くつろぎ日記

ストーリーとセリフに注目したドラマレビューです。

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哀しい予感

2005-09-21 18:23:27 | book
吉本ばなな著

かなり古い作品です。
若いころ、この透明な世界にのめりこんだ覚えがあります。

バリアーをはることでやっと人波に入れる自分や、
人間関係を構築できない弱さを露呈してしまい
情けなくも本に逃げたくなっています。
しかし昔、優しく迎えてくれたこの本は決して優しく読み通すことが
できなくなっていました。

弥生は幼いころに封印された記憶を19歳の時に蘇らせて
叔母と間に秘密があることを知ってしまいます。
そしていつの間にか弟との間に入り込む深い思いも悟ります。
その経過を軽井沢や青森へと旅することで
少しずつ明らかにしていきます。

このタイトルの「哀しい予感」の意味は
弥生は予知能力があるために家族旅行の前日に
ある哀しみを感じて泣いてしまうという部分にあります。
記憶に残る楽しい思い出と、真っ赤な夕焼けに象徴される
哀しい思い出が弥生の内側を湿らせてしまいます。
それは同時に私にとっても悲しみの風景のように写ります。

叔母の家の汚れた雰囲気がなじみやすさをかもし出し
引越し前に住んでいた家の間取りの風変わりさを浮き彫りにします。

若いときはピュアで不思議な読後感で満たされていたものが
今は全く違って受け止めてしまいます。
両親の思い出を忘れないために家に残り続ける叔母の慕情。
予知能力を持つことで知らなくてもいいものを見てしまう弥生。
そして暖めてきた弟への恋心と、
考えてみればいくつものテーマが詰まっていました。
吉本ばななの初期の作品であり作者自身も未熟だと語りますが
何でもないことにもいちいち反応して涙してしまいます。
ラストはどうなるのでしょうか?
実の弟ではないと知った以上、この恋を成就させることは可能です。
しかしその先には面倒な現実が横たわっていることは違いないようです。
できれば幸せな予感をと願う私がここにいます。

自分の心が弱くなっていることを確認したようなものですが
しかし言葉の魔術師の片鱗はすでにうかがえていたと思います。
吉本ばななの持つ不思議世界への誘いとなりました。
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4 コメント

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Unknown (neko)
2005-09-21 22:19:00
懐かしいですね~

私もずいぶんのめり込ませていただきました。

でも「哀しい予感」、読んだのに忘れてしまってます。

今読んだらまた違うのでしょうか。
不思議世界・・・ (かりん)
2005-09-21 22:56:58
nekoさん♪ こんばんは

私も内容は忘れていました。

ふわふわした実態のないような心地良いような読後感を覚えていたのですが。

現実に生きてる今と夢見る世界に住んでた自分との違いでしょうか。
私も好きです (サンド)
2005-09-21 23:21:47
かりんさん、こんばんは。

「哀しい予感」は私も今年読みました。

以前吉本ばななを読んだ時は、あまり好きになれなかったのですが、

今年読んでからは、すっかりはまってしまい、かなり読みました。

すごくピュアな心の世界に惹かれ、いつまでもその世界に浸っていたい…と読み終えるのが惜しくなります。
ピュアな世界・・・ (かりん)
2005-09-22 12:48:02
サンドさん♪ こんにちは

サンドさんも以前と今の違いがあるのですね。

ばななさんの著書は行間に込めたにおいがいいと思います。

それが読み手の脳を刺激するのかその時々で読後が変わってくるようです。

・・いつまでも浸っていたい・・そんな風に言って貰えるばななさんは幸せです。

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