らかとなり、兵士の不足が顕著となる。そのためにロシアでは周辺の外国に対して高額で雇い兵を募集し、何十万人という応募者を前線へ投入し始めた。大半が素人の兵隊ということになり、やはり犠牲者はどんどん増加する。また同時に兵器の生産能力の減退、武器不足も深刻な状態となる。そんな時にプーチン大統領は支持してもらう国を増やすために、外交を利用し、北朝鮮・中国・イラン などがその対象となって、直接訪問によって支援を取り付けることになった。具体的には北朝鮮は数百万発の弾丸など、イランは最近になって 短距離ミサイルを数千発供与したという。中国については今のところ、表立って何らかの武器をロシアに供与したという報道はないが、裏ルートを通して行っている可能性はなきにしもあらずだろう。
 最近になって ウクライナ側が兵士不足、武器不足状態に陥り、戦況はウクライナにとって不利な状況になりつつある。一部に「支援疲れ」という言葉が出回っており、特に NATO 諸国の中で経済的にあるいは政治的に、支援の継続が困難になりつつある実態も見られる。 そんな中では特にドイツが、何としてもウクライナを支援してると言う強い決意を示している。一方アメリカは最大の支援国であり、金額的にも具体的な武器についても相当な支援を行ってきた。しかしここに来て11月の大統領選を巡り、トランプ元大統領再選の雰囲気が 蔓延する中、共和党がウクライナへの武器支援の予算を認めていないという現実の中で、支援自体が滞っている状況が出てきている。すなわちウクライナにとっては兵士たちは高い士気を持っていても、必要な武器がないという困難な実態となっている。

 つい最近ロシアの反プーチン大統領派の急先鋒であるナワリヌイ氏が、北極圏の刑務所で死亡した。彼は長年にわたってプーチン大統領を批判し、彼の 1000億円以上と言われる超豪邸を暴き世界に知らせた。そしてメディアや SNS を通じてプーチン氏の独裁政治を追求してきた人物であり、数年前に飛行中の機内で毒を盛られ、一度死にかけている。復活し 活動していたが、逮捕され長い懲役刑を課せられた。そんな中、突然の死。当局が明かした理由は突然死とか、何か取ってつけたような病名が公表されたが、誰もそんなことは信じていない。刑務所内で結果的に暗殺されたというのが妥当な見方だろう。彼の前にもロシアから西側へ 脱出した元兵士が、スペインで死体となって発見されたというニュースもある。こうしてプーチン大統領は、自分に反するものは許さないとの立場で独裁体制を築き上げ、 今年の大統領選においても圧勝する状態を作り出す動きをしている。
 暗殺されたと私が思っているナワリヌイ氏の妻が、亡くなった夫に代わって反プーチンの活動を始めると宣言した。ロシアの一般国民の中にも己の人間性をかけて戦おうとする人たちがいるのだ。声は出せなくともいずれは、こういった声はそして動きは大きくなっていくだろうと思われる。



◆ 今後どうなっていくのか

 

 3年目に入ると両国ともにさらに疲弊が重なっていく。世界ではロシアによるウクライナ侵略戦争だけではなく、途中からハマスによる最初の攻撃がきっかけで、イスラエルがパレスチナへ報復攻撃を開始し、戦力の差は歴然としておりパレスチナは徹底的に攻撃を受け、悲惨な状態になっている。一般人のパレスチナ人については、ガザ地区に避難するように イスラエルの方からも警告を受けたものの、そのガザ地区にも攻撃が行われ多数の民間人が犠牲になり、世界の目はこちらの方に向きつつある。世界で同時に2か所にこのような悲惨な戦争状態があるということ自体が異常であり、しかもそれぞれの該当国の後ろに控える 支援国間の様々な思惑や駆け引き、あるいは政治的な動きの中で事態は極めて複雑な状況に陥っている。そういった点から考えると、なかなか収束点というのが見えにくい状態だ。

 もちろんこれらの戦争状態というのは、今現在の地政学的な状況から新たに起こったことではなく、過去の長い歴史的な推移も深く関わっている。そういった点では旧ソ連時代のあるいはさらに遡って、ロシア帝国時代の諍いなど、またいわゆるパレスチナ問題においては、イスラエル独立の事実、その前提となるナチスドイツによるユダヤ人虐殺の悲惨な歴史などと言ったものが絡んでいる。従ってそれぞれの国民感情が、これらの戦争の背景に深く関わっていることは間違いないだろう。

 そういった事情から決着というのは、力で相手をねじ伏せた上でつけられるべきものだというのが、戦争状態における該当国民の心情ではないだろうかと思う。しかしそれでは子供も含めた人の命はいくつあっても足りないことになる。勝利者と敗北者という観点だけで捉えきれないものがあるのだ。そのための解決策というのが、実際のところなかなか見当たらない。複雑な背景をどう解きほぐしていくのかというのが、課題なのだが誰もが答えを持ち合わせていないと言うべきなんだろう。
 言うべきではないだろうが、もはや国連はその体をなしていない。国連が無力であると言われてから久しい。当然だろう。常任理事国 5カ国に「拒否権」などというものを設けたために何一つ解決はしない。5カ国が思いを一つにまとめるというのは戦争の問題どころか、環境問題ですら難しい状態にあるのだ。いずれ将来的には国連は崩壊し、全く別の組織が作られるか、あるいは各地域ごとに同盟諸国間による分散的な組織が作られるようになるのかもしれない。中国などは具体的にそのようなことを連想させるような動きを実際に行っている。結局はかつて社会主義陣営と自由主義陣営の東西の対立という構図であったものが、姿を変えてもう少し細分化された地域間の競争や対立というものになる可能性だってあり得るのだ。そしてその地域間の同盟から代表が選出されて、今の国連のような組織が現れ全体が納得できる主題だけが取り上げられて、何かを決めるということになるのかもしれない。



 ともあれこのままウクライナへの軍事支援が停滞すれば、ウクライナの実質上の敗北は決定するだろう。もしこういうことになれば、「 ロシアが侵略行為で一つの国家を奪ったんだから、我が国もやってもいいんだ」というお墨付きを与えることになると同時に、ロシアはかつてのソ連邦を復活させ、さらにNATO 諸国との対立が次第に激化し、緊張状態が強まる可能性がある。そんなことを実感している国がフィンランドと言われている。ロシアと国境を接しており、軍事的にも比較にならないほどの差がある。フィンランドは近いうちに NATO に加盟する意向だと言われている。
 また他の国の中にもロシアが行ったことを見習って、同じようなことをする国が出ないとも限らない。悪事の成功ということを絶対に許してはならないのだ。悪事は敗北するという教訓を味わわせることが大切であり、何としてもウクライナ敗北はさせてはいけない。はっきり言って、こんなことはわざわざ言わなくても自明の理というものだ。
 
 我々の日本という国は、ヨーロッパとは同じ北半球にありながら、ほぼ反対側にあって 極めて遠い存在だ。ニュースでは連日のようにウクライナ情勢が報道されており、決して軽く扱っているわけではない。そしてウクライナ難民も日本へ相当な人数が来ている。しかし日本ができることは基本的に、経済支援あるいは生活物資支援といったものが中心となる。兵器・弾薬等の供与はできないことになっている。そういった点で限られた範囲ではあるものの、世界に対しロシアのプーチン大統領の侵略の理不尽さを世界に発信し、賛同を広げるということも大事な戦いの一つとなるだろう。実際の毎日の生活の中では、なかなか実感として受け止めることが難しいことは事実だが、たとえそれが新聞のニュースの記事や テレビなどを、あるいは SNS を見た時に「理不尽なことは許されないのだ」との共感の思いを持ち続け、小さな声ながらも周囲の人々に、このような話を広げていくことも重要ではないかと思う。それにしても何か大きな無力感を感じることも事実なのだが、こんな稚拙なブログでも、ちょっとは何かの役に立つのではないかと思いながら書いてみた、というのが 心境だ。



  (画像はTVニュース、新聞記事より)
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