kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ビッグ・アイズ

2015年03月18日 | ★★☆☆☆
日時:3月17日
映画館:シネツイン
パンフレット:B5横版




【間違えて行ってしまった八丁座に飾られていたマーガレット・キーンの作品】

大人気画家の本当の作者はその妻だった。という実話に基づく、ティム・バートンの最新作。事件の面白さもさることながら、キーンの描く絵画が現代のkawaiiに通じるところがティム・バートン好みっぽい。

主人公のマーガレット・キーンを演じるのはエイミー・アダムス、その夫ウォルターがクリストフ・ヴァルツ。ティム・バートンらしからぬキャスティングで映画の出来に期待したのだが・・・
ところが、ティム・バートンとしては、凡庸な出来。むしろ、失敗作になるんじゃないだろうか。

バートン作品の魅力と言えば、ちょっとずれていて、個性的なキャラクターや独特の世界観にあると思うのだが、本作ではそういった人物が全然登場しない。実話ベースだから仕方ないのかも知れないが、同じ実話ベースでも「エド・ウッド」にはもっと破天荒さがあり、ワクワクさせられた。プロダクション・デザインなども際立った「らしさ」が感じられない。前半のクラブの賑やかな雰囲気にティム・バートンの1950年60年代への憧憬が見え隠れするのだが・・・

ストーリーの方もティム・バートン映画によくある「人生つらくても笑える」に期待したのだが、今回は見ていてしんどくなるような話が続く。マーガレット・キーンが存命なため、気をつかったのかも知れないが、脚本もあまり面白みがなく、語りの中心がブレているようだ。

ドラマとしてより魅力的なのは、旦那、ウォルターの方ではないだろうか。
画家になりたかったが、才能がなく、その一方で営業センスは抜群にいい。自分にない才能に嫉妬する一方、絵を売り込む商才をいかんなく発揮することで周囲を幸せにも不幸にもしてしまう。最初はみんなのためと思っていたことが段々、破たんしていき、自分が目指したかったことも分からなくなっていく。才能の使い道を間違えなければ、幸せになれていたかも知れない人物。

これをクリストフ・ヴァルツの怪しい笑顔とハイ・テンション演技で見せるものだから、引きこまれない訳がないし、人間のいやらしさとか小悪党ぶりが一層引き立ってくる。その分「イングロリアス・バスターズ」のランダ大佐の延長にしか見えないのも難なのだが。

主人公が彼の方が映画的にも絶対面白かったと思うのだが、マーガレットの不幸や彼女の描いた絵画の面白さを同じ力量で描こうとするから、結果として軸足が定まらなくなってしまったかのような印象を受けた。

正直、この映画の監督がティム・バートンだと思えなかった。まさか、ゴースト監督!?

主役2人の他に主人公のマーガレットの友人、ディーアンをどこかで見たことがあると思ったら、「ブレイキング・バッド」のゴスっ娘、クリスティン・リッターだった。いかにもバートン好みの外見。

ところで、ウチの奥さん、小柄で眼が大きく、まさに「ビッグ・アイズ」か奈良美智の作品のようなのである。別に「かわいい」と自慢している訳ではない。






題名:ビッグ・アイズ
原題:BIG EYES
監督:ティム・バートン
出演:エイミー・アダムス、クリストフ・ヴァルツ



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