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JR西日本の刑事責任

2005年04月29日 | コ ラ ム
 ゴールデンウィーク初日の今日、地元の草津市では宿場まつりが開催されました。
 
 JRの転覆事故さえ無ければ、亡くなられた106名の人たちもそれぞれの休日を楽しまれたのでしょうが・・・それを思うと、本当にいたたまれない気持ちでいっぱいになってしまいます。

 新聞やテレビ紙上でも、引き続き事故原因の究明状況やその背景について事実が明らかにされてきていますが、一部報道では事故の背景にはJR西日本の列車運行や運転士の管理に構造的な問題があり、結果の重要性や再発防止の必要性を考慮して組織内の刑事責任をより広く追求されるだとうとのコメントが出されています。 ▲(4/29 朝日新聞)JR西日本の労務管理、刑事責任追及へ 兵庫県警▲ 
 
 
 過密で全く余裕がないダイヤの中での1秒単位で管理されることのプレッシャーや、ちょっとのミスで「日勤教育」と称した人権侵害のペナルティが待っている一方、そのミスが誘発された要因についての聞き取りや意見交換などはほとんど行われて来なかった結果、大きな事故を未然に防止する処置を講じるチャンスを失ってきたというのが事故の一番根本の問題です。しかも、こうした大事故を起こした要因の一つである「日勤教育」について、JR側は今まで成果をあげてきたと表明し、改善する必要性を全く感じていません。
 昨日のブログでも書いたように、国鉄が民営化されてJRになった際の国家的不当労働行為の体質がいまだ残っているどころか、国鉄清算事業団「人材活用センター」での「いじめ」「血の浄化」のノウハウを今でも労務管理で活かしているということなのでしょう。
 ▲参考HP▲
 
 
 JR側は、事故当初「事故車両の207系については、設計最高速度は120キロで、それ以上の速度は出ない」と説明し、事故の起こったカーブについても「133キロメートル以上のスピードだと脱線する」としてJR側には責任が無いかのような主張をしていました。しかし、事故車両の最高速度については、シミュレーションソフトで改めて計算したところ、「130キロの速度での走行が可能」との結果が出ましたし、問題のカーブについて交通安全環境研究所の交通システム研究領域長は「実際の転覆の限界速度は、高くても120~125キロ程度だったのではないか」と指摘し、しかもこれに急ブレーキなどの悪条件が加われば、限界速度はさらに低くなるということが分かりました。

 こうした状況に加えて、 JR西日本労働組合中央本部(JR西労)が大阪市内で開いた記者会見で、現職の運転士でもある安田昌史書記長が、「遅れを出したときに少しでも回復するため、(脱線現場となった)曲線半径300メートルのカーブ直前の直線を120キロの制限速度ぎりぎりで走る。カーブ手前で急ブレーキをかければ、何秒かは(遅れを)回復できる ということは、宝塚線の運転士の間でだれでもやっている裏技」だと話されました。
 ▲(4/29 朝日新聞)遅れ回復の120キロ走行、運転士の常識 JR宝塚線▲
 
 こうした事実から、この大惨事は起こるべくして起こった組織的な業務上過失致死事件だと言っても過言ではないのではないでしょうか。
 
 右手で操作盤のレバーを握ったままの状態で見つかった若き運転士も、こうした会社の体質によって追い込まれた被害者だったように思えてなりません。
 
 
 信楽高原鉄道事故を契機に発足した鉄道安全推進会議(TASK)は、「今回の事故調査において、事故調査委員会が国土交通省の行政のあり方それ自体についても、踏み込んで調査の対象とし、大胆に問題点を指摘することを期待します。」との声明を出しています。 ▲鉄道安全推進会議▲

 私は、これに加えて国鉄からJRへと民営化された経過やそのなかでの問題点をすべて再検証することが必要であると考えています。そのことを通じて、現在進められている郵政民営化をはじめとした「官から民へ」というものについて今一度見つめ直していくことが求められます。
 

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1 コメント

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Unknown (竹林社会保険労務士事務所)
2005-04-30 03:12:30
はじめまして。

TBありがとうございます。

本当に痛ましい事件ですね。

企業の悪しき体質によって従業員やお客様の大切な命を失うといったことは決してあってはならないものです。

徹底的に膿を出して、体質改善を図ってもらいたいものだと思います。
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