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自治会の課題

2005年06月06日 | 学習ノート
 4日間飛んでしまいましたが、地縁団体の歴史や現状・課題および今後の可能性に関する検討の続きです。
 
 今日は、実際に自治会がどのような課題を抱えているのかについて考えていきたいと思います。
 そこで、概念的・抽象的になるのを避けるために、具体的事例を探してみました。見つけた資料は、四国新聞が2001年3月17日から4月6日まで連載した「民主主義の風景」(第2部 自治会の再生)と題した14回に渡る記事です。

 この連載で取り上げられている内容は、概ね次のとおりです。(詳細は、リンク先の記事をお読みください。)


 【自治会の問題点】

1.迷惑施設(火葬場)建設をめぐって自治会内の住民が賛成派・反対派に対立し、分裂した。

 建設の是非をめぐって行われた投票の結果、賛成が24人票、反対は23票、白票3となった結果を踏まえて、自治会長が建設の同意書を交わした。しかし、反対票を投じた23人が賛成は過半数に達していないとの理由で反発した上、新たらしい自治会を立ち上げて町に提出した。
 しかし、町側は「一つの地域は一体で運営されるべき。分裂を認めて他の地域に波及しても困るし、行政の事務処理上も障害が出る。」との理由で自治会として認めようとしなかったため、補助金の交付がされなかったり、選挙公報を含めて行政情報が届かないといった不利益を被る結果となった。また、分裂前に費用分担して建設した自治会館が使えなくなり、子ども会の行事などの場所が無くなった。 ▲ある分裂(上)▲  ▲ある分裂(中)▲  ▲ある分裂(下)▲

(参考)
 草津市にも、過去に財産管理等の問題で最高裁まで争われ自治会が二分され事例があります。その際には、広報配布などはどちらにも委任せず、直接行政が配布していたそうです。


2.急速な宅地化によるマンション・アパートが増加したことなどが影響して、自治会への加入率が58%まで落ち込んだ。

 その原因として、単身者や転勤族など地元のとこに関心が無い人や、自治会費や募金などの強要などの問題から、自治会に入らない方が得だという考え方を持つ人が増えた。また、自治会の成り立ちや不幸な過去から自治会に対するマイナーなイメージによって未加入者が増えている。  ▲加入率低下▲

(参考)
 草津市には平成12年12月現在で194の町内会、13学(地)区自治連合会があります。また、自治会への加入率は92.5%(41,886世帯/45,282世帯)です。


3.行政側は、自治会を下請け機関として利用している。

行政は、広報誌の配布や募金活動、用水路の清掃、防犯活動、ゴミ集積所の管理などで利用する一方で、補助金や手数料を拠出することによって相互依存関係となっている。  ▲下請け機関▲


4.自治会への加入は強制になっており、加入をしないとゴミ集積所も使わせてもらえない。

 自治体の説明では、自治会に加入していなくてもゴミ集積所にゴミを出せば回収するとされているが、自治会から拒否されるため、民間業者にゴミ収集を依頼した。主会場建設にための負担金や行事への参加強制も問題。  ▲強制▲


5.自治会組織が選挙の結果を左右する。

 自治会長になると、選挙の役職につくことが慣例となっており、住民が事務所当番を割り当てられる自治会もある。特に田舎の町では自治会の応援無しで当選するのは難しく、逆に自治会推薦になれば8割の票が読める状況。  ▲地域代表▲

(参考)
 自治会が保守政治の基盤になっていることについて、次の文献で詳しく分析されています。  ▲保守政治と町会▲


6.自治会の役割に魅力を感じない住民が増えている。

 マンションやアパートが建ち並ぶ新興住宅時では自治会への加入率が12%にも満たない状況。マンション住民は、ゴミ集積所の管理は管理人がやってくれるし、周辺の苦情は不動産屋に言えば良いと考え、自治会のデメリットだけが強調される。  ▲無関心▲

(参考)
 平成15年7月に実施された▲「第36回滋賀県政世論調査」▲によると、「自治会」の必要性については、「自分たちの地域をよくしていくために基本となる自治組織として、自治会は必要なものである」が42.4%と最も多かったがようですが、過半数を割っています。
 
 

 【自治会に対する否定的な意見】


●子ども会やPTAの活動が形骸化している。
●自治会が迷惑施設の建設が引き金となって分裂したが、積立金の分配をしないなど非民主的な運営がそもそもの発端
●自治会に入るためには、自治会館の負担金として100万円が必要だが、自治会に入らなければ子ども会のも入れない。
●家探しの際、自治会から40万円から50万円の負担が必要だと言われた。
●溝掃除は、業者にお金を払ってやってもらえば良い。
●自治会活動の強制や生活への干渉があり、排他的だ。



 【解決策や先進事例】

1.反対運動などを契機として、参加意欲の機運を高める。

 ごみ処理場建設などに対する反対運動は自治会が核となり、こうした活動を契機として自分たちの地域を変えようという機運が芽生える。  ▲反対運動▲


2.震災での真野地区の活動によって、自治会の重要性が認識される。 ▲育てた絆▲


3.掛川市では、市民総代会システムによって、自治会の声が直接市政に反映される直接民主主義の基盤として機能している。  ▲市民総代▲


4.三田市のゆりのき台自治会では、自治会のホームページを立ち上げて住民に役立つ情報を流したり、自由に意見を出せるようにするなどの工夫により地域コミュニティ活動の先進事例として評価されている。  ▲ネット交流▲

(参考)
 自治会のホームページ活用については、▲町内会 Webサイトの実態と課題▲で詳しく分析されている。


5.新居浜市の大島(離島)では、地域通貨を活用して住民同士の助け合いの輪を広げている。▲エコマネー▲


 なお、この特集記事では次のように締めくくられています。

 (以下、四国新聞記事より引用文)
 「もちろん自治会に悪い面や時代遅れの面は少なくない。しかし、だからといって、なくせばいいという議論はおかしい」。自治会の問題に詳しい愛知学泉大コミュニティ政策学部の中田実教授は「遅れたもの、不必要なものは切り落としつつ、本当に必要なものは大切に維持し、活性化すべき」と強調する。
 その一方で、住民自身の意識改革も訴える。「地域の共通する問題について発言したり、参加するのはその地域に住む人の権利。その権利を行使することが、住民としての責任を果たすことになる」。それは地域のために、時には「私権」を制限することも必要との指摘でもある。
 まずは、地域に参加する意識を持つこと。それが自治会やコミュニティを再生する第一歩となる。
  ▲反響から▲


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