KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

マラソンを愛する皆様、こんにちは。
2022年は積極的に更新していく心算です。

マラソンに殺されない法 vol.8

2012年02月02日 | マラソンに殺されない法
gooブログに移行して、初めての新着記事となります。OCNカフェ時代から引き続き愛読して下さっている皆様、今後もよろしくお願いします。そして、gooにて新たにこの駄文集を知った皆さん、初めまして。


8回目となったこのシリーズ、いつまで続くかは筆者の僕にも分かりません(爆)が、今後は、「まじめに走ってきた」皆さんに向けて、語っていこうと思います。

「まじめに走る」とは、どういう事か。村上春樹氏によると、それは「週60km、週に6日1日10km走ること」になります。なぜ、週7日ではないかというと、

「あらかじめ週に1日はお休みの日を設定しておく必要がある。」

からです。これは、かなり明確で分かりやすい基準だと思います。ただ、1日10kmしか走らないでいては、マラソンは走りません。週に1度は、20km以上走る日も必要です。その分、週に2日は走る距離を5kmに減らしてもいいわけです。ただ、休む日は増やさないようにしてください。

さて、2月に入り、あなたがマラソンのスタートラインに立つ日も近づいてきました。本番のレースにおいて、最も気をつけないといけないこと、それは、熱中症です。

僕が長年愛用している、金田一少年のじっちゃんのモデルである言語学者の先生が作った国語辞典で「熱中」という言葉を引くと、「一つのことに心を集中すること。夢中になること。」とあります。かつては、「熱中時代」という人気テレビドラマがありました。
「熱中」という言葉、そんなに悪い意味の言葉ではなかったはずです。「熱中症」という言葉を最初に知ったのは、10年ほど前にランニング情報誌の記事でしたが、最初は、何かに夢中になり過ぎて、失敗するようなことかと思いました。たとえばテレビゲームに夢中になり過ぎて視力を悪くするとか。

この数年、猛暑が続き、天気予報等でもこの言葉がすっかり定着していました。僕は「日射病」が「熱中症」と呼び名が変わったのかとも思っていましたが、同じ辞書で「日射病」を引くと、「太陽の直射光線のため、脳神経が傷害を受けて卒倒する病気。かくらん。」とあり、少し意味が違うかなと思いました。

さらにgoogleで検索してみると、「熱中症」というのは、「高温下で起こる全身の障害の総称」ということで、「日射病」も広い意味での熱中症に加わるようです。

熱中症の予防として、水分補給の重要性が広く知られることとなりました。僕よりも上の年代で学生時代にスポーツをしていた人は、練習中に水を飲むなとか、のどの渇きを我慢すれば根性がつく、という指導を受けた、という人もいるでしょう。僕も高校時代、部活の後、コーラやサイダーを飲むことに罪悪感を覚えていました。いわゆるスポーツドリンクが普及するのは、もう少し後のことです。

ランニング情報誌の企画で、「私の嫌いなランナー」なる読者からの募集企画があったのですが、その中に、

「練習中に、水を飲むなとチームメイトに強制するランナー」

というのがあって、いまだにそんな人がいるのかと笑ってしまいました。しかし、笑い事ではなく、昨年、地元の新聞の投稿欄に掲載された、古希の記念にと初マラソンに挑戦したものの、水を取らずに走り続けたために途中で身体が蛇行し始めたために、やむを得ずリタイアした、という手記を読んだ時にはぞっとしました。

「ゴール地点で待っていた孫に会えず、残念だった。」

とも書いていましたが、そんなあなた、お孫さんと永遠の別れになるところだったんですよ、と言いたいです。

今年の冬は例年に比べるとかなり寒い日が続いています。熱中症というと、夏、というイメージですが、熱中症の症状の一つである脱水症は、冬のマラソンでもよく起こります。
夏だと暑いので多く汗をかくために頻繁に水分を取りますが、冬だとそれほど水分も取りませんし、空気も乾燥していますから、体内から水分が失われても自覚していないことがあります。お正月の駅伝や、冬のマラソンをテレビで見ていると、快調に走っていたランナーが急にペースを落とし、最後にはジョグのようなペースになるどころか、何度も倒れながらゴールする、というシーンを見ることがありますが、あれはまさに熱中症の症状です。

走っていて足がつった、という経験のある方もいらっしゃるでしょうが、これも汗をかき過ぎてナトリウムが体内から欠乏した時に起こります。ランニングの際には水分と一緒に少量の塩をなめることも良いとされていますが、これは夏も冬も変り無いものと心得てください。ただ、水分の取りすぎも決してよくありません。トレーニング中にウエストポーチにペットボトル入りの水を入れて、水分補給しながら走る、という人もいますが、その際には、最低30分は間隔を空けてから水分補給するようにしてください。

かつては、テレビで「スポーツの感動の名場面」としてよく取り上げられていたのに、最近は全く取り上げられなくなったシーンがあります。'84年のロサンゼルス五輪の女子マラソンで、ふらふらになってスタジアムにたどり着き、何度も倒れそうになりながら、ゴールインした女性ランナーのゴールシーンです。特に日本では彼女の名前はその時の金メダリストよりも広く知れ渡りました。しかしながら、あれは言うまでもなく熱中症であり、あの時の彼女は大変な生命の危険にさらされていたわけです。熱中症の危険性が広く知れ渡るにつれて、あのシーンが「感動の名場面」と見なされなくなったようです。

冬の水分補給について、一つ問題があるとすれば、トイレが近くなることでしょう。ウーロン茶やブラック・コーヒーなどカフェイン入りの飲料はさけ、ミネラルウォーターやスポーツドリンクを常温で飲むのがいいと思います。


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