KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

マラソンを愛する皆様、こんにちは。
2022年は積極的に更新していく心算です。

マラソンに殺されない法 vol.6

2012年01月15日 | マラソンに殺されない法
新しい年を迎えて、いかがお過ごしでしょうか?あなたがマラソンのスタート・ラインに立つ日も迫ってきましたが順調にトレーニングを続けることが出来ましたでしょうか?


“走り始めてしばらくは、それほど長い距離を走ることができなかった。二十分か、せいぜい三十分程度だったと思う。それくらいで、はあはあと息が上がってしまった。心臓がどきどきして、脚がふらついた。長いあいだ運動らしい運動をしていなかったのだから仕方がない。走ることを近所の人に見られるのも、なんとなく気恥ずかしかった。(中略)しかし継続して走っているうちに、走ることを身体が積極的に受け止めていくようになったし。それにつれて距離も少しずつ伸びていった。フォームらしいものができて、呼吸のリズムも安定し、脈拍も落ち着いてきた。スピードや距離はともかく、なるべく休みを作らないように、毎日走ることをだいいちに心がけた。
そのようにして走るという行為が、三度の食事や、睡眠や、家事や、仕事と同じように、生活サイクルの中に組み込まれていった。走ることはごく当たり前の習慣になり、気恥ずかしさのようなものも薄れていった。スポーツ専門店に行って、目的にあったしっかりとしたシューズと、走りやすいウェアを買ってきた。ストップ・ウォッチを手に入れ、ランニングの初心者のために書かれた本も買って読んだ。そのようにして人はランナーになっていく。”


かつて、この欄でも紹介したことのある、村上春樹氏の「走ることについて語るときに僕の語ること」で書かれた、初心者ランナーが変化していく様を表わした部分であります。

はっきり言いましょう。この夏、大きなマラソン大会の出場権を得たことで走り始めたあなたが、この期に及んでなお、ここに書かれたような経験をしていないのだとしたら、悪い事は言いません。

マラソンへの出場は断念された方がよろしいでしょう。



どうされますか?

そんな事言われても、と思われるでしょうか?既に、家族や職場の同僚や上司らにマラソン挑戦を公言し、年賀状にも

「○○マラソンにチャレンジします。」

と書いてしまったのに、いまだに、10kmもまともに走っていない、どうしようかと悩んでたりはしていませんか?

「年末は仕事で忙しかったし、忘年会も多かったんだから仕方ないだろう。」

と言い訳される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そんな事は折り込み済みではなかったのですか?マラソンを始める、ということの本質をあなたが理解していなかったとしか言えません。

何も、年末繁忙期に仕事をさぼれとか、酒の付き合いをやめろと言うわけではありません。この記事のタイトルの元ネタである「田舎暮らしに殺されない法」の作者である丸山健二氏は酒を全く飲まず、酒に溺れる人間を軽蔑し、酒の存在そのものを否定している方ですが、僕はとてもそこまでの境地には達することはできない「弱い」人間です。

ただ、マラソンを走ろうかというのであれば、自分の生活を変える努力をして欲しかった、と思うわけです。忙しい時間の中からどうやって、トレーニングの時間を捻出するか、仕事や家庭との間で、どう折り合いをつけていくか、そのような部分で、自分の生活を見直していくことこそが、「マラソンを走る」ことの本質なのです。

日々の生活に追われる僕たちが、「何か特別なもの」になれるかと思えば、そんなに多くの選択肢があるわけではありません。その数少ない選択肢の一つが、「マラソン・ランナー」です。「マラソン・ランナー」になりたいと憧れ、それを実現していくプロセスは、実はあなたが自分自身を自分の力で変えていくプロセスでもあります。

今回、2ヶ月ぶりの更新となりますが、年末年始の過ごし方についても前回までにお話しておくべきだったかなと思います。普通の会社に勤めていれば、年末年始も4~6日は休日があったと思います。その休みの間、どう過ごされましたか?

2月以降にマラソンを走ることにしている者にとっては、正月休みとその直後の3連休というのは、絶好の、かつ、最後の走り込み練習のチャンスです。正月は帰省ラッシュが始まるまでは国道の交通量も少なく、空気も澄んでいます。そのような中、午前中にテレビで駅伝を見た後に、午後から着替えて外を走るのは本当に気持ちがいいものでした。かつては僕も正月にはそんな時間を過ごしていました。

「正月から走るなんて、どうかしてるぜ。」

などと、自分も今年はマラソンに出ることを決めたのも忘れて、朝から炬燵に入ってダラダラとテレビを見ながら酒を飲んで過ごしていた、というわけではないでしょうね?

少なくとも、残された時間はわずかです。もともと、夏頃から走り始めて、冬にマラソンを走る、というプラン自体が、走り始めてからフルマラソン完走まで2年をかけた僕から見れば、「無謀」としか見えないものです。あなたは、貴重な時間を無駄にしたとしか言いようがありません。

繰り返しますが、この年末年始にも、走ることを日常生活に組み入れることが出来なかった、という方は、マラソン出場を見合わせる勇気を持ってください。せっかく納入した参加料が勿体無いと思われるかもしれませんし、家族や知人に

「それ見たことか。」

と笑われるのを怖れているのかもしれません。

しかし、準備不足の身体でマラソンに出場し、肉体に大きなダメージを与えることが果たしていいことかどうかをもう一度考え直した上で、最悪の場合はスタートラインに自ら立つことを断念する、という選択肢もあることを自覚してください。



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