goo blog サービス終了のお知らせ 

    きれいなきれい〈田添公基・田添明美のブログ〉

「いたずら(田添明美)」は左下の
カテゴリーから入って下さい

新川和江詩集     田添明美

2022年10月22日 10時37分44秒 | 「いたずら」田添明美

40代で詩を書き始め、彼女の作品を5~6篇
ノートに書き写し、詩集を買ったのは2~3年前だ。

いい作品は沢山あるが、文庫132に載っている連作
「土へのオード」「火へのオード」「水へのオード」
は面白い。特に「土へのオード」は秀逸で勢いがある。

彼女の作品は、素直で潔い。
彼女の強さが鬱陶しく思える時もあるが
その強さに凭れたい時もある。
今年体調を崩してから、
眠る直前に彼女の作品を読み返している。

「土へのオード13」の内より、1篇を紹介したい。
出だしも中間もラストも秀逸である。
「怨念」という言葉が、
ラスト2行で柔らかくほぐされている。

10
人間は ついにさびしいのだ
土に わが身を返済しなければ

シドミが咲いている
オギョウが咲いている
コケリンドウが咲いている
スギナがぼうぼう伸びている
ショウジョウバカマが咲いている
死んだひとびとの思いが
今やっと 咲いている

アリが匍っている
ムカデが匍っている
アオイロトカゲが匍っている
ヘビが匍っている 若いヘビが藪から藪へ
ミイデラゴミムシが匍っている
ひとびとの怨念が
目もさめる素早さで
 
うららかに日が照っている
よいお天気だ