切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

《 ロシアによるウクライナへの侵略という暴挙 》 ⑧  2022.3.8

2022-03-08 23:06:51 | 社会
◆ プーチン大統領の野望とは?



 様々な報道によれば、プーチン大統領は精神的に正常ではない状態にあるのではないかというものもあれば、1年以上前から周到に準備を進め、今回のウクライナ侵略に踏み切ったとも言われている。あるいはまた年齢もまもなく70に達することもあり、肉体的な衰えが精神的な切迫感を伴った、通常ではない心理状態にあるのではないかとも言われている。
 核兵器を使った第3次世界対戦になるなどという脅し文句が、その口から平然と発せられるということ自体がやはり、異常としか言いようがない。本来ならばどこの国においても大統領や首相の周辺には、国を運営する上でのブレーンを揃えたチームがあって、隣国から世界各国の情勢分析をする中で、経済的社会的あるいは軍事的な方策を練って、大統領等に提案しともに何をどこまで実施するのかを決めていくというのが通常のパターンだろう。
 プーチン大統領にとって政策を決定する上でのブレーンがいるのかどうか、ひょっとしてまさかとは思うが、彼一人が頭の中で描いた構想をそのまま部下に伝え実施させているのではないかとも見えてしまう恐ろしさがある。



 プーチン大統領は元々は大学を卒業した後、 KGB の職員として諜報活動の一端を担っていたという話だが、ちょうど働き盛りの頃にベルリンの壁が破壊され、長きにわたる東西分断の歴史が終わったこと。その後ソ連邦が崩壊。連邦内の共和国が次々に独立を果たしていくことを経験している。この時点でKGBを辞職。これらの出来事が彼にとってみれば、一つのトラウマとして残っており、ソ連からロシアと言う自由主義陣営の国家に変貌した自国を精神的には受け入れることができなかったのではないかと言われている。
 本人がKGB 職員として働く中で生活は保障され、いわば国民生活全体が苦しい中では中流以上の生活が保障される場にいたことは確かだろう。新体制の中で KGB も実質解体され彼自身は職を辞し、そこから政治活動に入り込み、次第に頭角を現す。そんな中で大統領にまでのし上がることになる。
 しかしいかに大統領になろうともロシアという国そのものが、強大な軍事力を持ってはいるものの、国民生活の経済レベルは極めて低く、国内産業においても一次産業が中心であり二次産業においては原材料の輸出が中心であって、工業生産においては他の資本主義国からは大きく遅れをとっているといった状況だった。
 例え経済体制が資本主義経済ということになっても、産業の復興や成長というものは短時間で成し遂げられるものではなく、数十年という長い年月がかかる。それには国民の働く意欲というものが高まって研究開発もハイレベルな内容があってこそ、達成が可能となるものであり、混乱期を経たロシアにとってみれば望みがたい実体でもあったと言える。



 ただ一点だけ第二次世界対戦後の東西冷戦に置ける、米ソ対立において軍事力および核兵器の数量はアメリカと肩を並べるレベルにあり、その点に長い間注力し続けてきた結果、ロシア全体の経済は極めて歪な形で自由主義経済へと移行することになったわけだ。いかにすれば国民生活が豊かになるのか、ということがなおざりにされたまま年数を重ねていくことになる。無論大国であるをロシアにとってみれば、このようなことは許されないことであり、急激な形で国民生活の向上を図る必要に迫られる。そして外国資本の導入も含めて国民の間には働けば働くほど裕福になれる場が提供されるということで、その後ロシアは急激な経済成長を遂げるようになっていく。
 こうして国民生活の方から見れば資本主義体制になって、国民一人一人の生活は次第に豊かになり、欧米列国と同じ水準にまで達することが期待されるようになる。国民は新しく誕生したプーチン大統領にその夢を託すことになる。それまでの大統領はエリツィンであれゴルバチョフであれ、東西冷戦の付けをいかに解消し経済回復を成し遂げるか、という点に期待があり、一定の成果は出せたのだ。しかし実態としては先に解決しなければならない課題が多すぎて、国民生活全体にまではなかなか手が回らないというのも実態だった。
 しかし少しずつ1次2次産業が回復し、劇的な GDP 増加を達成するに至る。加えて欧米各国の企業がロシアに進出し、さらに中産階級の人々は次第に生活レベルを上げていく。また同時にごくわずか一部の企業経営者は、欧米企業と組んで成功を手につかみ大富豪が誕生する。こうして資本主義経済の避けることのできない現象として、国民生活の間に大きな格差問題が現れてくる。一部の成功者が社会的な富の大半をつかみ、圧倒的多数の中産階級の人々は相応の生活を享受するようになり、下層階級の人々はその日暮らしの生活に苦しむという実態があらわになってきた。

 当然そんな中で、国民の間には階級格差が生まれ必然的に不満というものが鬱積する。それが労働運動等につながり、社会不安が増大することになる。そういったものを治めるためには国の指導者による強力な宣伝、統制が必要となってくる。こうして次第にプーチン大統領に、権力が一点集中という形で現れいわゆる独裁体制の確立へと進んでいく。
 このような状況の中でプーチン大統領は、いわゆるかつての強いソ連邦時代を頭の中に描きつつ、周囲への侵出を始める。それがシリアへの侵攻という形で具体化された。内戦状態になったものの実質上シリアは、ロシアの傀儡政権が立てられ、今や属国に等しい状態となっている。こうして強いロシアというものが、国民の気持ちを高揚させるようになり、それと同時に EU 諸国に強い不信感を抱かせることにもなる。
 一時急成長したロシアの経済も停滞期に入ると、国民の間には不満も高まってくる。プーチンは独裁体制を固めるために法律を変えて、任期までの大統領の職を一方的に延長する法案を出して可決させた。さらに反プーチンの勢力の粛清も始まる。こうした中でプーチン大統領による強圧的な個人独裁体制が固められていく。同時に国民からの支持を得るために2014年に起こしたのがクリミア半島への侵略行為だ。結果的にクリミア半島はロシアに奪われた状態で今日に至っている。
 当然ロシアの強権的なやり方というのは、世界中から非難を浴び国家としての信頼は大きく下がることになる。一時は大国を率いる強い指導者として、世界に影響を与える人物の第1位に何年間にも渡って選ばれてきたプーチン大統領だが、実際に大国による侵略行為というものが、巨大な軍事力を背景に行われることによって、世界中からの警戒心を高めさせるに至った。



 今回のウクライナ侵略については多数派の意見として、プーチン本人が青年時代に生活していたアメリカと対等に渡り合えるソ連、という国への郷愁、或いは憧れのような気持ちがあるのではないかとも言われている。軍事力においてはアメリカと渡り合うと言っても、ハイテク技術においてはかなり差をつけられている現状があり、そこに第三の国である中国が急速に追い上げてきている実態の中で、「強いロシア」をどのように構築していくのかが彼にとっての大きな目標になっていることは間違いないだろう。
 いわばロシア革命以前の強大なロシア帝国を想像しているのに違いないとも思われる。無論そのような一種夢物語は、一国の大統領が公的な場で口にできるものではなく、今回の侵略戦争にあたっては、 NATO による脅威が増している。旧ソ連邦であった国々が次々と EU に加盟しさらに一部 NATO にも参加して、ロシアの国民生活を脅かしている。ウクライナも核兵器を開発する可能性が高い、などを理由として挙げている。
 このような一方的な思い込みに基づく不確実な理由というものが通るはずもなく、そこは巨大な軍事力によって理由の正当化を果たして行くことに舵を切ったということになる。
 だがプーチン大統領のこのような思いというものが、彼一人だけのものであるのかどうかは分からない。それをこのように焚きつけている側近がいる可能性もある。あるいはプーチン自身の思いに周辺が忖度して、一部の政権内部における決定ということで、このような動きになっているのかもしれない。実際に欧米の様々な研究機関では、プーチン大統領自身の人間性の問題、あるいは病気の問題などにも踏み込んで様々な研究がなされている。



 本来21世紀の現在において、常識的に考えれば軍事大国が弱小国を蹂躙するということは一般的には考え難いことだ。世界中を敵に回すことは目に見えている。例え戦争が終わってウクライナを壊滅させようが奪おうが、あるいは放置しようが、ロシアが一方的に侵略戦争を仕掛けたということは歴史的な事実として永遠に残るものであり、一部の国を除く世界中のほとんどの国からの信頼というものを完璧に失ったということになるのは確実だ。
 従って今現在実施されている様々な経済制裁については、今後も解除されることはないだろう。少なくとも5年から10年はそのまま続けられるものと思われる。戦争が終わったから即、経済制裁は解除などという甘いものではない。やはり侵略戦争を行ったロシアに対してはそれ相応の責任を取らせるべきなのだ。が一方では、スイフトと言う強力な経済制裁は確実にロシア国民全体の生活をを窮地に追い込むことになり、そのことが逆効果として現れロシアによる核兵器を使った脅迫行為が起こらないとも限らない。そういった点からはロシアの扱いというものに対して、世界の国々がどのように扱っていくのかが極めて大きな課題になるだろうと思われる。

 過去の世界の様々な歴史を見ても、覇権主義や帝国主義が全面勝利しそれが永続的に繁栄したケースというのはただの一度もない。核兵器を持っていようがそれを脅しに使って自国の利益にしようという試みは、いつか必ず破綻する。世界の国々はそういった過去に学んでいるはずなのだ。時代は21世紀。いまだに古い覇権主義を実施するなどということ自体が大いなる時代遅れであるということに気がつかない、と言うのが愚かなプーチン大統領なのだ。


 (以下、続く)  (画像はニュース映像より)

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