切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

《 ロシアによるウクライナへの侵略という暴挙 》 ⑦  2022.3.7

2022-03-07 23:13:48 | 社会
◆ 今後の戦況は



 侵略者であるロシアの思惑は侵略開始から2日間で、ウクライナ全土の掌握を想定していたものの、ウクライナ軍の思わぬ反撃により既に10日間を過ぎ、まもなく2週間になろうとしている。総合的な軍事力の差は比較すべきもなく、圧倒的にロシアが有利だと誰もが認めるところだ。
 しかし陸軍と空軍の大勢力を国境沿いに並べ侵略を開始したものの、国境からそう遠くはない首都キエフの包囲もいまだならず、といった状況にある。 SNSや外国特派員の撮影した動画などの様子からは、主戦場というのがなかなか伝わってこずに、実態がよく分かっていない面もある。だが圧倒的な兵力をもって次第にロシア側の侵略地域が拡大しつつあり、攻撃の対象も軍事施設に関わらず一般国民にも向けられており、多大な死傷者が発生している。
 開始直後の攻撃を免れた空港からは、ウクライナ軍のロシア製戦闘機も多数出撃しており、ロシアは当初空港を破壊したことによって、ウクライナの制空権を完全に掌握したと発表していたが、実態としては必ずしもそうは言えずに、既にロシアの戦闘機やヘリコプター等を含め、航空機の損害は100機以上に上っていると言う。しかしウクライナ軍の損失もロシア以上に大きく、多数の戦闘機などが撃墜され、また空港に置かれていた戦闘機なども、ミサイル攻撃によって相当数が破壊されてしまった。



 ロシアの計画としては制空権を奪った上で、大型輸送機に武器弾薬食料品や兵士を乗せてウクライナ方面に向かわせたが、早々にウクライナ軍のミサイルで2機が撃墜され、急遽この作戦が中止になったという経緯もある。戦車などと違って航空機の損失というのは莫大な経済的損失にもなる。ロシアはいわゆる第4世代と呼ばれる最新鋭戦闘機を投入しており、それに対しウクライナ軍のソ連製戦闘機は旧式の第3世代のやや古い能力の戦闘機があるだけだ。そのウクライナ軍の方はまだ航空戦力で戦える状態にはあるものの、燃料タンク等が破壊され肝心の燃料がほぼなくなりつつあり、実質上航空兵力で戦うということができなくなりつつある。
 ウクライナは西側にあるNATO諸国に対して、戦闘機などの供与を求めているが、経済的な理由だけではなくそのような行為そのものが、プーチン大統領にとってはロシアへの宣戦布告に該当するとの主張から、二の足を踏んでいるのが現実だ。しかし最新情報ではアメリカ国防省はNATO諸国、特にポーランドがウクライナへ戦闘機の供与を実施した場合には、そのNATO諸国へアメリカ空軍の戦闘機を代わりに供与するという発表をしている。これはとりもなおさず、間接的にアメリカがこの戦争に対して参加するということを意味することになり、戦争そのものの意味合いも変わってくることになるだろう。尤もアメリカとしては戦争への参加ではなく、あくまでも支援という立場だが。

 実際陸上部隊においては、ウクライナからの要請に基づいて各国からの義勇軍が、個々人の意志で集結しており、その数は数十万人になっていると言われている。現在ポーランドに集結している彼らがまもなくウクライナに乗り込んでいくことになるだろう。一方それに対しロシアは、人数的にも強大な陸軍兵力を持っているにも関わらず、実質上の支配国であるシリアに対して、援助軍を投入するように要求した。シリアではかつて内戦状態がかなり悪化し、シリア軍の兵士たちは市街戦にかなり慣れているということで、ウクライナ戦争への協力を要請したものと考えられる。
 プーチン大統領の判断としても、戦闘状態が特に陸上戦において長引くことになり、膠着状態に陥ることを想定していると考えられ、どのように首都キエフの包囲網を築き陥落させるのか、というのが当面の大きな課題になっているものと言えるのだろう。
 そういった意味では既に戦争は、ロシアがウクライナを一方的に侵略した戦争という性格だけには終わらず、双方が外人部隊を含め複合的な戦争状態に陥りつつあることを示している。そしてウクライナはさらにNATO諸国に対して、ウクライナ上空の飛行禁止区域の設定を実施するように求めている。これを実施したからロシアの戦闘機がこの上空を飛べなくなるという簡単なものではなく、ウクライナはNATO諸国と一種の防衛協定の内容を締結しており、飛行禁止区域の設定は、もしそれを破ってロシアの航空機がウクライナ上空に侵入すると、NATO側が撃墜することができるという内容のものだ。それはとりもなおさずこの戦争にNATO諸国が直接戦争に関わることを意味する。だからこそロシアは最初からこの戦争に対して、何らかの実力行使をする国があれば、それはロシアの敵とみなすとの脅しをかけている。無論その脅しの言葉の中には、核兵器使用による第3次世界大戦の危険性を一緒に述べているのだ。



 こういった点からみると、今後NATO諸国がウクライナへの武器などの供与をどこまで実施するかという事が一つのカギを握ることになる。ウクライナ軍だけで見ると戦う武器そのものが枯渇し始めており、たとえ武器があっても可動させることができない状態になりつつあるのが現状だ。一方のロシア軍は戦場があくまでもウクライナ国内で行われており、後方部隊から次々に武器や人員食料の補給というものを行うことができる。



 ロシア側は改めて一般市民を国外へ脱出させるためのルートを提案している。前回は両者の会談で合意したにも関わらず、その日時に戦闘は止まず結局脱出は不可能となっていた。今回の新たな設定はロシア側にとって、本当に守る気があるのかどうかが問われている。侵略者というのは約束しようがしまいが、全ての出来事を相手の責任として擦り付ける。つまり両者が協定を結んでも、それを守るなんていうことはほとんど期待できないと思うべきなのだ。
 今回仮に一般国民の脱出ルートが確保され実施されたとしても、逆にロシア側は戦闘機及び爆撃機を大量投入して、街という街を徹底的に破壊することになるだろう。こうして首都キエフの陥落を実現するという方向で考えていると思われる。
 現時点でゼレンスキー大統領は、あくまでも首都キエフに止まって徹底的に戦うと宣言しており、脱出は考えていないようだ。アメリカとしては一旦不利な状況が鮮明になっている限り、大統領に脱出を促し、隣国のポーランドに亡命政府を作って、そこからゲリラ戦で戦うことを想定していると報道されている。また大人数の義勇軍が今後ゲリラ戦を想定した戦いを進めることになるであろうことはほぼ確実だ。そういった意味では戦争は一種の膠着状態となり、ほぼ確実に長期化することになると思われる。



 プーチン大統領がなぜここまで徹底的にこだわって、ロシア側の主張を100%認めさせようとするのか。そのことを次に考えてみたいと思う。


 (以下続く)  (画像はニュース映像より)
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《 ロシアによるウクライナへの侵略という暴挙 》 ⑥  2022.3.6

2022-03-07 00:19:07 | 社会

◆ その後の現状



 侵略者ロシアのプーチン大統領の姿勢は全く変わらず、一貫してウクライナに対し都合のよい条件を飲ませようとしている。2回の会談を持ったものの当然のことながら、話し合いの中身は一向に進展せず、その中で唯一一般市民の国外脱出へのルートと日程を定めてその間は攻撃を止めるということで合意したものの、実際には当日の戦闘行為はストップするどころか、さらに民間人への攻撃が続いている状態で、民間人は足止めをされている状況となっている。
 元々が戦争という場において特に侵略者というのが、紳士協定なるものを守ろうとすることに期待する方が間違っているのかもしれない。連日多くの人々が SNS を通して不条理な攻撃を受けた実態が世界中へ発信されている。これは極めて重要なことだ。誰が見ても一般の住宅マンション等、あるいは学校や公的施設が狙い撃ちにされており、原子力発電所も攻撃を受けた。このような危険な攻撃というものが何の配慮もなく平然と行われている。それが戦争だと言ってしまえば確かにそうなのだが、ロシアと言うそしてプーチンという帝国主義者たちは、18世紀19世紀の思想をそのまま懐古趣味的に持ち合わせて古い形の戦争をふっかけているのだろう。

 ウクライナとしては戦うにもロシアの強大な戦力とは比較にならないほどの軍事力であり、本来ならばプーチンが当初期待していたようにわずか数日で首都キエフを占領されていたかもしれないほどのものだ。逆に言えばウクライナの人々の戦意が極めて高揚しており、自分たちの国を命がけで守ると言う気迫というものが、遠い日本からでも見て取れるようだ。戦う兵士たちはウクライナ政府としては男性に限っているが、自主的に女性も軍隊に加わり戦いに参加するケースが増えているという報道があった。
 今回ほど様々な映像がほぼ同時進行の形で全世界に配信され、テレビなどを通して見られるというのは初めてに近いことだろう。逆にまたそのことが一部の勢力によって、フェイク動画が作成され配信されているというケースもかなり増えており、見分けることがかなり困難になっているという専門家の指摘もある。そういった点からは戦争はただ単に、武器で相手を殺戮し破壊するというだけではなく、情報戦、心理戦、サイバー攻撃といったさまざまな側面を有しており、非常に複雑な様相を呈している。
 そういった点からは各メディアも、ただ単に流れてきた動画や画像をそのまま垂れ流すのではなく、かなり裏どりをして慎重に取捨選択をして放映していると聞く。それらの中でもかなり信憑性が高いことで知られるのが、イギリスの国営放送 BBC であり、アメリカの民間放送局 CNN が定評のあるところだとされている。
 日本のメディアもこぞって取材チームを派遣し、ニュース番組の中でライブ中継を行っているが概ね安全な場所からの報道であり、そういった意味では現地の逃れてきた人々の声を拾うというところで止まっている感が否めない。しかしたとえそうであっても現地からの生の声というのは非常にインパクトがあり、世界に与える影響も相応に大きいと言える。



 侵略戦争の現状はすでに約10日にわたり、プーチンが当初思い描いていたら実態とはかなり違ったものになっている。それだけにプーチン大統領の焦りと怒りはかなりひどいものだと伝わっており、その状況からはプーチン一人が自分の思惑を達成するための戦争という色彩が強まっているように感じられる。そのことが最初にプーチン大統領本人が述べていた、軍事施設だけを攻撃するという言葉が嘘だということになり、今や民間人であれ何であれ、様々な民間施設や公共施設をミサイルで攻撃破壊。ウクライナの人々を萎縮させるような卑劣なことになっている。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は一向に怯むことなく、降伏は一切しない方針だという。最後の最後まで祖国を守るための戦いは続けると明言している。しかしロシア軍の攻撃がこのところインフラ設備に向けて行われており、国民の生活に必要な水、電力、ガスなどといったものの供給が今後急激に逼迫する恐れがあり、また供給網の破壊によって食料品の不足が現実問題として出てきている。
 その中でも極めて深刻なのが、原子炉夢発電所を実質上奪還されたことだ。ロシア軍の攻撃は直接原子炉にはむかなかったが、原子炉関係の周辺施設を破壊され、ロシア側のコントロール下に入った。このことは EU の中でも大きく報じられた。何らかの形で原子炉に直接攻撃が加えられ破壊されると、日本の津波による福島原子力発電所の被害どころの話ではないほどの大惨事につながる内容の話だ。旧ソ連時代にはチェルノブイリ原子力発電所が事故を起こし甚大な影響を後世にまで与え続けている。しかし戦争において原子炉というのは攻撃してはならない対象とされている。これは第二次世界対戦などでも病院船は攻撃してはならないという取り決めがあったのと同様のことだ。



 そしてウクライナ全体を包囲するロシア軍の侵略範囲は少しずつ拡大しつつあり、ウクライナ側がどこまで耐えられるのかが実質的な問題になってきた。 EU 各国を中心に武器の供給、食料品等の援助などが行われている。ロシア側は兵士各自の戦意は低いと言われるが、兵器の量や質はウクライナを大きく上回っており、このまま戦闘が長引けば次第に戦いそのものが次の段階へと移行する恐れがある。
 プーチン大統領本人はすでに、核兵器運用通常段階から、攻撃可能な1段階上の状況に引き上げた。このことによってロシアはプーチンの決断によっては即、核兵器を使用することができる状態となっている。同時にこれを世界に発信することによって、ロシアのすることに口を出すなと言う脅し文句にもなっている。このことはにわかに核戦争が現実のものとして目の前にやってきていることを示している。はっきり言って一触即発の核戦争状態ということだ。


 (以下続く)

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