
お休み(8/13~16)の間、ちょっと用事があったけど、
少しの留守番を除いて犬たちと長くいることができてよかった。
楽しみにしていた病院の待ち時間は、
意外にも待ち人おらずのスムーズご案内で、
本を4冊も持って行ったのに、文芸春秋の又吉さんのインタビュー記事を数行読んだらすぐに呼ばれてしまう。
そして5分ほどで診察は終わり、この先の予定がどんどん決まった。
再来週MRI検査⇒その翌週MRI検査の結果発表⇒問題なければ摘出(いつやるかは相談)
多分問題なく摘出できると思うけど、もしやるならお休みの前がいいな、という希望があった。
麻酔は局部だし、ちょっと切開して中のものをとって閉じる、というものだから、
副作用も大してないだろうとは思うのだが、術後、もし、痛みやなんかが発生するなら、
2匹分の散歩がきついかもしれないし、日常生活がしんどいかもしれないし、
その期間はお休みにあたるほうがいいな、おあつらえ向きに9月は長い連休もあるし、とぼんやり思ったからである。
同じ手術をした人は「筋肉を使うとき、痛みとか、つれる感覚があって、しばらくつらかった」と言っていた。
自分だけラッキーなんてことがあるだろうか。用心するにこしたことはない。
まあでも病院の都合もあるし、いつになるかはわからない。
早くやってしまって終わらせたい、という気持ちもあるんだけど。
そういうわけで待つこともなくさっさと終わってしまった、この夏一番のお楽しみ時間。
文芸春秋を数行読んだだけ。

実は以前からのどの痛みを訴えていた夫。この日、一緒にやってきていた。
長期間痛みを訴えていたのだが、忙しさにかまけてなかなか診察を受けなかった。
数年腕のしこりに悩まされていたわたしがいよいよ行くわ!というので、
ちょうど休みだし、重い腰をあげてやっと耳鼻咽喉科に行くかということになり、
別のフロアで診察待ちをしていた。
私のほうは診察の先生もひとりだし、総合病院の形成外科って少ないので、
時間がかかるだろう、というつもりで出かけてきたのだが、いやはやどうして。
オールシーズン大人気大混雑の耳鼻咽喉科の実力をなめていた。
すべて終わって見に行くと、番号的にまだまだ呼ばれないかんじ。
受付で30分以上は待たされ、私の診察とかカルテ処理が40分くらいだったから、
1時間以上は待ってることになるのだが、まだまだ先の模様。
しめしめ、と、持ってきた本を読む。
「文芸春秋9月号」の続きにしようか、「東慶寺花だより」にしようか、「永い言い訳」にしようか、
もう、わくわくしていたのだけれど、結局、GWに読もうと購入したけど決算が終わった疲労で読めず、
休日に細々読み続けていた捏造の科学者 STAP細胞事件 須田桃子を手に取った。
病院の待合室で読むからなのか、どんどん進む。
これは研究者の道を断念した記者の書いた本なので、たくさんの科学者たちへの取材というベースがあり、
当事者である科学者たちよりフラットな目線で見ているように感じられる。
ああ、あのニュースが盛んだったころ、舞台裏ではそんなことがあったのか、
「陽性かくにん よかった♡」を表に出した意図はそういうわけだったのか、
笹井先生はこの時点まで完全に小保方さんの技量を信じてたんだ、というのが、
「取材の最前線でその真偽を追う記者の臨場感がひしひしと伝わってくる。
故笹井芳樹氏をはじめ渦中の関係者らとやりとりした膨大な取材メールが圧巻(産経書評)」
なのだ。
この本について、特に須田さんの科学ジャーナリストとしての資質を疑う人たちの書評を見ると、
ああ、そこは足りない面があるのだな、ある面ではフェアじゃないな、という印象だけれど、
あれだけわかりにくい事件を、当事者との膨大なメールのやりとりを提示しながら、
時系列に、かくも包括的に記述した資料を生んだことの功績は、大きいのではないか。
少なくとも私は亡くなった笹井さんがどのようにSTAPに巻き込まれ、あるいは支配しようとし、
やがて亡くなってしまったのか、笹井氏の心の動きの一部分を見た気はしている。

ただ、残念なことに、見出しになるようなスキャンダラスなセリフの殆どが、
匿名の科学者や研究者によるもので、立場上致し方ないのだとしても、
物語を運ぶ勢いにこそなれ、信憑性や客観性に欠けるな、と感じた。
それから、捏造以外の仮説もほしかった。だがまだ読み終わっていない。まだ途中。
夫と待っている間にかなり読み進み、トータルで2時間は待ったのだろうか、12時を回り、
13時近くなって、ようやく呼ばれて、ピースサインで向かった夫、ようし本腰を入れて読むぞ、
と構えていたら、鼻を抑えた夫が、すぐに戻ってきた。なんとかスコープで検査したのだった。

症状をネットで調べると、もしかしたら、重い病気かも、など、いろいろ心配していたのだったが、なんと。
「禁煙による症状」
というのだった。えー、なにそれー。禁煙したのに具合悪くなるの?
夫はバカがつくほどのヘビースモーカーだったが、禁煙して1~2年になろうとしている。
その後遺症というか、副作用というか、なんていうかそうなのである。
確かにのどのまわりは赤くはれていて、痛みがあり、声はかすれる。
普通に考えると、禁煙によるストレスがなくなっているはずなのになぜ?と腑に落ちない。
でもこれは長期間ヘビースモーカーだった人が禁煙してしばらくの間(2~3年)見舞われる症状なのであり、
病気由来のものではないので、したがって、治療法というのもない。
薬も出すとしたら精神安定剤のようなものしかないし、ちなみにこの件での診察は今日あなたが三人目だ。
今日だけで三人目ということは診療日を250日として、年間750人。波こそあれど。
それだけの人が来て「禁煙したのになぜ?」と訴えたら、現場の生データとして、
お医者さんの頭の中には、蓄積されるのであろうなあ。

そういえば夫がかかりつけの先生に「もしかして禁煙のせい?」と聞いたら、
先生と看護婦さんとで大笑いして「そんな話は聞いたことがない」といったそうなんだが、内科だから致し方ない。
禁煙くらいしか理由が見当たらなかったので、先生の「一笑に付す」で、夫も私もたいそう不安になった。
これが専門医と専門外医の違いなんだね。臨床の場数がものをいう。
耳鼻咽喉科の現場では「禁煙後の症状」として、のどの痛みで来院される方は多く、
だからといって禁煙が悪いことなのではなく、のどのまわりが以前の劣悪な喫煙環境から、
禁煙した環境に適合するまでのステップなのだ、と、説明を受けたそうで、わたしも妙に納得。
医学書にも描かれていないし、医学会で発表があったわけでもないから、ほかの科の先生方はあまり知らない。
だが、耳鼻咽喉科(総合病院などの)の現場では、わりと当たり前のことなのだそう。
したがって、処方箋もなく、あと数年、痛みに耐えての生活となるが、
痛みの理由が重い病気じゃなくてよかったよかったと始まった休暇一日目であった。
そのあと地元の駅前にできた大きなホームセンターでちょこっと買い物をして帰宅した。
犬たちは短い留守番で済んで大喜びだったのだが、
お父さんのお布団の上にはごみ箱からひとりでに出てきたごみ類でいっぱいだった。
ごみも一緒にお出かけしたかったのだろう。