牧師の読書日記 

読んだ本の感想を中心に書いています。

10月17日(水) 「ソロモンの偽証 第Ⅲ部 法廷」 宮部みゆき著  新潮社

2012-10-17 22:39:08 | 日記
 宮部みゆきのミステリー小説「ソロモンの偽証」 第Ⅰ部「事件」、第Ⅱ部「決意」に続いて第Ⅲ部「法廷」を読み終えた。
 
 14歳の不登校の少年が学校内で死体で発見される、という事件が起こる。自殺か事故か他殺かはっきりしない。そこで死体で発見された少年の同級生たちが真相を見つける決意をする。そして第3部で真相を明らかにするための法廷が開かれる。これが3部作の全体的な流れだ。

 この本が他の法廷ものと違う点、私が感心した点は、正式の法廷で真実を明らかにするのではなく、同級生たちが正式ではないが学校内で法廷を開いて隠された真実を明らかにしていくという切り口だ。中学生たちのひたむきさが伝わってきた。被告人も同級生なのだが、弁護人も検事も判事も陪審員も全て生徒なのだ。証人には他の生徒たちや先生などが登場する。今中学生の自殺の問題が起こっていることもあり、ストーリーに引き込まれて読むことができた。ジャンルはミステリーだが、テーマはいじめの問題や親子関係などを扱っていて重いと思う。

 タイトル「ソロモンの偽証」の「ソロモン」は旧約聖書に出てくるソロモン王だと思うが、個人的にはソロモン王のことに触れて欲しかった。