この傾向を単純計算すると、先のブログ記事で掲載した資料1〔=社会保障給付費の見通し〕で示される政府見通しよりも社会保障費の膨張速度は大きくなる。「国民医療費」は「年金」と並んで社会保障費の相当部分を占めるもので、その帰趨は社会保障システムの持続可能性を左右する大きな要因だ。「国民医療費」とは、資料1〔=国民医療費の範囲〕にあるように、医療に要する全ての費用ではない。そう考えると、『医療に関係する全費用』は更に大きいということになる。
2011年度の国民医療費に関する結果の概要について、主なものを順を追って見ていく。先ずは過去からの推移ということで資料2だが、これを見るだけで直観的に国民医療費に対する危機感を直ぐに抱くだろう。
資料3は、医療サービス需給両面での利権の場所を示す端的な円グラフである。医科診療医療費が7割超、薬局調剤医療費が2割弱という順であり、マクロの視点からの効率的な医療費抑制とは、医科診療と薬局調剤に係る需給両面での利権の縮小ということになる。資料4~6を包括的に見ていくと、高齢者医療費(65歳以上で人口1人当たり72万円、70歳以上で同81万円、75歳以上で同89万円)の抑制、患者等負担の増額、公費と保険料の均衡ある負担の分担が必須であることがわかる。
医療費を巡る課題は、どんな指標からアプローチしても、マクロの視座では同じことになってしまう。少子高齢社会での社会保障費用負担原則は、まさにこの線でいくしかない。
<資料1>
(出所:厚生労働省資料)
<資料2>
(出所:厚生労働省資料)
<資料3>
(出所:厚生労働省資料)
<資料4>
(出所:厚生労働省資料)
<資料5>
(出所:厚生労働省資料)
<資料6>
(出所:厚生労働省資料)