特別養護老人ホームの内部留保の行方(1) ~ 社会福祉法人・株式会社・NPOのイコールフッティング論

2013-09-12 22:39:14 | 日記
本年5月21日の日本経済新聞ネット記事にもあるように、社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームの内部留保に関しては、以前から注目が高まっている。5月31日に厚生労働省・社会保障審議会介護給付費分科会で提示された資料によると、平成23年度末財務諸表ベースでは、特養で1施設当たり平均3億1373万円、1床当たり平均381万円の内部留保に上っている。上記の日経記事では、「総額では2兆円規模」とされている。

今後の課題としては、下の資料に掲げられた方向性での対応が待たれることになるはずだ。特養の内部留保がなぜそれほどまでに問題視されるのか、その理由が明記されている。要するに、税制面などで優遇を受けられる特別な地位を与えられた法人なのだから、相応の社会還元を怠ってはならないということだ。

他方で、広く介護サービス産業市場全体を見渡せば、介護サービス提供者は社会福祉法人に限らず、株式会社やNPOも相当数が既に参入している。社会福祉法人としての地位を与えられてきた特養が、その内部留保を社会貢献などに充てることで所要の改善を図っていく方向は否定されるべきではない。ただ、規制改革会議の最優先案件として取り上げられたように、社会福祉法人と株式会社・NPOのイコールフッティングの確立が叫ばれ始めており、それへの対応策としては次の2つを検討すべきだ。

(1)社会福祉法人について、株式会社・NPOと同等にするため、税制面などでの優遇措置を廃止する。
(2)株式会社・NPOについて、社会福祉法人と同等の税制面などでの優遇措置を新設する。

上記(1)は、相当の利害調整を要するので相当難儀になることが予想される。上記(2)は、政治判断さえあれば比較的実現しやすい。これに関連する政策提言を別のブログで書いたので、適宜参照されたい。



<資料>

(出所:厚生労働省)

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