kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

アルゴ

2013年01月13日 | 洋画(良かった、面白かった、気に入った)
日時:1月12日
映画館:サロンシネマ
パンフレット:映画が広島に来る前にすでに売り切れ。残念無念。

公開前には「ベン・アフレックが骸骨騎士団と戦う?」などとウワサしていたが、とうとうアカデミー賞にもノミネートされた本作、ようやく広島でも公開。

劇場で予告編に続き、見慣れた70年代のワーナーブラザーズのロゴ。あれっ?近々、上映予定の「ワイルド・バンチ」の予告編?(この劇場では本当に近々リバイバル上映されるのだ。)と思いきや、そのままキズの入った制作会社のロゴとともに、1979年を舞台にした映画がスタート。

当時の映画会社のロゴを使ったり、キズを入れた効果を使うのは、タランティーノがよくやる手だけど、ハリウッドのメジャー映画で堂々とこの手を使われると、一気に気持ちが盛り上がる。

事の発端は1979年のイラン革命。暴徒がアメリカ大使館を占拠するが、その混乱時に職員6名が脱出し、カナダ大使私邸に逃げ込む。すでに告知済みの導入部であるにも関わらず、この顛末が当時の記録映像を交えつつ、時間をかけてじっくり描かれる。そのおかげで当時の社会情勢や緊迫感が伝わり、これがあとあと活きてくる。

そして、救出を偽装するための偽映画製作作戦「アルゴ」作戦の発動となるが、この辺はもうストーリーが分かっていることを前提に手短に描かれる。ここから、ハリウッド、ワシントン、テヘランの3つのパートが同時進行していく。陽のハリウッドと陰のワシントン、テヘランを小刻みに交互に描き、緊張感を巧みに持続させるなかなか編集の上手い展開。

ハリウッドパートは出演陣もジョン・グッドマン(←好き)とアラン・アーキンを筆頭にコメディ色の強い顔ぶれにし、どちらかといえばTVをメインで活躍する人を配することで、あえて軽いタッチにしているかのようだ。その中でも、プロデューサーの元妻兼映画「アルゴ」の銀河の魔女役がなんとエイドリアン・バーボー!最近、久しく映画には出ていなかったけど、なんてナイス・キャスティング!

ワシントンパートではボブ・ガントンとフィリップ・ベイカー・ホールの政治顔コンビという手堅い分かりやすさ。テヘランパートのカナダ大使役のビクター・ガーバーはTVスパイシリーズ「エイリアス」のレギュラー。同シリーズで主役だったジェニファー・ガーナーがベン・アフレックの嫁さんなので、そのつながりなのかも知れない。(ちなみに脱出メンバーの1人、クレア・デュバルも薄幸そうな顔で好きな女優さんの1人。)

他の出演陣に比べ、アラン・アーキンがあの出演時間でアカデミー賞の助演にノミネートされるなんて、プロデューサー役というあたりに何か大人の事情があるのではないかと勘ぐってしまう。(笑)

1980年の雰囲気はよく再現されているし、テヘランの遠景も何となくリアプロジェクションによる合成っぽくみえて、それが余計に時代感を出している。と、ドラマだけじゃなくて、映画の作りとしても意識的に70~80年代に見せているとしたら、大したものだ。

諜報テクノロジーももちろん「アナログぅ~」((c)草薙素子)。機密書類の廃棄は焼却炉、シュレッダーされた書類は手作業で復元、パスポートの偽造も手描き。なんだかほのぼのしてくるのだが、その時代感とも相まって、リアル「スパイ大作戦」に見えてくる。

一旦そう見えだすとますます「スパイ大作戦」。さらに言うなら「スパイ大作戦」そのものに東側から宗教指導者を秘かに出国させるという全く同じようなエピソード「刑務所突破作戦」があり、仕掛けもサーカス団を偽装に使うというそっくりさ。こうなると実際のアルゴ作戦発案のきっかけとなったのが、「最後の猿の惑星」ではなく、「スパイ大作戦」ではなかったのかとさえ思えてきてしまう。(事実がそうだったとしても、映画としてはベン・アフレックが「昨夜、テレビで「スパイ大作戦」を見て思いつきました!」とはホザけないだろう。(笑))

事実に基づく映画化なので、展開としてさほど派手さはないのだが、ラストの空港脱出のくだりとメンバーの活躍ぶりには、定番とはいえ、上手いなあと唸らされてしまう。昨年のベスト映画に名を連ねているのも当然な快作。

ところで、劇中のベン・アフレックを見ていて思い出したのが、イタリアのマカロニ俳優、ジョージ・イーストマンことルイジ・モンテフィオリ。東京の友人は「アルゴ」を見ていたら、ワタシのことを思い出したそうなのだが、ワタシはマカロニ仲間の間で、このジョージ・イーストマンにも似ていると言われる。大柄でひげ面、ぬぼーっとしているところが共通項だ。(笑)







題名:アルゴ
原題:ARGO
監督:ベン・アフレック
出演:ベン・アフレック、ブライアン・クランストン、アラン・アーキン、ジョン・グッドマン

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