ドラゴンクエストIV 導かれし者たち 公式ガイドブック(DS版) (SE-MOOK)スクウェア・エニックスこのアイテムの詳細を見る |
物語の筋書きを変えることは、
読者にはできない。
決してできはしないのだ。
ドラゴンクエスト……通称ドラクエ4のオリジナル版を
プレイしたのは私が小学生の頃。
なぜ、あのようなエンディングになったのかということで
少なからず疑問を抱いたものだ。
エンディングの最後、本当にラストシーンだ。
そのシーンの謎に対する答えが、
確かにリメイク版には存在する。
ドラクエ4は、章仕立てのRPGだ。
主人公は各章によって違い、
各々の物語は5章へと受け継がれていく。
5章「導かれし者たち」で
真打ちたる勇者と合流するわけだが、
リメイク版の物語はここでは終わらない。
実は、リメイク版には6章が存在する。
詳細を書くとネタバレになるので控えるが、
そこには確かに、オリジナル版のラストシーンに対する答えが
用意されているように思う。
物語の筋書きを、受け手は決して変えることはできない。
……はずだった。
しかしドラクエ4をプレイし育った世代が
作り手となり世に送り出す側へと成長することで
物語に新たな息吹が吹き込まれ生まれ変わったのだ。
あの時、ああだったら。
もし、そうだったら。
世の中には、たとえどんな些細なことでも偶然はない。
でもだからこそ、虚構たるエンタテイメントには存在していて欲しいのだ。
その救済を。
勇者という職業は存在しない。
ゲームという……プレイヤーを主人公たらしめる独自の
エンタテイメントにおいてのみ成り立つ職業であろう。
その勇者には義務がある。
世界を破滅から救うこと。
だが、それだけでいいのだろうか。
小学生の自分は、心のどこかで気付いていたのだ。
「これでいいのか?」
「これで全てが終わったといえるのだろうか?」
「これでみんな、救われたのか?」
答えはやはり、否!
であったのだ。
勇者が存在するためには、一つの大きな際前提が必要になる。
悪者が存在することである。
しかも、非の打ち所のないとてつもない悪者が。
勇者は仮初めのエンディングを経て、
ゲームという形式の中で許された時間の逆行を用いて
それに気付くことに成功する。
自分が向かうべき場所、
なさねばならぬことを知る。
そして、最後の一人が……導かれる。
本作、リメイク版ドラクエ4をもって
ようやく私は勇者が勇者足りえたと思っている。
その資格を得たのではないのだろうか、と。
ゲームだからできたこと。
人気作だからこそ背負うリメイクという宿命から生まれた救済。
ただただ、グラフィックが進化したり
ハード(端末)が変化しただけではない。
ドラクエ8をプレイした後でも、
きっと物足りなさは感じないのではないだろうか。
ただ懐かしさを楽しむだけのものではない。
新しい物語を加えたドラクエ4を、
ぜひ皆さんの手で遊んでみて欲しいと思う。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます