KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

マラソンを愛する皆様、こんにちは。
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マラソンに殺されない法 vol.7

2012年01月19日 | マラソンに殺されない法
前回、目指すマラソンまであと1ヵ月足らずとなってなお、ランニングが生活習慣として定着しておらず、10km以上走った経験もない、というのであれば、マラソン出場断念も選択肢に入れるべきてあるという話をしました。

正直、

「大きなお世話だ。」

「出場料を払ったのはオレだ。走ろうが走るまいが、オレが決める。」

と思われたかもしれません。しかし、今回はあえて「大きなお世話」を焼かせていただきます。決して、あなたのためではありませんので。

まず、おたずねします。あなたは、マラソンの当日、会場までの行き帰りはどうなさるつもりですか?最近のマラソン大会、都市の中心部からスタートする大会だと、マイカーで会場入りというのは困難になっています。やはり公共交通を利用ということになるでしょう。

あなたが、ゴールまで、なんとか制限時間の範囲でたどり着けたとします。初めてのフルマラソン完走。感動と達成感を心ゆくまでかみしめたいと思うでしょうが、42.195kmもの距離を生まれて初めて走り(歩き)通したことで、あなたの肉体が受けたダメージは、たぶんあなたの想像を越えるものであり、感動の余韻を跡形もなく消し飛ばしてしまうでしょう。

ゴールした跡、倒れこむ、ということはなくても、まず、預けた着替えの入った荷物を取に行けるでしょうか。僕は2度目のマラソン完走の直後、しゃがみ込んだら立ち上がるのに10分以上かかりました。両足が痙攣を起こし、文字通りに「足が言う事を聞かない状態」になっていたのです。

あなたは自力で着替えて、予約していた通りの時刻に、最寄の駅にたどりついて、帰途に着くことができるでしょうか?

「行きはよいよい 帰りはこわい」

ではありませんが、マラソンを完走した後、いかにして無事に帰宅するかということを意外と見落とされているのではないでしょうか?少なくとも、公共交通を利用するのであれば、ゴール後、会場を出発する際、かなり余裕を持ったスケジュールを立てるべきです。だいたい、ゴールしてから会場を出発するのに、2時間は見ておくべきでしょう。ちなみに、愛媛マラソンの発着会場から最寄の駅、JR松山駅も伊予鉄松山市駅も徒歩で10分くらいの距離ですが、倍の時間はかかると見ておくといいでしょう。最悪の場合に備えてタクシー代金は用意しておくべきでしょう。あまりに近過ぎる距離ですから嫌がられるかもしれませんが。

今まで体験したことのないような足の筋肉痛に見舞われているでしょうし、あなたが使用したシューズとあなたの足の相性によっては、マメができてそれがつぶれて足が血まみれになっているかもしれません。あなたは大会会場からの「帰宅困難者」となる可能性大です。だからこそ、最悪の事態に備えましょう。

大きなダメージを受けるのは、筋肉だけではありません。あなたは初めてのマラソンの完走の後に飲むビールを楽しみにしてらっしゃるのではありませんか?僕もビールは好きですが、マラソンを走り終えた後のあなたの内臓も深いダメージを負っています。その上、身体も冷え切っています。おいしいビールも、帰宅したあなたを待っているおいしい食事も、あなたの胃腸が拒絶してしまうかもしれません。特に揚げ物や肉類などは避けた方がいいでしょう。暖かくて消化のいいものが内臓に負担をかけないからいいでしょう。うどんや雑炊、湯豆腐などがおすすめです。特に、筋肉の疲労回復にはタンパク質やアミノ酸が必要です。

さて、レースの翌日、あなたはいつものように出勤されるのでしょうか?あらかじめレースの翌日も有給休暇を取得している、というのであればいいのですが、かつて僕が勤務していた会社のように、一年間に一度も有給休暇を取得しなかった社員を表彰するような会社であれば、休むわけにはいかないでしょう。あなたを帰宅困難者にしてしまうほどの強烈な筋肉痛が一晩寝ただけで回復するわけではありません。もし、仕事の能率にも影響が出るようであれば、あなたがマラソンを走ると聞いて、

「それはすごい。がんばれよ。」

と励ましてくれた職場の同僚や上司も快くは思わなくなるでしょう。もし、あなたの同僚が、日曜日に釣りやゴルフに出かけて、疲れたから月曜日に会社を休ませ区くれ、と言ったらあなたはどう思われますか?

「そんな甘えたことが通用するか!」

と思われるでしょう。常識のある大人なら、誰でもそう思うはずです。釣りやゴルフならいいけれど、マラソンなら許される、ということはありません。別にあなたは実業団ランナーのように、会社の看板を背負って走ったわけではないのですから。

元タレントの上岡龍太郎氏は毎月のようにフルマラソンに出場し、どの大会でも1km6分ペースで4時間30分前後で完走していました。実は、一度だけ「記録を狙って、4時間を切ってゴールしたことがありましたが、上岡氏は常に、余力を残してゴールしていたのだといいます。今どきのマラソン大会以外ではどんな仕事をしているのか分からない「走るタレント」と違って、テレビやラジオのレギュラー番組や、舞台の司会などの仕事も多数抱えていた氏は、マラソンの疲労で仕事に穴を空けてしまうわけにはいけない。という事情があったからです。あるいは、趣味のボートレースで負傷し、その夜のテレビ生出演をドタキャンした、後輩の横山やすし氏を反面教師としていた、という説もあります。

マラソンを完走しようと思えば、余暇の時間のほとんどをそのために継ぎこまなければいけません。しかし、決しても仕事や家庭よりも「優先」すべきではありません。それでいて、42.195kmを走り通してなお、翌日からは通常の生活に戻れるだけの余力を残せるだけの身体も作っていないのにマラソンに出場するのはいかがなものかと思います。あなた自身にとってもそれは不幸なことだと思いますし、決していい体験とはならないですし、何よりもあなたの家族や職場の同僚の皆さんにとっては大きな迷惑になりかねません。そして、マラソン開催のために、日常生活にとって大事な道路を交通規制されて半日もの間不便を強いられる、コース沿道の住民の皆様のためにも、準備不足でのマラソン出場は、再考が必要です。

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