介護保険制度改革の難しさ ~ 年1400億円の減額 vs 年9600億円の増額

2013-11-16 17:21:11 | 日記
昨日の朝日新聞ネット記事でも報じられている通り、厚生労働省・社会保障審議会介護保険部会では、介護保険から支払う額を年1400億円ほど減らせる介護保険制度改革案が示された。具体的には下の資料の通りだ。

利用者負担増と補足給付削減の両建てにより、介護保険財政支出を年1410~1450億円ほど減額、65歳上(1号被保険者)の保険料で75~77円ほどの減額となる。この改革案は利用者負担増を軸とし、即ち世代間扶助ではなく世代内扶助としているので、若年層の負担増回避という点でも望ましい方向だ。一方、先のブログ記事で掲げた資料2〔=介護給付と保険料の推移〕に今後の介護給付額の見通しも示されているが、13~25年度の介護給付額は年平均で9667億円に上る。

端数を切り捨てても、1400億円の財政効果と9600億円の支出増では、全く話にならない。この記事だけの改革案では、介護保険財政支出の増額分を抑制することは到底できない。今後の介護保険制度の持続性を維持していくには、これ以上の介護保険財政支出の抑制策が必須である。

今は第5期介護保険事業計画(2012~14年度)の中にある。今検討されている改革案は、介護保険法改正案として次期通常国会に提出が予定されており、第6期介護保険事業計画(15~17年度)に反映される。介護保険財政健全化への道程は遠い。



<資料>

(出所:厚生労働省資料