漢方を利用した食養生・・・長崎から

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女性を美しくする生薬のいろいろ 第12回 紫河車(しかしゃ)

2009-10-09 13:48:44 | 漢方・薬用植物


 今回のテーマは紫河車(しかしゃ)です。英語名はプラセンタ(placenta)といいます。

  紫河車(しかしゃ)は胎児胎盤です。いくら女性ホルモンが多く含む、女性ホルモンの分泌を
 良くすると言っても、草食系日本人としてはなかなか発想しにくい生薬(しょうやく)です。



 中国では、紀元前から秘薬として重宝され、紀元前3世紀には、傷の治療薬として使われてい
 たようです。秦の始皇帝(紀元前259年~紀元前210年)の時代には不老長寿の薬として珍重
 されていたそうです。
 漢方薬として初めて書物に登場するのは、紀元後10世紀の頃で、唐の時代に編纂された
 『本草拾遺』(ほんぞうしゅうい)」に、「人胞」(じんぽう)「胞衣」(なえ)という名前で薬として紹介
 されています。陳蔵器による『本草拾遺』は、『証類本草』に「蔵器餘」として記録されています。
 
 他方、西洋では古代ギリシャの医師、ヒポクラテスがプラセンタを治療に利用していたと伝えら
 れています。
 
 ヒポクラテスは紀元前460年 - 紀元前377年に生きた古代ギリシアの医者です。
 「医学の父」、「医聖」と呼ばれています。医師の倫理性と客観性を重んじ、「ヒポクラテスの誓い」
 として現在まで受け継がれています。

 「人生は短く、技芸は長い("ο βιοツ βραχυツ , η δε τεχνη μακρα" ) 」は
 ヒポクラテスの有名な言葉です。

  *「技術、実学」を意味する τεχνη が英語では art になるため芸術と訳されることも多いです
  が、これは誤訳です。

 エジプトの女王クレオパトラは若返り・美容の目的でプラセンタを利用していたといわれます。当然
 絶世の美女として並べ称せられるの中国の美女楊貴妃も使っていたのです。

 西洋でも古くから使われていたところをみるとやはり肉食系の発想かなとも思いますが、日本でも
 石川県金沢にある創業400年以上の老舗の薬屋、中屋商店の生薬配合滋養強壮剤混元丹
 
(こんげんたん)という漢方薬は江戸時代「加賀の三大秘薬」と呼ばれていたようですが、紫河車
 (しかしゃ)が入っていたようですね。

 *現在の処方には入っていないようです。


  それでは

 第12回:紫河車(しかしゃ)


    Title.jpg 


 
   紫河車(しかしゃ)は健康な産婦の胎児胎盤をトロ火で乾燥させたものです。



 ふっくらとした曲線は女性の願いで、豊かなバストを作るには、女性ホルモンの分泌
 
が何よりも一番重要です。

 
紫河車(しかしゃ)は卵巣ホルモン、黄体ホルモン、アセチルグルコサミン、
 αーガラクトース・マンノース、多種のアミノ酸を含み、乳腺と女性生殖器官の発育を
 促進して胸を大きく豊かにします。

 
紫河車(しかしゃ)は『元気の元』である「腎精(じんせい)」を大幅に増やし、虚弱体質、
 「気血(きけつ)」(エネルギーと血液)不足、「腎虚(じんきょ)」で精力の衰えた人などに
 用いる滋養・強壮薬で、長期間服用すると紅花が見られます。からだの抵抗力、免疫力
 を増強し、また抗アレルギー作用を持っていますので、アレルギー体質の改善にも役に
 立ちます。自律神経失調症、貧血、不妊症、気管支喘息などの慢性疾病の治療にも使
 われています。

 参考:

・本草:
  「本草」(ほんぞう)と言っているのは、近代以前に記録された、動物・植物・岩石・鉱物など
  についての博物学的情報を通常意味する。

・ヒポクラテス:
 
   Hippocrates.jpg  

   Wikipediaより引用: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%9D%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%B9

・加賀藩の秘薬:
  加賀は秘薬の多いところで
  正徳5年(1715年)加賀藩で発行された「六用集」には当時金沢で売られていた有名売薬
  が網羅されています。代表的な販売店として31軒の店が紹介されています。その中で
  「丸、散、丹の合薬は多くありすぎて記すに及ばず、各薬種屋に伝えられている名方の家伝薬
  のみを記す事にする。」と述べられています。代表的なものを紹介してみます。 
      
(イ)、たちばなや
  一.長屋 毒消し丸
  二.粟田 白蛇散
  三.庄田 万金丹
  四.小林 黒薬
  五.三輪 振薬
(ロ)、宮竹屋
  一.紫雪
  二.耆婆万病円
  三.烏犀円
(ハ)、千代屋
   三瘡膏薬
(二)、中屋
  一、耆婆万病円
  二、紫雪
  三.烏犀円
  四.息命丹
  五.蘇香円
  六.混元丹
  七.金徳丹
  八.豊心丹
  九.清心丹
  十.玉膏丹
  十一.牛黄円
(ホ)、能登や
  一.衆妙丸
(へ)、喜多村屋
  一.庄田万金丹
  二、痢病薬
  三、有明
(ト)、福久屋
  一.蘇香円
  二.烏犀円
  三.耆婆万病円
  四.紫雪
  五.至宝丹
  六.山田黒薬

   中屋彦十郎薬舗による「尾山のくすり大将」メールマガジンよりの引用






 <次回以降予定>
 

 第13回:丹参(たんじん)
 第14回:女性の美しさに重要な生薬の比較

 
 順次更新していきます。

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