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kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

コーマン帝国

2012年07月04日 | 洋画(良かった、面白かった、気に入った)
日時:7月1日
映画館:サロンシネマ
パンフレット:A4版800円。ページの半分以上がロジャー・コーマン関連映画480本のフィルモグラフィーという水増し感が何ともロジャー・コーマン。(笑)

開幕早々、ロジャー・コーマン映画の予告編。チープな映像にキズだらけの画面を見ていると、少年時代に返ったようで何だか落ち着く。(笑)

語弊があるにせよ、一番分かりやすいフレーズ「B級映画の帝王」ロジャー・コーマンのドキュメンタリー映画で、本人をはじめ、ジャック・ニコルソンを筆頭に彼と映画作りをしてきた多くの映画人のインタビューで構成される。

ロジャー・コーマンの伝記と言えば20年前に出た「私はいかにしてハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか」(早川書房刊)であり、ワタシも映画本としてもビジネス書としても何度も読み返してきた。仕事で写真や動画を撮影する時、基本的な心構えはこの本から教えてもらったといっても過言ではない。(本当)

映画の方もこの本を読んでいる方がかなり理解が深まるし、まあ映画の方も半分くらいは本のおさらい(特に「The Intruder」のくだり)だ。(笑)

実際に当事者の口から話されると説得力もあるんだが、本では語られなかった笑えるエピソードをもっと欲しかったし、逆に「子連れ狼」に感動したというエピソードは聞きたかったところ。

コーマンの過去のTVインタビューなども取り上げられるが、一部、フランス語字幕のものがあり、ヨーロッパでも高く評価されていることが興味深い。

それら過去のインタビューで「スターウォーズ」などハイバジェットの映画を批判して、「芸術じゃない」と一刀両断にしているが、彼自身、結局はどんな映画か撮りたかったのか、ちょっと不明。先の自伝を読んでいても、彼の本質が時々見えなくなる。

関係者のインタビューの中では、やはり愛憎を込めてノリノリで話すジャック・ニコルソンが一番おもしろい。いつもの早口により拍車がかかるマーティン・スコセッシもいいし、お決まりのディック・ミラーも飄々とした感じ。ジョー・ダンテは悪ふざけが好きな永遠のオタク少年だ。(笑)

向こうの映画製作者はみんなアートが好きみたいで、事務所にはなかなかセンスのいい作品が置かれている。中でも、ロジャー・コーマンの弟、ジーン・コーマンのオフィスに舟越桂の作品があったのには、ビックリ。

映画のクライマックスはアカデミー特別功労賞受賞の場面。何というグッド・タイミング。最後に記念撮影をする場面でピーター・ボグダノヴィッチ、ジョナサン・デミ、ロン・ハワード、アラン・アーカッシュ、そしてジョー・ダンテら、本筋の教え子たちが師匠ロジャー・コーマンを囲むシーンには本当に涙もの。ここでは本筋ではないクエンティン・タランティーノなんて、邪魔に見えてしまう。

ところで、東京では「デスレース2000年」ほかの上映もあったそうで、広島でもフィルム・マラソンで4作品上映してほしかったところです。






題名:コーマン帝国
原題:CORMAN'S WORLD:EXPLOIT OF A HOLLYWOOD REBEL
監督:アレックス・ステイプルトン
出演:ロジャー・コーマン、ジーン・コーマン、ジュリー・コーマン、ジャック・ニコルソン、ロバート・デ・ニーロ、パム・グリア


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