kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

広島県立美術館特別展「サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法」

2019年01月09日 | 展覧会
「サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法」
会場:広島県立美術館
会期:2019年1月5日(土)~2月11日(月)





今回、ポスターアート展ということで、まずは解説も読まず、ざっと通し見。短時間で一巡してから、再入場。そうすることで第一印象を大切にして観覧することができる。

広告ポスターは一番最初に世に出る時、単品で人目に触れることは少ない。他のポスターと並べて掲示されることで作品が際立つものだと思う。なので、今回のようなボリュームでまとめて観ると、個々の作品の印象が薄れてしまうのも確か。

ただし、ポスター作品だけでなく、下絵やレイアウト構成図、当時のパリの写真なども併せて展示され、様々な角度から作品について知ることができる。

時代を感じさせないカラフルな色使いや言葉遊びとかモチーフのトランスフォームといった遊びごころにはフランスらしさを感じるし、作品の削ぎ落とされたシンプルさと分かりやすいメッセージは数多くの優れた工業製品に通じている。



さて、彼のポスターが張り出されていた時代、ヨーロッパはまさにマカロニウエスタン全盛期。たぶん、サヴィニャックのポスター横にマカロニのポスターが貼られた場所もあったに違いない。
ということで、ポストカードを並べて、当時のフランスの街角を妄想してみた。

(ちなみにこの「」(昔々◯◯で)というフレーズは、館内上映されているサヴィニャックのドキュメンタリーにも出てくる。多分、何かの縁がある。)

ところで、この展覧会、テーマ別の展示と解説も細かく構成されている一方、会場の面積と構造上、なかなか順路がわかりにくい。観覧の際は作品一覧と確認しながら、ご覧になることをおすすめします。
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ひろしま美術館特別展「シャルル=フランソワ・ドービニー展」

2019年01月05日 | 展覧会
「シャルル=フランソワ・ドービニー展」
会場:ひろしま美術館
会期:2019年1月3日(木)~3月24日(日)

今年の展覧会第一弾は「シャルル=フランソワ・ドービニー展」。

風景画中心の展覧会ということで、いかにもひろしま美術館らしい。(笑)

野山が好きな身としては、バルビゾン派の絵画は心安らぐものがあって、こんな森や平野、渓谷、海辺を流浪できたら、どんなに楽しいかと思う。(バルビゾン派とは元々そうしたもんだ。)

ただ、同じような風景画が続き、展覧会としては正直なところ退屈。

そんな中、ドービニーのアトリエ船の模型とか連作のエッチング版画「船の旅」とか遊び心に満ちた作品で楽しい。映画「ミスター・ノーボディ」のサントラが聴こえてきそうなのんびり感だ。

ところで今回、一番気になったのは、ドービニーにしては珍しく点描で描かれた「森の中の小川(Ruisseau sous-bois)」。このタッチ、どこかで見たような気がしたが、ナチ親衛隊の迷彩スモックのカモフラ柄にソックリ。
当時、軍需メーカーは影響を受けたかな?まさかね。

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教誨師

2019年01月03日 | ★★★★☆

◎教誨師の活動を描くヒューマンドラマ
◎重いテーマだが、重層的なストーリーが退屈させない

教誨師とは、死刑囚や受刑者に対し宗教教誨活動をするボランティアの宗教家のことで、ワタシも個人的に牧師の教誨師を知っている。また、そのつながりから本業で教誨師の全国大会にも関係したことがある。
さらに広島には刑務所も拘置所もあるし、通勤途上に位置する後者には死刑囚も収監されている。

なので、この映画はティザーを手にしたときから非常に気になっていた。(塀の内側で教誨師にお世話になったわけではないのは、良識ある社会人として申し添えておきます。)

主人公の大杉漣が扮するのは牧師の教誨師、佐伯。(こう書くと牧師だけと思われそうですが、教誨活動は宗派を超えて行われるので、僧侶や神職、神父ほかの教誨師もいます。)彼の6人の死刑囚への教誨活動が描かれる。

6人は17人を殺した若者、ヤクザの組長、関西弁のおばちゃん、無口な男、家族思いの父親、ホームレスの老人で、各人への教誨が断片的に描かれていく。

6人は死刑囚なので、もちろん罪状は情状酌量の余地がない殺人なのだが、全く個性の違う各人がどのような事件を起こしたのかは教誨を通して少しずつ明らかになっていく。同時進行で主人公佐伯の生い立ちも語られるという重層的な構造で、ストーリーに退屈することがない。(ただフィクションなので、本当にこういった死刑囚がいるかどうかは知らない。)

舞台はほぼ教誨室だけで、物語も会話を通して進行する。各人の犯罪は再現ドラマにはならないし、本当のことを言っているかどうかすら分からない。(その辺の教誨師の微妙な立場もさりげなく描かれる。)

やがて1名の死刑執行が決定し、佐伯も同席を求められる・・・。

登場人物のうち、一番感情移入するのは、もちろん主人公の佐伯に対してだが、死刑囚との受け答えがワタシの想定とは全く異なり、なるほど自分の普段の会話を強く省みることになった。言うまでもなく、ワタシなら相手を理ずくめで説得し、押し切ろうとしているところだろう。

また、当然のことだが、死刑囚と死刑制度のあり方や神の存在、宗教観などについても深く考えさせられるし、教誨師という役割の苦悩もヒリヒリするほど感じられる。(もちろん、映画の中で答えは提示されない。)

ドラマとは言え、この後、5人の死刑囚がどのような人生をたどるのか気になるところだが、大杉 漣の逝去でそれも分からなくなってしまった。

日程上、この映画が新春第一弾となったが、ちょうど普段より神仏に接する時期でもあり、今年一年の課題を与えられたという点では逆の意味で新春にふさわしい映画となった。

決して娯楽映画ではないが、拙文を最後まで読まれた方はチャンスがあればぜひ観てください。






題名:教誨師
監督:佐向 大
出演:大杉 漣、玉置 玲央、烏丸 せつこ、光石 研


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2018年ベスト映画

2018年12月29日 | 年間ベスト3
毎年恒例のベスト映画です。

◆ベスト映画
犬ケ島(字幕版)」
オープニングから一気に引き込まれた、日本を舞台にした人形アニメーション映画。
これまでにないレトロ・フューチャー感がたまらないです。

ホースソルジャー
典型的な戦争コマンド特殊部隊モノですが、兵法の手順をちゃんと描いたところがポイント高しです。アカの露助のボルシェビキの旧ソ連の兵器がワンサカ出てくるところもポイント還元率アップです。

ぼくの名前はズッキーニ
たまにこういう映画を観ると心が洗われますね。

ウィンド・リバー
重いテーマ、寒々とした風景、70年代な顔ぶれ、エンディングの銃撃戦と大好物のオンパレード。

他にも
キングスマン/ゴールデンサークル」(中身はともかくジュリアン・ムーア様だけで充分です。)
スリービルボード」(フランセス・マクドーマンドも好きです。)
ジュマンジ/ウェルカムトゥジャングル」「スターリンの葬送狂騒曲」「ボーダーラインソルジャーディ」「ボヘミアン・ラプソディ」なども良かった。

シネコンでの邦画公開が増え、洋画公開のスケジューリングが年々厳しくなっているのが骨身に染みます。

◆ワースト映画
犬ケ島(吹替版)」
当初はこれが早々にベスト映画に入っていたけど、改めて字幕で観たら吹替版は映画の良さを完全に殺していたことから急転直下ワーストに。

パシフィックリム/アップライジング
本業的にインバウンド効果は面白かったですが・・・

ザ・プレデター
なんて醜い出来栄えなんだ・・・

◆見逃して残念映画
「イカリエ−XB1」
チェコのモノクロSF映画。
絶対外してはいけない映画なのに、8月中旬のドタバタでフォローできていなかったのは、数年間は引きずるであろう失態。

年々、ちゃんとアウトプットできなくなっているので、来年は頑張ります。
では、また来年!!

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広島市現代美術館特別展「松江 泰治 地名辞典 gazetter」

2018年12月25日 | 展覧会
「松江 泰治 地名辞典 gazetter」
会場:広島市現代美術館
会期:2018年12月8日~2019年2月24日

飛行機で着陸の間際に見える景色が好き。眼下を走る車1台1台に運転手や同乗者、乗客、貨物の物語を想像してしまう。

もうひとつ、砂漠や荒地、雪原といった荒涼とした景色が眼前に広がるのも好き。こちらは中々お目にかかれないので、映画のスクリーンで堪能することが多い。

さて、そんな好みに見事にハマったのが、今回の「松江泰治展」。

最初の「Hiroshima 1983」と「TRANSIT」は路上観察の写真のようでそこまで好きではなかったが、第2室以降の世界中の旅先を撮影したものになると、もうワクワク感が止まらない。何でも今回の展覧会は中年男性の入館率が異様に高いらしいが、まあ、こういう写真が好きだよな。オッサン。

「YEMEN」「CYPRUS」「CALIFORNIA」とかの砂漠の景色って、たぶん何も面白くないのだが、ワタシは大好き。以前に観た「シナイ半島」というドキュメンタリー映画を思い出させたが、何の変化もないが個性あふれる砂漠や荒れ地を見ていると、そこに佇む自分を夢想して飽きない。(言うまでもなく「三つ子の弾ほしい百まで」*の西部劇好きやサバイバルもの好きが影響している。)

*「三つ子の弾ほしい百まで」:マカロニ諺。幼いころにガンクレイジーになると死ぬまで治らないの意。







ビデオ動画も面白くて、「ATLAS 121593」や「AYACUCHO 132681」なんて一人で1日中、見ていても飽きないと思う。以前同じ現代美術館で開催された「俯瞰の世界図」展にあった作品も大好きだったが、変哲のない景色の淡々とした変化はなぜか飽きない。毎日が慌ただしく忙しいから、逆にこういう景色を眺めることが贅沢なのかも。





とても気に入った「俯瞰の世界図」展でも広島市を空撮した松江泰治作品があったらしいが、あまり覚えていなかった。イッキ見した方が松江泰治作品は面白さがより伝わるな。




ワタシの友人に多いバックパッカーや旅行好きならきっと楽しめると思うし、こんな写真を見ていると世界の果てに旅したくなる。

興味深かったのは作家本人が旅好きの写真家というところ。ワタシも山に行って写真を撮るが、当然のことながら、山頂からの眺めや急な傾斜をいかに立体的に収めようかと苦心するのだが、松江泰治作品はあえて立体感を削ぎ落としていて、平面的にしか見えない。その辺の思いが作家性なんだろうと思うと面白い。

ちなみに本展は写真撮影可。そこはうれしい。
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アンダー・ザ・シルバーレイク

2018年12月24日 | ★★★☆☆
ハリウッドに暮らすプータロー青年、サムは、偶然、美人のサラと知り合い、翌日のデートを約束する。しかし、サラは謎を失踪を遂げ、謎めいた訪問者やメッセージを手がかりに彼女を探そうとする・・・

主人公の部屋に貼られたポスターやバーナード・ハーマン風の音楽、そしてドリー・ズームに見られるように、まずはヒッチコック風の巻き込まれ型サスペンスを思わせる。

サムはサブカル・ポップカルチャー好きで、コミックブックショップでアングラ同人誌「Under the Silverlake」を手にし、ハリウッドに隠された秘密とサラの失踪を重ね合わせて探っていく。
ハリウッドにはセレブとセレブを目指す人と特殊な人たちが溢れ、街なかではオールドスタイルな謎の暗号が飛び交う。そんな中、サムは迷宮のような世界に迷い込んでいく。

ワタシ自身はいわゆるオールドハリウッド映画やハリウッド・スキャンダルには疎いのだが、それを思わせるようなシーンや描写がどんどん出てきて、作り手の好みやセンスが全体にでている。
この映画の紹介では、前述のヒッチコック映画の他、「市民ケーン」「マルタの鷹」「チャイナタウン」「ラ・ラ・ランド」などが引き合いに出されているが、この他にも「フリッカー、あるいは映画の魔」「THE エージェンシー」「狼たちの街」「ゼイ・リブ」「ブラック・ダリア」「インヒアレント・ヴァイス」そして「ブルーベルベット」なども様々な陰謀論と、ハリウッドとカリフォルニアを舞台にした映画思い起こさせる。

主人公を演じるのはアンドリュー・ガーフィールド。ヌボーとした顔立ちと背の高さ故、オロオロ感も倍増。20年くらい前なら、異世界でオロオロする主人公と言えば、ジョニー・デップだったが、あんな感じ。(ワイルド&エロは除く。)

色んな謎がてんこ盛りで展開されるが、結局、多くの謎は説明されない。まあ、説明されても、主導権は作り手にあるので「はあ、そうですか」で終わりそうな気がする。

万人に楽しいですよとおすすめできる映画ではないが、先に言及した映画でピンと来る人はぜひ。
この映画を家で2時間見ろと言われたらツラいと思うので、逆の意味で劇場で腰を据えて観ることができたのは収穫だったかも。






題名:アンダー・ザ・シルバーレイク
原題:Under the Silverlake
監督:デイヴィッド・ロバート・ミッチェル
出演:アンドリュー・ガーフィールド、ライリー・キーオ

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ボーダーライン/ソルジャーズデイ

2018年12月01日 | ★★★★☆
◎派手さは薄めだが、緊迫感あふれるストーリー
◎各登場人物の立ち位置の変化が見どころ
◎第3作目にも期待

前作「ボーダーライン」はバイオレントなビジュアルの割に派手な銃撃戦もなく、何となく肩透かしを食らった印象があったが、その続編。

今回も主演は野獣のようなジョシュ・ブローリンとベニチオ・デルトロの二人組。メキシコ国境沿いの展開する犯罪組織に打撃を与えるため再び手を組み、国境地帯を舞台に法を無視した活動を行う。

前作の違法スレスレではなく、今回は犯罪組織トップの娘の武装誘拐をでっち上げ、犯罪組織間の対立を煽るという完全な違法行為。よって前作で狂言回しに使われたエイミー・ブラントはお役御免で、代わりに誘拐された少女が2人に絡むことになる。

対立を煽り、共倒れを高みの見物・・・という「用心棒」スタイルは早々に崩れ去り、主役2人も立ち位置が微妙に変化して共闘できなくなり、この辺から今回の主役が完全にデルトロになる。しかしあくまで雰囲気だけなので、彼がいつ殺されても不思議ではない緊迫感が漂う。

誘拐される少女は典型的にラテンな喧嘩っ早い性格で、最初は好きになれないのだが、途中からショートカットになった途端、ものすごく可愛くなる。好みだなあ。

改めて前作を見直すと、出来の良さに認識を改めた。
今回、メキシコ人の少年が徐々に犯罪組織の一員になっていく様が本編と平行して描かれるが、前作では悪事に手を貸す警官とその息子が対比になっていたと再認識。ジェフリー・ドノヴァンの黒縁メガネのCIA職員が前作にも出ていたとは気づいていなかった。
両作ともテイラー・シェリダンの脚本が素晴らしいのだが、メキシコ国境沿いの街には住みたくないなあ。(アメリカ旅行のついでにシウダー・ファレスに立ち寄ったのも30年も前の話。)

デルトロ目線で見ると作品の面白さが違って見えるのだが、シカリオ(暗殺者)の半生を描く第三作目は旧友の対決になるのか、師弟決闘になるのか、楽しみだ。

ところで本作の監督はステファノ・ソリッマ。マカロニ監督セルジオ・ソリーマの息子なのだ。だから「全編にマカロニテイスト溢れる映画に!」とは言わない(珍しく)けど、次の世代が活躍して、高く評価されているのを見るのは嬉しいね。






題名:ボーダーライン/ソルジャーズ・デイ
原題:Sicario The Day of Solidate
監督:ステファノ・ソリッマ
出演:ベニチオ・デルトロ、ジョシュ・ブローリン、イザベラ・モナー


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デス・ウィッシュ

2018年10月29日 | ★★☆☆☆
ホステル」とか「グリーンインフェルノ」のイーライ・ロス監督による、ブロンソンの「狼よさらば」のリメイク。

「狼よさらば」と言えば、馴染み深いのが原作のブライアン・ガーフィールド。彼が脚本を書いた「ホップスコッチ」は大好きな映画だし、犯罪アンソロジー「私は目撃者」も面白かった、近年では「狼の死刑宣告」で何十年ぶりかに名前を聞いたときには嬉しかった。

その「狼よさらば」はブロンソン主演だが、強盗に妻を殺された建築家が自警団活動をするうちに殺しの本能に目覚め、その反動で自殺願望(Death Wish)を募らせていく主人公像が良かった。最初は硬貨を袋詰したお手製棍棒でスタートし、やがて拳銃に進む暴力のエスカレートはワタシ好みだし、結局、強盗犯人は捕まりも殺されもしない重い展開も70年代だった。(その後、重武装化していくシリーズは置いておいて・・・)

ケビン・ベーコン主演の「狼の死刑宣告」も復讐が復讐を呼ぶ因果応報の連鎖がイヤな感じで好きな映画だ。

さて、ようやく本題だが、今回の主役はブルース・ウィリス演じるER担当の外科医。「狼よさらば」同様、自宅を強盗に襲われ、妻は殺され、娘は意識不明の重体になる。最初は警察の捜査に委ねていたが、捜査が進まず、娘の容態も改善しない現実に落胆する。

のだが、全然そんな風に見えないのがブルース・ウィリスの困ったところ。予想どおりと言えば予想どおりだが、ここまで元のキャラが鉄板なところはさすが大スターと逆に感心してしまう。

ERに運びこまれたギャングから偶然、拳銃を失敬した彼はネットで銃の扱いを勉強し、密かに訓練を重ね、悪を仕留めに街に出ていくようになる。この過程に全然逡巡が感じられない。映画の展開が見えていることもあるし、監督がそこを描くつもりがなかったことも感じられる。

さらにうまいこと家族を襲った強盗団も独自で判明し、無作為に悪に私的制裁を加える自警団から復讐者に変わっていく。こうなると「行き過ぎた自警団活動とその限界」という面白さがどっかに行ってしまい、復讐が成就することが映画の目的となってしまう。医者としてのモラルに悩むこともなくなったブルース・ウィリスが暴れるのを止めるものは、もはや何もない。そういう映画だから仕方ないんだけどな。

「狼よさらば」を知っているだけにそこに引っ張られてしまったし、イーライ・ロス映画に期待した悪趣味な映像もあまり見られなかったので、期待した割に残念な出来だった。






題名:デス・ウィッシュ
原題:DEATH WISH
監督:イーライ・ロス
出演:ブルース・ウィリス、ビンセント・ドノフリオ、ディーン・ノリス


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ザ・プレデター

2018年10月06日 | ★★☆☆☆
◎これまでと軸足を変えたストーリー展開
◎「7人」もののストーリーそのものは面白い
◎しかしながら、雑

「ダイハード」とか「ターミネーター」とか80年代から未だにシリーズが続いているものを見ると、業界も新しいネタがないのかなと思う・・・。

さて、プレデターシリーズ最新作。(前作「プレデターズ」)今回はかなり趣向が変わり、逃亡プレデターが(ハッブル宇宙望遠鏡をぶち壊しながら)地球に不時着。地球人にいったんは身柄拘束されるものの、当然のことながら脱出。ここに米軍病院から移送中のクセの強いチームが絡み、さらに追跡してきた凶悪(?)プレデターとの激突となる・・・。

書いていても思うが話自体は面白い。病院から脱走したはぐれ者の一団(当然7人!)が悪のプレデターと対決するというストーリーは「特攻大作戦」・・・いや「地獄のバスターズ」的に西部劇・戦争映画の王道だし、結果的に登場セグメント単位でメキシカンスタンドオフな三つ巴関係が形成されている。

なのだが、展開や細部、とにかく全体が雑。
全ての話が半径10キロ圏内で起きているんじゃないかと思うくらいご都合主義だし、それでいてストーリーがなかなか収束されない。
俳優の顔つきにも美術にも冴えたところがなく、80年代を思わせる画面感。
事件の発端となる主人公の行動は意味不明だし、ヒロインの科学者はなぜかなぜか武器の扱いに精通している。
特殊部隊員の主人公の奥さんは、旦那の武勲をべらべら喋る。(普通、特殊部隊員は家族に仕事のことは話さない。)
逃亡プレデターの行動もよくわからない。(異星人だから仕方ないんだけど)

シェーン・ブラック(監督・脚本)とフレッド・デッカー(脚本)って、才能があるのかないのか、よく分からない。R-15指定になった残酷描写は悪趣味で悪くないんだけどね。

「趣味でハンティングをする異星人」という大前提を崩せないから、ストーリーの軸足を変化球にしたのは良かったが、結局はファーボールで押し出しみたいなガックリ感だった。

ところで、途中登場する背の高い科学者を演じているのはジェイク・ビジー。彼の父親、ゲイリー・ビジーは「プレデター2」に出ていたが、もしやと思ったら役名は同じキーズ。劇中でも親子という設定な訳だが、気付いたところでどうこうなるものでもない。(笑)






題名:ザ・プレデター
原題:The predetor
監督:シェーン・ブラック
出演:ボイド・ホルブルック、オリビア・マン、キーガン=マイケル・キー
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ウィンド・リバー

2018年10月05日 | 年間ベスト3
◎サイコキラーものっぽいが、70年代を思わせるクライムサスペンス
◎インディアンの人権問題を根底に据えた重厚な内容
◎雪山と雪原の寂寥としたロケが美しい

撮影の困難さゆえ本数が少ないのだが、雪山が舞台になった映画は寂寥とした景色もサバイバル感も大好きだ。(「ヘイトフル・エイト」「レヴェナント

メインビジュアルからして、心底寒そうな本作、キャッチコピーはシリアルキラーものを思わせるが、実話ベースの真っ当なクライム・サスペンス。

OP、雪原で息絶える少女が映し出され、その後、野生生物局のジェレミー・レナーが発見するのが発端となる。ジェレミー・レナー、基本的に70年代の悪人顔でこういった映画にピッタリ。その胡散臭い顔立ちにホワイトカモフラージュのアウターとか前掛けしたザック、レミントン700とマーリン1895SBLモデルの扱い、痛んだアウトドアジャケットとカウボーイハットと何から何まで雰囲気がいい。別の俳優に置き換えるとしたら、ジョン・バーンサルくらいかと思っていたら、後半で彼も別の役で出てきて、なんだか製作陣と意気投合したみたいで嬉しい。(笑)

インディアン居留地で発見された少女の死体を巡り、都会のFBI職員が登場するが、彼女を演じるエリザベス・オルセンが美人ではないがほどよい幸薄そうなところがかわいい。都会のFBIと田舎の警察が対立するのはよくある展開だが、彼女、ものすごく理解があり、そういった展開にはならず、むしろストーリーの背景で描かれるのはインディアン居留地の諸問題、社会的待遇と劣悪な生活環境となる。

ただ、そこだけを声高に訴えるのではなく、犯罪捜査をきちんと進めていくので映画としても面白い。その辺はやはり監督・脚本のテイラー・シェリダンの手腕なんだろう。クライマックスもウエスタンしているのが嬉しい。変なトリックや思わせぶり伏線もなく、ストレートに事件解決に進むあたり、食い足りなさを感じないわけでもないんだが。

ジェレミー・レナー出演作の「ジェシー・ジェームズの暗殺」を彷彿とさせたが、音楽も同じニック・ケイブとウォーレン・エリス。どうりで雰囲気が一緒。

ところで、雪山・雪原ロケが美しく、アウトドア好きとしてはそれだけでも入場料の価値がある。こんな土地をとぼとぼ歩いたりしたら、さぞかし楽しいんだろうな。テント泊は無理だけど。






題名:ウィンド・リバー
原題:WIND RIVER
監督:テイラー・シェリダン
出演:ジェレミー・レナー、エリザベス・オルセン、ダニエル・グリーン、ジョン・バーンサル


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