今回のテーマは芍薬です。
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と詠われるあの芍薬です。
何かしら美人を想像させますね。漢方では三つとも根の部分が生薬として使われます。
*ちなみに「立てば芍薬・・・」はいろんな解釈があり、例えば
1.芍薬は立った状態で見るのが一番きれいで、
牡丹は座った状態で見るのが一番、
そして、百合は歩きながら見るのが一番きれいという説。
2.芍薬は真っ直ぐの茎に花を咲かせるので美人の立ち姿、
牡丹は横向きの枝から花を咲かせるので座った美人、
百合は風を受けて揺れる姿が美人の歩く様子。
3.立ったまま長くおしゃべりできる女性には芍薬を、すぐに座りたがる女性には
牡丹を配合するとよい
などなど
なお、この三つの花はリレーするように順番に咲きます。牡丹は4月末から5月の初め、
芍薬が5月中旬から6月末、そして百合が6月から8月。座っている美人が立ち上がって歩き出す
というながれです。
それでは
第03回:芍薬
芍薬(しゃくやく)はふっくらとやさしいシャク約(しゃくやく)を意味しています。
中国には風姿シャク約(ふうししゃくやく)という言葉があります。顔つきや姿
が美しくしなやかで、この花の色香、姿をなまめかしい美女にたとえた表現で、
一般には「芍薬美人」ともいいます。また灼耀の意味もあり、輝くような美しさ
を表しています。
芍薬(しゃくやく)はむかしから中国の人々にも日本の人々にも親しまれて
きました。中国の春秋戦国時代に屈源が著した『詩経』という最古の詩集にも
男女の別れに再会を約して送られる植物としてその名が見られ、「二人の男女
が仲良くなって互いに芍薬(しゃくやく)を贈りあい」ました。日本でも芍薬を
顔佳草(かおよぐさ)といい、六妍(ろっけん)(芍薬、芙蓉(ふよう)、海棠
(かいどう)、木槿(むくげ)、梨花(りか)、長春(ちょうしゅん)の六種類、きれい
な花を意味する)の一員に数えあげています。「立てば芍薬・・・」のたとえもも
あり、各地で焼くよう、または観賞用として栽培されています。薬用に使うのは
根の部分です。
芍薬は白芍(びゃくしゃく)と赤芍(せきしゃく)の2種類に分けられます。
白芍薬(びゃくしゃくやく)はボタン科の植物シャクヤクの根で、皮をむい
て乾燥させたものです。白芍薬(びゃくしゃくやく)は血に栄養を与える働
きがあり、月経困難、生理不順、おりもの、立ちくらみに使われています。
また主成分のペオニフロリンは鎮痛、鎮静、抗痙攣の作用があり、生理痛、
腹痛、胃痛、頭痛、こむら返り、手足の痙攣による疼痛に佳く働きます。
当帰(とうき)、川キュウ(せんきゅう)、地黄(じおう)、阿膠(あきょう)
(ロバからとったにかわ・コラーゲン)などと一緒に配合された当帰養血膏
(とうきようけつこう)は、中国の女性に大変人気があります。白芍(びゃくしゃく)
を中心とする薬は他に婦人薬としてよく使われる四物湯(しもつとう)や
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)などがあります。
中医学では、血の調整と貯蔵は「肝(かん)」が行うと考えています。
「肝血(かんけつ)」がよく流れると、生理が順調にきて、顔もつやつやし、
爪も輝き、お肌もつるつるします。芍薬(しゃくやく)は肝機能の回復を促進
しますので慢性肝炎、肝障害にもよく使われています。
血が不足気味の人は「虚熱(きょねつ)」(からだの水分などが不足して
起こる発熱)が出やすく、のぼせ、寝汗をかく、落ち着きがなく、寝つきは悪く、
めまい、頭痛、耳鳴りなどの症状がよく見られます。現代医学的には、ホルモン
バランスのくずれ、更年期障害、交感神経の興奮、精神の緊張、高血圧と所見
され、芍薬(しゃくやく)は効果的です。
一方、赤芍薬(せきしゃくやく)はボタン科シャクヤクの根をそのまま乾燥させ
たものです。
赤芍薬(せきしゃくやく)には二つの特徴があります。まず、血に入る熱を冷ま
し、顔の赤らみ、目の充血、紅皮症、発疹などを改善します。次に、血の巡りを
よくし、ドロドロとした血の塊であるオ血(おけつ)を取り除き、オ血(おけつ)に
よる腹痛、生理痛、月経困難、みぞおちの痛み、肩こり、打撲傷、できものなど
によく効きます。赤芍薬(せきしゃくやく)はペオニフロリン、ペオノール、ペオニ
ン、タンニンなどを含んでおり、心臓の冠状動脈に流れる血液の量を増加させ
ます。
現代人の生活は非常に豊になり、おいしいものをたくさん食べて体の中に熱
がたまりやすくなっています。そのため、血圧が上がって、顔も目も充血しがち
です。しかも、運動不足、ストレスなどが加わって、血液はドロドロと粘りけが
増して、流れにくくなり、狭心症、動脈硬化が大変多くなっています。これらの
疾病・症状に赤芍薬(せきしゃくやく)は効果を発揮してくれます。
参考:
風姿シャク約のシャク
芍薬:
牡丹が「花王」と呼ばれるのに対し、芍薬は花の宰相、「花相」と呼ばれる。
ボタンが樹木であるのに対して、シャクヤクは草である。そのため、冬には
地上部が枯れてしまい休眠する。ボタンの台木として使用されるが、シャク
ヤク自体の花も美しく、中国の宋代には育種が始まった。江戸時代には
「茶花」として鑑賞され、品種改良も行われた古典園芸植物でもある。また
熊本藩では武士の素養として園芸を重要視し、奨励された。特に六種類の
植物が盛んに栽培、育種され、これを「肥後六花」と総称するが、キク、朝顔、
椿等と共にシャクヤクもそこに加わっている。この熊本で育種された系統を
「肥後芍薬」と呼ぶ。これを含め日本のシャクヤクは一重咲きが中心で、特に
雄蕊が大きく発達して盛り上がり花の中央部を飾るものが多く、全般にすっき
りした花容である。この花型を「金蕊咲き」と呼び、海外では「ジャパニーズ・
タイプ」と呼んでいる。
花の形は「一重咲き」「八重咲き」「翁咲き」などがある。
株分けで増やすことが一般的。
シャクヤクまたは近縁植物の根は、消炎・鎮痛・抗菌・止血・抗けいれん作用
がある(日本薬局方に収録)。生薬名「芍薬」(シャクヤク)。漢方ではポピュラ
ーな生薬で葛根湯、十全大補湯、大柴胡湯、当帰芍薬散など多くの漢方方剤
に配合される。根には配糖体であるペオネフリン、アルカロイドであるペオニン
が含まれる。
Wikipediaより引用
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%82%AF%E3%83%A4%E3%82%AF
詩経:
シキョウ〈書物〉中国最古の詩集。西周から東周にかけて(前九世紀~前七世紀)の歌謡
三〇五編を収める。伝承によると孔子が編集して教養の書とし、のち「魯ロ詩」「韓カン詩」
「斉セイ詩」など三家のテキストを生じたが、とくに漢初の毛亨モウコウ・毛萇モウチョウの伝えた
『毛詩』が主となった。全体の構成は「風」「雅」「頌ショウ」の三部に分かれる。「風」とは
民風(お国ぶり)または、諷(ことばで人の心を動かす)という意味で、周南・召南・鄭風テイフウ
以下一五国の民謡や恋歌一六〇編を収める。「雅」とはかどのとれたことばや姿との意味で
、周の王朝や都の歌一〇五編を含む。「大雅」と「小雅」に分かれ「大雅」には宴会や祭礼
の歌が多く、「小雅」には末世の流亡をうたった詩が多い。「頌」とは誦ショウ(終わりまで通して
唱える)という意味で、周頌・魯頌・商頌の計四〇編を収め、祭礼の楽歌や神楽が多い。
一般に「国風」には短い叙情詩が多いが、雅や頌の中には「文王」「緜メン」「生民」「玄鳥」など、
民族伝説をのべた長編の叙事詩もある。詩の形式は、四言で一句、四句で一章となるのが
基本の形で、韻のふみ方は連続したり、句を隔てたり、変化に富んでいる。『詩経』は春秋時代
にすでに士人の必読の教養の書となり、『論語』『孟子モウシ』『墨子』などにも多く引用されている。
五経の一つ。十三経の一つ。
漢字源よりの引用
Wikipedia URL : http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A9%A9%E7%B5%8C
芙蓉:
原産地は中国で、台湾、沖縄、日本の九州・四国に自生する。日本では関東地方以南で観賞用
に栽培され、7~10月始めにかけてピンクや白で直径10~15cm程度の花をつける。幹は高さ
1.5~3m。朝咲いて夕方にはしぼむ1日花で、長期間にわたって毎日次々と開花する。
同属のムクゲと同時期に良く似た花をつけるが、直線的な枝を上方に伸ばすムクゲの樹形に対し
、本種は多く枝分かれして横にこんもりと広がること、葉がムクゲより大きいこと、めしべの先端が
曲がっていること、で容易に区別できる。
葉は互生し、表面に白色の短毛を有し掌状に浅く3~7裂する。 花は他のフヨウ属と同様な形態で
、花弁は5枚で回旋し椀状に広がる。先端で円筒状に散開するおしべは根元では筒状に癒合して
おり、その中心部からめしべが延び、おしべの先よりもさらに突き出して5裂する。果実はさく果で、
毛に覆われて多数の種子をつける。寒地では冬に地上部は枯れ、春に新たな芽を生やす。
Wikipediaより引用
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A8%E3%82%A6
芙蓉
海棠
木槿
梨花
長春花(中国産薔薇の一種)
川キュウのキュウ
阿膠:
阿膠(アキョウ、学名: Asini Corii Collas)は、生薬の一種で、ロバの皮を水で加熱抽出して
作られるにかわ(コラーゲン)のこと。
血液機能を高める効果があり、主に貧血や婦人病への処方や、美容のために用いられて
いる。
古くは、『五十二病方』(約2,500年前)などの書物に記載がある。楊貴妃が美容のために
隠れて服用していたという記述があるように、身分の高い女性の間で人気があった(当時、
アキョウは非常に高価であったため、一般の女性が手にすることは不可能に近い)。習慣
性流産に悩んでいた西太后が、アキョウを飲んで不妊治療に成功し、同治帝を産んだこと
でも知られる。
Wikipediaより引用
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF%E8%86%A0
<次回以降予定>
第04回:川キュウ(せんきゅう)
第05回:地黄(じおう)
第06回:四物湯(しもつとう)と婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
順次更新していきます。
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