彼はいつも不運な男。
この日も雨の中、おうちの人(中にいる)に気づかれず、
ただただひっそりと、待っている。
窓の開くのを。
おうちの人が気づいて入れてくれるまで、ただじーっと。
縁側だったり、ガスやエアコン室外機の上で、じーっと我慢して待っている(鳴けばいいのに)。
彼はいつも不運な男。
木枯らし吹きすさぶ寒い夜、台風の日も、そうだった。
そのたびに「ええなんでこんなとこに猫がじっとしているの!」って、びっくりするのだった。
家の人が気づかないのが悪いというより、タイミングが悪いみたいだ。
多分、入れてあげるけどまたすぐ出たがったりするような男なのだろう。
もしかしたら、厳しい環境で、待ち続けること、
そういうのが、好きなのかもしれないね。
・・・仕事か。
まあでも、にんげんにもたまに、いるよねー、修行好き。
でもさ、この日の雨は、このあとだんだん強くなってきて、他人の私も心配だった。
切なそうに窓を見つめるちゃとらーん。
ああ、はやく入れてもらえますように。
なんらかの修行だったとしても。