牧師の読書日記 

読んだ本の感想を中心に書いています。

11月30日(金) 「ビジョナリー・カンパニー⑤」

2012-11-30 06:06:54 | 日記

 第6章は、「カルトのような文化」。

 本からの引用。「先見性(ビジョナリー)とは、やさしさではなく、自由奔放を許すことでもなかった。事実はまったく逆であった。ビジョナリー・カンパニーは自分たちの性格、存在意義、達成すべきことをはっきりさせているので、自社の厳しい基準に合わない社員や合わせようとしない社員が働ける余地は少なくなる傾向がある。」

 「これらの企業につとめるのは、きわめて同質的なグループや組織に加わるようなものだと思える。自分に合っていなければ、入らない方がいい。企業の考え方を心から信じて、献身的になれるのであれば、本当に気持ちよく働けるし、成果もあがるだろう。たぶん、こんな幸せはないと思えるだろう。しかし、そうでないのなら、たぶん失敗し、みじめになり、居所がなくなり、いずれ辞めていくことになる。病原菌か何かのように追い払われる。白か黒かがはっきりしているのだ。仲間になれるのか、仲間外れにされるのか。どちらかであり、中途半端ということはない。カルトのようだと言えるほどだ。」

 「ビジョナリー・カンパニーに比較対象企業より顕著に見られる特徴の中に、カルトと共通した点が以下の四つあることが分かった。」
 ・理念への熱狂
 ・教化への努力
 ・同質性の追求
 ・エリート主義

 著者は調査の結果をふまえて、IBMやウォルト・ディズニーなどは、基本理念を維持するために、教化、同質性の追求、エリート主義を徹底している、と説明している。私が考える教会はすべての人々に開かれている教会、でも一方で教会のビジョンと目標に対して心から賛同する人をキリストの弟子へと育成していく閉じられている教会だ。


 続いて本からの引用。「この章で学ぶべき点は、個人崇拝のカルトをつくるべきだということではない。それは、絶対にやってはならないことである。学ぶべき点は、基本理念を熱心に維持するしっかりした仕組みを持った組織をつくることである。ビジョナリー・カンパニーは自社の理念に基づいて、それを絶えず強化するように一貫したシグナルを送り続ける具体的な仕組みを確立している。以下のような実際的で具体的な方法を使って、従業員を強化し、同質性を追求し、特別な集団に属しているという感覚をつくり出している。」
 ・入社時のオリエンテーションとその後の研修によって、技術や技能とともに理念を教育し、価値観、規範、社史、伝統などを教える。 
 ・社内に「大学」や研修センターを設ける。、、、、、、、

 「ビジョナリー・カンパニーは基本理念を厳しく管理すると同時に、業務上、幅広い自主性を認めて、個々人の創意工夫を奨励している。次章で詳しく説明するように、ビジョナリー・カンパニーはカルトのような文化を持ちながら、比較対象企業に比べてはるかに権限分散が進み、業務上の自主性を幅広く認めているのだ。理念を管理して基本を維持すると同時に、業務上の自主性によって進歩を促している。」

 教会にも秩序と自由のバランスが必要である。それが教会に健康といのちを与えるだろう。あと考えるべきは教育システムをどのようにするかだ。私もこれまでいろいろなことを試してきたのだが、どれもなかなかうまく機能しなかった。大きな課題は、教会を前進させるための一貫した教育体系の「仕組み作り」だと思う。