切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

《 ロシアによるウクライナへの侵略という暴挙 》 ④  2022.3.1

2022-03-01 23:55:50 | 社会
◆ 今後の展開は・・・ ロシア側の呼びかけによる会談の設定



  先日、侵略してきたあのロシアが厚かましくも、ウクライナとの会談を提起してきた。前回この文章の中でも記しているウクライナのゼレンスキー大統領は考慮の結果受けてもいいかなということで、実現することになった。無論、会談場所は親ロシアの立場を取るベラルーシ国内ではなく、ウクライナに近い国境付近ということになった。
 もちろん直接、ロシア側もウクライナ側も大統領がそのまま参加すると、事と次第によっては拉致される、あるいはその場で射殺されるという危険性もあるので、ウクライナ側は大統領側近の高官たち。それに対してロシア側は何と名前も聞いたことのないようないわば下っ端役人がやってきた。この事実ひとつを見ても、ロシア側としてはまともな会談の設定というわけではないということが分かる。では何のための会談なのか。西側諸国のメディアはおそらく時間稼ぎだろうと報道している。
 会談の最中は全面的ではないにしろ、部分的に戦闘状態が弱まる。それを利用しておそらくロシアは首都キエフの包囲網を固める、ということではないだろうかと考えられる。会談の内容そのものについては、プーチンが最初から主張してきた内容をそのまま下っ端役人が伝えてきただけだ。要するにウクライナの非武装化、 NATO に入らず完全中立化、といったものが中心課題として挙げられてきた。
 当然ウクライナとしては勝手に侵略してきた相手が、ご都合主義的な主張をするのに対して受け入れられるはずもなく、拒否する。当然のことだ。
 第一、勝手に侵略してきて会談を設定し、いわば昔でいうところの「不平等条約」を強引に結ばせると言うお決まりのやり方だ。ただ一点だけ、話し合いは今後も継続するということだけは合意できたと言う。



 しかし会談中もウクライナ国内での戦闘状態は継続されており、首都のキエフが少しだけ戦闘が軽くなった程度であって、他の都市では軍事施設だけではなく、民間人への攻撃もあからさまに行われるようになってきている。今日の最新の映像として、民間人の居住区が攻撃かまたはミサイル攻撃を受け、多くの負傷者が出て、中には6歳の女の子が心肺停止の状態で病院に運ばれ、蘇生措置も実らず亡くなったと言うビデオが世界中に流された。医師たちの一人が叫んだ。「プーチンよ、この実態を見ろ。」
 戦争が激しくなればなるほど軍隊同士の戦いというのは範囲を超えて、周りに拡大するのは大昔から全く同じ形態をとっている。つまり戦争の必然的な姿なのだ。これがやがてはジェノサイドにつながるのは目に見えている。ジェノサイド、つまり集団殺戮あるいは民族殲滅作戦が行われるようになる。このまま行けば時間の問題だろう。

◆ ロシアへの制裁措置は

  現段階では他の欧米諸国による軍事的な対抗策は実施されていない。その背景にはプーチンが何度も簡単に口にする「核戦争」という表現がある。戦後、世界は核を開発し続け戦争抑止力の最大限の武器として活用してきた。一度だけ1962年にキューバ危機があったが、なんとかそれを乗り越えた。後、核の脅威というのは常につきまとい、一旦核戦争が起これば地球全体が滅びると言われている。そうであるだけに特に核保有国の首脳たちが「核戦争」という表現を、脅し文句にするということは私の記憶ではなかったように思う。ただし、ベトナム戦争中にアメリカ側の高官達が使用を検討をしたようだが。
 ところが今回、プーチンはいとも簡単にこのことを何度も口にしている。完全なる脅迫であり恫喝だ。通常兵器で反撃してきても核戦争になると言わんばかりの勢いだ。

 従って極めて危険な状況にあるロシアに対して欧米諸国がとった方法は、「経済的な制裁」という方法にならざるを得ない。これは過去に何度もさまざまな紛争に関わってとられた方法だ。実際ソ連の時代にもアフガニスタン侵攻などで経済制裁措置がとられているが、実質的な効果があまり得られなかったと言う実態もあった。
  旧ソ連であれ現ロシアであっても、その国土面積は世界一であり、第1次産業の農産物は十分な確保が可能だ。また第二次産業においても高い技術力を持っている。しかし国民生活そのものは必ずしも裕福ではない。やはり長い間の社会主義政権による経済政策の失敗が尾を引いており、未だに国民生活の向上は難しい現状にあるのも確かだろう。

 そこに経済制裁を加えるというのはある程度の効果はあるものの、実態としては決定的なものではないかもしれない。海外メディアによると経済制裁の宣言により通貨ルーブルの価値が大幅に下がり、ロシアの人々は銀行から預金を引き出す動きが出ている。事と次第によっては金融恐慌に至る可能性もあるからだ。このことが「プーチンがウクライナに侵略戦争を仕掛けるという、余計なことをしたためにロシア国民が困り果てているのだ。」という不満に繋がり、国内の政情が不安定な状況に至るのならば、それは一つの大きな効果になるだろう。しかし実際のところ現時点において、国内での反戦活動が繰り広げられてはいるものの次から次へと警察に拘束され、いわば反戦デモと警察の弾圧とのいたちごっこの状態になっている。政府高官からはプーチンにものが言える者はいないと言う。
 そういった意味ではこの経済制裁がどこまで効果的であるのか、が未知数な部分があり、欧米諸国の間からは最強の経済制裁である「スイフト」の発動が必要ではないかとの声が上がり始めた。

 スイフト(SWIFT)「国際的な金融情報通信ネットワーク」ここ2~3日、急にこの言葉がメディアでも取り上げられ一気に知られるようになった。世界が様々な国同士において貿易や金銭のやり取りをする際に、各国の金融機関がこのネットワークを使ってやり取りをしている。このネットワークからロシアの主要銀行を排除し、ネットワークを使えないようにすると言う極めて強力な経済措置なのだ。
 そしてこれが1度だけ発動されたことがある。確か1968年のソ連によるチェコスロバキア侵略の際に発動された。しかし短期間で取りやめになったようだ。これは排除されたロシアの銀行だけではなく、それまでの世界の複雑な金融取引が一部でも排除され通行不能になると、他の国々にも取引ができなくなるということが波及し、排除された該当国だけではなく世界中の国々がその影響を受けることになる。そのためにロシアとの貿易が中心である企業などには即影響が出てくる。特に資源の関係や農産物海産物では、この日本もロシアとの大きな取引があり、この物流が完全にストップすることになるだけではなく、金融決済そのものが行えなくなり民間企業にも相当大きなダメージが及ぶことになる。そういった意味ではスイフトに反対する国もあったと言う。
 しかし事態がここまで進んでくると、ウクライナという国が民間人を含め、ジェノサイドと言う残虐な戦況に置かれるに至る可能性が出てきており、何とかしなければならないという観点から、世界各国があえてスイフトからロシアの銀行を取引停止にするという決定をしたということなのだ。



◆ 日本国内の新たなロシア批判の高まり

  日本は一体どういうことができるのか。もちろん経済制裁、そしてスイフトに賛同してロシアを経済的に追い詰めるという方向性は、他の国々と共同歩調を取ることにしている。また国会でも全会一致でロシアへの最大級の非難決議がなされた。また普段は政治的な問題に口をつぐんでしまう日本のスポーツマンや芸能人からも、ロシアへの非難の声が聞かれるようになっている。そうしたなか本日のネット記事の中で次のような内容のものが見られた。
 日本国内に約700余あるといわれる大学及び短期大学だが、その一部から学長名でロシア批判の声明が次々に発表されたというのだ。もちろん学長というのは一人で大学の責任を負っているものではなく、大学の教授会なり理事会があり、様々な組織があってその中で論議を行い最終的に学長名で声明を出すということになる。
 一般的に考えれば、かなりよく知られた有名大学の学長たちが先鞭を切って声明を出すと思っていたのだが、最初の段階では意外な大学の名前が並んでいた。関西の大和大学、大阪観光大学、新潟県の新潟県立大学といった名前はあまり知られていない大学だ。そこに加えて東京大学や国際基督教大学など一部の有名大学の名前が続いていた。
 それぞれの声明の内容についてはもちろん、ロシアに対する批判が中心だが、大学としての基本的な理念を投影する形で批判がなされていた。無論大学ごとに理念の違いはあるだろうが、それぞれが有している大学の役割や方向性が理念と重なって、ロシアの横暴さに非難をくわえている。大学によってはこのような声明文を作成することに、理事会などで抵抗する動きもあったと言う。あるいは真っ向から反対する意見があったとも言われている。しかし最終的には、大学が果たすべき役割の重要性ということを、世間に世界に発信する大切さを訴えるべきだ、との当然の結論に至ったようだ。
 中でも新潟県の大学や北海道大学などは、地理的にもロシアとの交流が深く、またロシア研究の拠点ともなっており、より切実な課題があるものと思われ、それが声明にも反映されていたようだ。また京都の龍谷大学は、1991年にソ連崩壊と同時にウクライナ共和国が独立し、その直後にキエフ大学と交換留学制度を締結して、これまでに多数の学生の交換留学の実績がある。そこからウクライナへの支援を訴える形でロシアを批判する声明を出していることが、連帯という側面から共感できる内容でもあった。
 このように日本でも広範な分野から、また人々からウクライナへの連帯、またロシアへの非難がどんどん高まっていく。当然こうした声は日本から世界に広がると同時に、世界でも行われている様々な反戦活動が日本でも紹介され、相互に反戦への強い想いを共有する場ともなっていくものだと言える。



 
◆ 日本という国ができることはまだあるのではないか

  (以下、つづく) (画像はTVニュースより)
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