KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

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2009別府大分毎日マラソン展望

2009年01月31日 | マラソン時評
「若手の登竜門」と呼ばれてきた別大だが、昨年は久しぶりにその名称にふさわしく、初マラソンの23歳のランナーが優勝を飾った。昨年も書いたが、その足立知弥、インターハイにも都大路にも縁がなく、高校卒業後に長距離の名門旭化成入りして4年目の快挙だった。つまり、昨春卒業した「箱根駅伝のスター」たちと同学年である。箱根駅伝がやれマラソンの強化につながっていないだマラソンをダメにしたとかいう意見は雑誌やネットでもよく見かけるが、彼らが足立について言及していないのが不思議である。五輪代表決定戦でないマラソンなど、誰も注目しないということか?

その足立が満を持して2度目のマラソンに登場。2回続けて結果を出せないと上には上がれない。サブテンで2連勝の期待がかかる。

今回、僕が注目しているのは、元旦のニューイヤー駅伝からちょうど1ヶ月後のレースであること。足立はアンカーとして、トップから1秒差の3位てゴール、区間2位の力走を見せながら「1秒の重み」を味わった。他にも最長区間(22.3km)で区間賞を獲得した初マラソンの秋葉啓太(小森コーポレーション)、同じく最長区間を走った福山良祐(JALグランドサービス)、そしてコニカミノルタのエース、太田崇。彼ら「ニューイヤー組」と、小林誠治に原和司(三菱重工長崎)や中崎幸伸(トヨタ自動車九州)に三行幸一(Honda)ら「不出場組」のどちらが上位に食い込むだろうかということだ。一般的にマラソンのトレーニングにおいて、ちょうど1ヶ月前というのは走りこみの疲れが出てくる時期である。そんな時期にハーフマラソンに単純換算してハーフの日本最高記録を越えるペースで走っているアキバ系、もとい秋葉啓太は驚異的な存在だ。はたして、ぶっちぎりのハイペースで飛ばす走りをするか、それとも大阪の渋井陽子のように抑え目に入って後半勝負に出るか、おそらくは、中間点を1時間4分前後で通過するペースで、ペースメイカーが引っ張るであろうが、後半は1時間3分で上がるようなレースを見せてくれたら嬉しいのだが。

むしろ、「不出場組」の方が「マラソンのためのトレーニング」に専念していたから有利、という見方も出来る。小林や中崎らベテランにはプラスかもしれない。中崎に原、そして片岡祐介(大塚製薬)、彼らは'05~'07年に北京マラソンを走っているが以後、マラソンでは結果を出せていない。五輪前にはやたらと強調して報じられた固い路面と大気汚染の影響で競技生活にも影響を与えるほどのダメージを受けたのだろうかと心配だったのだが、昨年のびわ湖で、'05年の北京で5位に入賞した大西雄三(日清食品グループ)が大幅に自己ベストを更新してみせた。彼らには「カムバック賞」ものの結果を残して欲しい。前述の三行、一般参加のランナーの中では僕の一番の注目株である。川嶋伸次氏が東洋大の監督に就任してから「最初のエース」で4年の時には2区で区間賞を獲得している。彼に襷を渡したのは、旭化成入りして2年前の世界選手権代表になった久保田満である。最近、箱根駅伝への関心度が低くなっているのは、卒業後、マラソンで活躍するランナーがあまり見られなくなっているからなのだ。特に2000年以降、その傾向が強い。同学年の久保田や藤原新(JR東日本)らに追いつき、追い越して欲しいと思う。他にはJALの福山も面白そうだと思っている。

外国勢についてだが、別大にやってくる外国人というのは、他のメジャー大会に比べると個性的なランナーが多かったという印象がある。'90年代、各地の都市マラソンを席捲したディオニシオ・セロン、バルセロナ五輪の金メダリストのファン・ユンチョなどはメジャーな存在だが、レースも強いしペースメイクも巧い、ゲルト・タイスにサムソン・ラマダーニ、ポール・テルガトの世界最高記録樹立に一役買ったサミー・コリルに、元祖留学生のダニエル・ジェンガらの走りも忘れ難いが、僕が好きだったというか、印象深くて何度もビデオで見たのが、'95年優勝の「空飛ぶオーストラリア人」(僕の命名)、パトリック・キャロルと、'97年優勝のローランド・べラである。いずれも、前評判は決して高くなかったが、前半は先頭集団にはつかず、後半のペースアップでトップに躍り出た。僕にマラソンの「奥の深さ」を教えてくれたランナーたちである。キャロルが履いていた、英国R社の紐なしランニング・シューズを探して買ったほどである。今回もオーストラリアのスコット・ウェストコットに注目している。過去2回このコースを走って、2位、3位にゴールしている。経験の浅い若い日本人ランナーに立ちはだかる壁かもしれない。福岡に一般参加で来日歴もあるデール・ウォランダーにも、「ポール・バリンジャーの再来」を期待してみようか。

当日は丸亀ハーフに行くためにリアルタイムでは見られないが、帰宅後ビデオを見るのを楽しみにしておこう。



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