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伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

田舎暮らしの日々とガーデニング 時々ニャンコと

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ジャコシカ28

2018-04-11 19:21:12 | ジャコシカ・・・小説
しかし、50歳になった今年は、前年の山仕事で痛めた腰の具合がかんばしくなく、時折の痛み

もあるので大事を取ったのだ。

 伐採の仕事に出ないと、時間が余った。

 時々漁港の手間賃仕事を手伝うくらいで、あとは息子の豊と縄あみやムシロ作り、馬の食(は)み切り

などで、夏場の田畑仕事のための、準備作業や薪割りくらいで時間を潰した。

 そんな訳で長女の婚家にも、何かと理由を付けては繁く出かける。

 婚家の浮田家は、峠の途中の山間で、半農半林の暮らしぶりは、ここよりもさらに厳しい。

 岩本高志を吹雪の中で拾ったのも、娘を訪ねた帰りだった。

 トキは昨日の若者のことをしきりに気にしたが、野木の所に行ったと聞いて、ひとまず安心した

のか、その後はいつもながらの娘についての心配やら後悔やらの、愚痴を言いつのっていた。

 「栄子のことは大丈夫だよ。あれはしつかり者で気立ても明るい。お前が心配することなど何も

ない。今度一緒に行こう。顔を見たら安心する。幸せにやっているんだ。孫達だって元気で良く育

っている。

 あの娘は今ではとても力強い、立派な農家の嫁だよ。わしは行くといつも元気を貰ってくる」

 「あんたは楽天家だから、いい処ばかり見ているのよ。農家の嫁の辛さなんか、外から見ただけ

では判るはずはないのよ」

 何だか風向きが不穏になってきた。

 猛はなんとなく、柱の時計に眼をやった。

 そこにドタバタと千恵が下りてきた。

 「その人本当に頭がおかしくなかったの。この時季に峠を歩いて越えようなんて変だわ。他所者

と言ったって、北海道をまるで知らない人が、こんな所うろついているはずないっしょ」

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