切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

《 ロシアによるウクライナへの侵略という暴挙 》 ⑬  2022.3.27

2022-03-27 23:21:29 | 社会
◆ ロシアは戦略を方針転換したのか



 ロシアによるウクライナへの侵略戦争は1ヶ月を超えた。ロシアの当初の目論見は大きくはずれてウクライナ軍の激しい抵抗により、戦況は一進一退で長期化する傾向にある。その意味では侵略攻撃は手詰まり感が漂っていると言われる。それにウクライナ側の発表によれば、ロシアの軍司令部の司令官が7名も戦死していると言う。そのために指揮系統に混乱をきたし大きな目標の一つであった、首都キエフの包囲及び制圧が難しくなってきたと状況にある。
 一方ウクライナの東部及び南部においては、比較的小さな都市が狙われており、特に南東部の拠点都市であるマウリポリにおいては、ロシア軍による徹底的な攻撃爆撃によって都市全体がほぼ廃墟に近い状態になりつつある。中でも市内の大型集会所に避難していた1000人に及ぶ一般市民に対して、ロシア軍はピンポイント攻撃を行い建物は全て吹っ飛び、更地のようになってしまった。建物の周囲にはロシア語で「子供」と記されており、ここは攻撃してはならないという意味で市民たちが地下室に逃れていたのだが、侵略者ロシアはそんなことはお構いなしに子供がいようと、一般市民を殺戮するために攻撃したのだ。ウクライナ側の発表では約300名が死亡、600名ほどが生存とのことだ。

 こうして見るとロシア側の「戦争犯罪 」は一向に変わらず続けられており、犯罪に犯罪を重ねているという状況になっている。ゼレンスキー大統領は徹底抗戦を指示しており、ロシア側からの降伏要求については一切受け付けていない。そしてウクライナ軍だけではなく男性のウクライナ民間人が、簡単な訓練を受けて戦線に出て戦っている現状だ。その戦いはかなり激しいものとなっており、いわゆる市街戦におけるゲリラ戦の様相を呈しており、ロシアの陸上部隊の戦車や装甲車、輸送トラックなどが次々に破壊されている。これらは様々な形で録画され放映されて全世界に広まっている。
 いわばウクライナ軍がかなり善戦をしているという風に見られる。南部黒海に面するオデッサではロシアの輸送艦などが、ウクライナ軍の攻撃を受け撃沈されまた大きな損害を被ったと報じられており、その様子も全世界に発信された。また空中戦においてはウクライナ軍の航空機数は絶対的に不足しており、ロシアの戦闘機及び攻撃型ヘリコプターに対しては地上からの対空ミサイルあるいは対空砲火によって撃墜するという方法になっている。これらも記録されて全世界に発信されており、数多くのおロシアの航空機が撃墜されている様子が見て取れる。

 しかしウクライナ軍が損害を受けている状況は報道にはなかなか載っておらず、被害の実態はなかなか掴みにくいのが実際のところだ。あくまでも戦況の実態はウクライナ側の発表とロシア側の発表があるが、それぞれ自国にとって有利な発表となるのは当然だろう。
 ウクライナ軍の兵士の損失は千数百名と言う。一方ロシア軍の方は自国発表でやはり1500名ほどだと言っている。ただアメリカの発表などによると、少なくともロシア側の損害は兵士だけで8000名前後、あるいは1万人を超えるのではないかとの発表だ。戦場の混乱の中でこの辺りの実数についてはよくわからない。しかしウクライナ側にとってみれば軍人だけではなく、民間人の犠牲も非常に大きく大勢の民間人が西側のポーランド側へ避難しているにも関わらず、人道回廊が攻撃されたりして民間人の死者は相当な数に上っていると考えられる。

 ロシアの大きな目的のひとつであった首都キエフの包囲が極めて難しい状況になったということで、陸軍部隊が今は退いていると言う。そして戦力を南東部に集中させてそちらの方を完全支配し、そこからウクライナ側との交渉に持ち込もうとしているのではないかと言うことのようだ。同時にウクライナ人の避難にあたっては東部の住民達は、ロシアに避難せざるを得ない状況に追い込まれ、その様子はロシア側の宣伝に使われた。ロシア側に到着したウクライナ避難民は軍人から食べ物を与えられ、優しく出迎えられ良い待遇をなされているというビデオだ。 ロシア側に逃れた人々がその後どういう扱いを受けることになるのかはまったく不明だ。場合によっては人質扱いとして、ロシアとウクライナの交渉の場で取引材料にされる可能性もあるのではないかと思われる。
 いずれにしろロシアがかなり苦戦を強いられた中で、方針転換をし、戦略的に南東部を支配してそれを材料に交渉に持ち込むというのが、これからの方向になるのではないかと考えられる。



◆ 各国の対応は現状ではどうなのか

 無論隣接する NATO 諸国については今の段階では、武器や資金援助という形で、あるいはまた民間人に対する生活物資の援助という方法で行われているが、既に隣国ポーランドにおいては約200万人の避難民を受け入れており、限界に達しつつある。そういった意味ではさらに西ヨーロッパ諸国に分散して受け入れること、あるいは海を越えて友好関係にある各国にも避難民をどんどん受け入れてもらえるようにするのが急がれる課題となっている。
 日本においてもコロナ禍の中で、ビジネスや留学生の一部入国が認められるようになってきたが、ウクライナ避難民についてはビザなしでも簡単な手続きで受け入れるようにする方向で受け入れが実施され始めている。またウクライナ共和国やウクライナ国内の大学などとの交流がある組織などについては、積極的に受け入れると表明しており、福岡にある日本経済大学が多人数の受け入れを明らかにしており、本来学生寮であるところを全て解放し無料で生活を援助すると表明した。このようなところが今後も増えるものと期待している。

 このように民間レベルでも支援というものはあちこちで見られるようになっているが、これが「国」というレベルになるとこれは様々だ。同じ NATO 諸国であってもハンガリーはロシアとの結びつきが比較的強いと言われており、ロシアに対する経済制裁も含めて消極的だと言われている。そして大きな役割が本来期待されるはずの中国においては、全くロシアの侵略戦争に対する批判も含めてやる気があるのかないのか全く分からないような曖昧な有様だ。
 かつてロシアがソ連邦の時代に内モンゴル自治区の方で、国境線をめぐって中国の軍隊と銃撃戦が行われたこともあったが、ソ連邦崩壊以降はロシアが資本主義国となって経済体制が異なる国となった。しかしいくら資本主義ロシアになったとしても、ロシアそのものはアメリカとともに強大な核超大国であることには変わりない。核兵器の数においては今や世界3位ともいわれる中国ではあるものの、その数においては米ロ両国に比較して圧倒的に少ないのが実情であり、また経済的に中国がロシアを大きくリードするにあたって、中国としては何らかの形でロシアと緊密な関係にあること自体が、対米関係においては大きな意味を持つものと考えているのは明らかだ。
 このような観点から様々な場面で中国は、今回のウクライナへの侵略戦争に対する態度を明確にはしていない。むしろ間接的に擁護するような姿勢が目立つのが事実だ。大国ロシアとはいえども、その経済政策では必ずしもを成功しているとは言い難く、その大きな原因としては未だに資源頼みの経済、という点が指摘されている。天然資源に頼っている限りはいつかは限界が来るのは誰から見ても常識のことだ。今現在は資源の輸出によって一定の潤いというものがあったとしても、将来的な見通しというのは厳しいのが事実となる。ロシアが経済的に得た外貨によって新たな産業を構築し、軍事的には高いレベルを持っているのであるから、それを民間にも活かした形で第二次産業及び第三次産業を育てるという視点があれば、国力も大いに増すものだと普通なら考えられる。

 だがしかしプーチン以前から、大統領の政策そのものが本来の国づくりからそれており、一時はアメリカのマクドナルドをはじめとする外国産業を開放することによって盛り上がりかけたものの、プーチン大統領が就任して以降すっかり様相は変貌していく。結局はソ連邦の崩壊を経験したプーチン大統領本人の、かつての「ソ連邦回帰」という幻想のもとに、巨大ロシア帝国を復活させたいと言う、突拍子もない懐古趣味から起こされたこの戦争が、逆にロシアという国を世界から孤立させ、これから先何十年にもわたって大きな制裁を受けることになるのは確定している事実だ。
 一方アメリカは NATO 諸国に1 mm たりとも手を出すことを許さない、と明言した。ちょうどポーランドを訪問し演説したのだ。バイデン大統領がポーランド訪問の機会を狙ったかどうかは分からないが、今までウクライナ西部にはほとんど攻撃がなかったものが、突然ポーランドへの出口となるリビウの都市にロシアの精密誘導ミサイルが着弾し、石油貯蔵施設が破壊された。もちろんロシアが今後同じような攻撃をウクライナ西部、あるいは全土に展開するとはとても考えられない。はっきり言ってそれだけの経済力がないというのが実態だろう。また武器も兵士も不足しつつあると伝えられる。そういうことからシリアやチェチェン或いは他の地域から兵士を参加させて戦いを続ける方向だと言われる。



 アメリカが経済制裁を中心にロシア制裁を行なっているが、今後それだけで済むような形になるのかどうかは不透明だ。ただアメリカそのものは過去の様々な戦争に参加しており、国民の中にはアメリカの兵士が戦争に参加することに対する嫌悪感のようなものがある。そういった点を見ると直接戦争に参加というのは考えにくく、今やプーチン大統領が口にした第3次世界対戦の可能性がある限りは、あくまでも無人機攻撃による局地戦といったものが可能性としてはあるのかもしれない。
 また同時にこのところ急速に報道されるようになっているのが、ロシア側の、あるいはまた西側諸国のハッカー集団が、それぞれ相手の国にサイバー攻撃を仕掛けているという問題だ。今や大きなところで言えば核ミサイル・コントロールセンターなどに対しても、あるいは各民間企業に対しても、また小さなところでは戦場にインターネットによってコントロールされれば、様々な所にサイバー攻撃を仕掛けることによって相手の情報を盗みとり、またコントロール不能にするなどといったことも行われる。このようなサイバー攻撃は民間の企業に対して行われると、その国の人々の生活にも大きな混乱がもたらされることになるのは必至だ。そういった意味で軍事目標だけではなく、民間をも巻き込んだ幅広い国の制度のコントロールを混乱させることが、案外大きな損害を与えることにもなると思われる。

 周辺各国の対応は難しさを抱えながらも、ウクライナを全面的に支援する方向でまとまっていることは大きい。それらの国々がただ単に支援するだけではなく、様々な情報を発信することによって、次第に情報統制が敷かれたロシア国内にも流れ込むのは間違いない。そのような経過をたどり、徐々にロシア国民の間にも真実というものが次第に伝わり広がり、この侵略戦争の大義名分の嘘というものが認識されるようになるのではないかと考えられる。
 最新情報では、今ロシア国内において新たな動きが顕著になり、プーチン大統領の孤立化が鮮明になりつつあると言われている。それは一体どういうことなのか。またどこまで信憑性のあることなのか、ということについて引き続き考えてみたいと思う。




 (以下続く) (画像はTVニュースより)
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