くつろぎ日記

ストーリーとセリフに注目したドラマレビューです。

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貴婦人Aの蘇生

2005-09-22 12:25:33 | book
小川洋子著です。
「博士の愛した数式」に深く感動して
小川作品にもう一度つかってみたいと思いました。
この本は「博士・・」の3年ぐらい前に出版されています。

剥製収集家だった叔父が死んだところから物語は始まります。
叔母はロシア人でいつでもどんなものにもAという刺繍をしています。
この叔母と私とボーイフレンドのニコ、
そして剥製マニアのオハラの4人が登場人物です。
オハラが剥製を買いたいと申し入れても叔母は手放しません。
この叔母から写真を貰ったオハラは叔母のことを
アナスタシア皇女ではと言い、その謎を解くように奔走し、画策します。

登場人物は現実離れしていますが自然に受け入れることができました。
文章自体は突き放したようなすっきりした書き方をしています。
その一方、温かみの空気とも思える小川洋子の世界を感じます。
まだ2作品しか知らないのですが共通するのは痛みのある世界を
淡々と優しいまなざしで描かれていることです。
ボーイフレンドのニコは強迫性障害で回転ジャンプをしないと扉を
くぐることができません。
こんなニコのルールをごく普通のルールとして受け止め
何時間でも待ち続け、扉にたどりつけないときは
私も叔母も一緒に扉に入りません。
生きにくさの持つ特殊性ををありふれた日常に変えてしまった、
小川洋子氏、好きだわとしみじみ思っています。
剥製、洋館、アナスタシア・・どれをとっても大仰なイメージが
沸いてきますが、それを表に出さない冷めた筆の力が
ごく静かな流れでラストへと誘います。
叔母はアナスタシアだったのでしょうか?

そんなことは実は誰も問題にはしていなかったのです。
自分のルールをごく普通に実践すればいいのだと
実感として理解してしまう不思議さがそこにはあります。
片隅に追いやられている内側にあるものを
そっと取り出してふんわり包んでくれたような
なんともいえない心地よさを感じる小川作品でした。




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2 コメント

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小川洋子さん、 (neko)
2005-08-23 09:24:21
読んでみたいな~って思いました。

まずは「博士の愛した数式」の予約を入れておきましたが待ち人が多いので、少し時間がかかりそうです。
ハンカチのご用意を・・ (かりん)
2005-08-23 11:07:10
nekoさんも予約派でしたか。

私も「博士・・」をだいぶ待ってから読んだのです。

さらりとした文体でしたがぼろぼろ泣きました。

「貴婦人・・」の方はもっとあっさりしてますが

テーマは似てるかもと思います。

です。

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