犬がおるので。

老犬から子犬まで。犬の面倒をみる暮らし。

水芸

2016年07月04日 | おせわがかり日誌


ある朝のことじゃった

その日も朝からこん毛ファーミネーターにいそしんでいた
若干むずかりつつ、割合いい子にファミられていたこんちゃん
まあまあ平和な朝だった




どうやら玄関(外側)で人の気配がした様子で、
折れ耳がうなりながら向かい、バウバウ吠えた
やめなさいというとやめるがまたすぐバウる


いやじゃ いやじゃ いやじゃ こわいのじゃ




オレコが吠えると必ず焦るこんちゃん
怒声におののいて、手足をじたばた



ごめん ごめん ごめん
オレコちゃんこわいねー やーねー


口先で謝りながらも制限時間いっぱいまでファミろうと、
しっかり抱っこして仕事を続けた




どうやら『玄関の向こう』の悪者は去ったみたいで
こちらをちらり「ごめんわん」と一瞥、リビングに戻ったオレコ


もう大丈夫だよー 大丈夫だからねー
いやじゃ いやじゃ いやじゃったらいやなのじゃ


なお、じたばたなこんちゃん
落とさないようにしっかり抱っこしていたら・・・




いやじゃなのじゃーーーーーーーーー!


しまった!と思ったがもう遅い
聴きなれた、あの音が鼓膜を震わす


じゃーっじゃっじゃっじゃじゃっじゃ




仰向けにだっこして膝の上に乗せていたから、
そのとき、こんちゃんのおてんてんは、天を向いていた
その瞬間、スローモーションのようだった
まるで水芸を見ているようだ
アーチを描いて落ちていく、こんちゃんのお小水
「美しい」とさえ思った




噴水から湧き出る水のように、あれが、シュプールを描く室内
マットが、じゅうたんが、レースのカーテンが、黄色く染まっていく
しょんべん小僧を抱っこしながら止まらない放水の様子に心奪われ呆けていた
カーテンが黄色くなっていくのにやっと気が付いて(脳が反応して)、
「ああ、ああ、ああ」と嘆きながら、右に左に、こんちゃんを動かし、
被害は余計に甚大化。こんなときはこれまでの経験も何も役には立たないのね。


ちゅるちゅるちゅるちゅるー




勢いを失いつつ「もうこれ以上出ませんので」と詫びながら、おてんてんの放水は終わった
自責の念に駆れた老犬が、ぺろぺろと自分で始末し出そうとしたので、それを強く遮り、
うちでは無用のため(二人ともトイレを使わない)しまいこんだペットシーツを慌てて出してきた




事故現場のそれを素早く吸い取る⇒水拭き⇒空気を吸い込んで確認⇒やや匂う
⇒匂いとりスプレーを撒くかどうか悩む⇒老犬が舐めるだろう⇒諦める
⇒今すぐすべてを洗いたいのを我慢⇒夜の洗濯にすべてを託す⇒家を出る




そういうことがあった、先週じゃったのじゃった
事件は毎日のように起きている
でもこんなことが私を幸せに、人生を豊かにしてくれている