漢方を利用した食養生・・・長崎から

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開生薬局の紹介

開生薬局は、「あなたの元気がすてきです!」をキャッチフレーズに、健康作りを中国漢方の立場から提案している相談薬局です。中医師と共に数年にわたって中医学の研鑚に努めてきた、薬剤師の手嶋 敏子が、お客様の訴えに対して、原因をわかりやすく説明した上で、中成薬による解決法を指導いたします。また、季節や体質に合った薬膳・薬用酒・薬湯の指導など身近な薬用植物等の利用法を紹介しています。ホームページはブックマークからどうぞ。

ストレスにやさしい生薬のいろいろ 第17回 精神活動を安定させる生薬2・・・遠志・牛黄

2010-01-09 14:05:46 | 漢方・薬用植物


今回のテーマは精神活動を安定させる生薬2・・・遠志(おんじ)・牛黄(ごおう)です。

遠志というのはなかなか薀蓄(うんちく)のある言葉です。この遠というのは久しいの意ですね。
長く時間をかける。ずっとそのままにしている。「可以久則久=以テ久シカルベクンバ則チ久シウス」〔→孟子〕の
意です。服用していると元気が出てきて脳の働きが強くなり、意志が遠大になるので遠大な意志を造るの意のようです。

それでは


第17回:精神活動を安定させる生薬2 
            遠志(おんじ)・牛黄(ごおう)



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Onji_Gooh.jpg


★精神を安定させる遠志(おんじ)


 一部の植物の名前は、その薬効に由来するものがありますが、遠志(おんじ)
も効能効果がそのまま植物の名前になったと言われています。


 ヒメハギ科の植物の遠志(おんじ)には驚きやすい・動悸・不眠それに意識混迷
などの状況を改善し『遠く(久しく)志を持ちつづける事ができる』という精神安定
作用があり、中国の医学書「本経」には「不足を補い、邪気を除き・・・知惠を増し、
忘れず、志を強め、力を倍増する」とあります。


★病を以て病を治療する牛黄(ごおう)

 牛黄(ごおう)製剤は非常に高価ですが、それもそのはずで牛が偶然病気になり、
できた胆石を乾燥させたもので、どの牛からも取れるわけではではなく非常に貴重
な動物性生薬(しょうやく)だからです。

 中医学では、精神が体の外の情報を受け取り、その情報が竅(あな)を通って心(こころ)や脳に伝えるこ
とにより我々の意識がはっきりし、的確な反応をすることができるとしています。これを心竅(しんきょう)・
清竅(せいきょう)などと呼んでいますが、熱病や脳卒中などでこの竅(あな)が塞がってしまうと情報は伝
わらず、健忘・痴呆・ひとの話や周りの状況が判断できない・意識不明・昏睡などの精神・意識障害や、言葉
が話せない・手足が自由に動かない・震えるなどの運動障害が現れます。

 牛黄(ごおう)にはこの竅(あな)を開く「開竅(かいきょう)」作用があり、意識や情報それにエネルギーを
スムーズに伝わりやすくする働きがあり、このような症状を改善します。

付録:一行生薬百科;
      生薬名/基原/薬性/薬味/効能


遠志(おんじ)/
ヒメハギ科、イトヒメハギの根/温/苦辛/キョ痰、精神安定、抗菌

参考:


Kyo.jpgキョ痰のキョ



あなについて:本文中あな()の字がありますが、漢字には何種類かのあながありそれぞれ意味があるのです。
            (漢字源より)



あな。引きしまった、細いあな。〈類義語〉→穴。「竅穴キョウケツ」「七竅シチキョウ(目、耳、鼻、口の七つのあな)」「得竅=竅ヲ得」



あな。くぼんだあな。〈類義語〉→孔。「墓穴」「蟻穴ギケツ(ありのあな)」「鑽穴隙相窺=穴隙ヲ鑽チテアヒ窺フ」〔→孟子〕




あな。中空のすきま。「眼孔」「穿孔=孔ヲ穿ツ」


ヒメハギ科(Polygalaceae):Wikipediaより引用

双子葉植物の科のひとつ。世界的に広く分布し17-19属、900-1000種を含む。特にヒメハギ属(Polygala)
が多い。

 特徴
草本または低木。花は両性で左右相称。がくおよび花弁は普通各5枚、内側のがく2枚が花弁状になる
ものが多い。花弁は下3枚が合生して舟形になるものが多く、上2枚が小さい(またはない)。雄蕊は多くは
8本、子房は上位2室で蒴果または核果を作る。種子には附属体(カルンクラ)がありアリがこれを好んで
種子を運ぶ。

日本にはヒメハギ、カキノハグサ、ヒナノキンチャク、ヒナノカンザシ等が自生する。サポニンを含み、セネガ
やイトヒメハギ(漢方薬:遠志=オンジ)などが薬用(去痰・鎮咳薬)として用いられる。

従来はトウダイグサ科やムクロジ科にやや近縁とされており、クロンキスト体系では独立のヒメハギ目とし
ている。しかし最近のAPG植物分類体系ではマメ目に含めている。

ヒメハギは名の通り見かけがハギに似ており、左右相称の花は一見マメ科の蝶形花に似ているが、マメ科
との直接的な関係はないと考えられている。

ヒメハギ.jpg ヒメハギ

牛黄:Wikipediaより引用

牛の胆石は牛黄(ごおう)という生薬で、漢方薬の薬材。解熱、鎮痙、強心などの効能がある。救心、六神丸
などの、動悸・息切れ・気付けを効能とする医薬品の主成分となっている。日本薬局方に収録されている生薬
である。

牛の胆石は千頭に一頭の割合でしか発見されないため、大規模で食肉加工する設備を有する国が牛黄の
主産国となっている。オーストラリア、アメリカ、ブラジル、インドなどの国がそうである。ただし、BSEの問題で
北米産の牛黄は事実上、使用禁止となっていることと、中国需要の高まりで、牛黄の国際価格は上げ基調である。

現在では、牛を殺さずに胆汁を取り出して体外で結石を合成したり、外科的手法で牛の胆嚢内に結石の原因菌
を注入して確実に結石を生成させる、「人工牛黄」または「培養牛黄」が安価な生薬として普及しつつある。


<次回以降予定>
    

   
   第18回:オ血(おけつ)をとる生薬・・・1 丹参(たんじん)
   第19回:オ血(おけつ)をとる生薬・・・2 川キュウ(せんきゅう)・田七人参
   
第20回:痰をとる生薬・・・1 半夏(はんげ)
 
  
 順次更新していきます。

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