
これは「悪魔が来りて笛を吹く」の次に読んだのだが…
ここに来て当たり外れがあるとわかるようになってきた。
「悪魔が来りて~」が陰った華や気高さを香る
悪魔の影が音楽と共にミステリアスに蠢く世界美…とすると
特に惹きつけられる美も雰囲気も無い。
同じことを思ったのは
「悪魔の寵児」「夜歩く」だ。
だが「夜歩く」はこれはこれでまたちょっと独特の世界があり、特に岡山だかよ田舎に移動してからは雰囲気が出る。
そしてまさかのどんでん返し。
だからまだいいが…
「幽霊男」も「悪魔の寵児」も東京が舞台でどこかの旧家でもない、由緒ある家などでもないが
それでも若干「悪魔の寵児」は被害者が美しい人妻と愛人達と豪華な美女軍団。
対して「幽霊男」は特別顔が美しいというわけではない←体は別として
いかがわしい事をやるヌード提供の女達なのだ。
女と言うよりその異様な殺害背景、犯人の狂気変態趣味の方が際立つ。
そして
悪魔の寵児
幽霊男
よく似ている。歴史、品、雰囲気、美より
肉体的欲と狂気のみで少々品がない。
批判ではないが
幻想香る世界観の八ツ墓村
格式高い上品な描き方の悪魔が来りて笛を吹く
親子愛、母親と娘の愛情が切なく悲しい
やりきれない悲しい作品の悪魔の手毬唄と犬神家の一族
そう言った面々と比べるとやはり物語そのものの品に魅せられる…という感覚はないが読み物としてつまらないと言うわけではない。
ただ、悪魔の寵児とよく似ている。
似ているが、悪魔の寵児は何がそうさせたのか。
誰が悪魔にしたのか。犯人そのものを直接責められない。夜歩くも似たようなところがある。
何が犯人をそこまで追い立てたのか。
が!この幽霊男は最初から殺害犯が糞だったりする。
こちらの方が悪魔の寵児にピッタリだと思った。