6月4日
お気に入りのピアニスト、グレン・グールド。
NHK「知るを楽しむ」でグレン・グールド4回シリーズを録画した。
彼の言葉…
『芸術の目的はアドレナリンの瞬間的な分泌にあるのではなく、驚きと落着きの状態をゆっくりと一生をかけて構築してゆくことにある。』
この言葉に涙が出ました。
街の喧騒を嫌い、静かなカナダの自然を愛したグールド。
死の直前まで読んでいたという夏目漱石の「草枕」。
まるで殉教者のようだと思った。
水平よりも垂直を選んだのだな…。
お気に入りのピアニスト、グレン・グールド。
NHK「知るを楽しむ」でグレン・グールド4回シリーズを録画した。
彼の言葉…
『芸術の目的はアドレナリンの瞬間的な分泌にあるのではなく、驚きと落着きの状態をゆっくりと一生をかけて構築してゆくことにある。』
この言葉に涙が出ました。
街の喧騒を嫌い、静かなカナダの自然を愛したグールド。
死の直前まで読んでいたという夏目漱石の「草枕」。
まるで殉教者のようだと思った。
水平よりも垂直を選んだのだな…。
私の寝不足もこれでやっと解消されますが、なんとなく寂しいです。今回の放送でカッコイイなぁと思った「フーガの技法」は仕事帰りにレコード屋に行ってもゲット出来ずで、仕方なく手持ちの寄せ集めを毎晩聴いております。近い内にでっかいレコード屋に行って探す事にします。ネットで調べたら全曲集とかってびっくりするくらいお値段高いのありますね~。グルオタ仕様って感じのものが。ここまで出すなら藤山寛美のDVDが何個買える、、とか、真剣に寛美先生とグ-ルドをハカリにかけてましたわ。(爆)
あと、最近家のマックOSが10.3になったので、サファリが使えるようになり、おかげさまでYouTubeを家でガンガン見れるようになりました。で、グ-ルドの演奏、前にかぶだよしさんに教えてもらったのと、それ以外にもたくさんあって、晩酌のお伴に楽しんでいます。
かぶだよしさんは、以前、音楽を脳波でとらえる的な事をおっしゃってましたが、平均律クラヴィーアなどはまさに精神安定剤のような役割を果たすようですね。低い階段を延々とかけ登るようなあの演奏を脳で追い掛けていると次第にノンレム睡眠レム睡眠状態になってしまうとでも言いましょうか。でもグールドの演奏ではそうはいかないっぽいようです。(笑)昔はただただ退屈だと思っていた平均律が、グ-ルドの演奏になるととってもドラマティックになるのですよ。さすがは演奏するだけで恋愛状態に突入する男ですね。恋愛状態って普通アドレナリン放出すると思うのですが、自分は出しても聴衆にアドレナリンを出してはいけないという身勝手さが伺い知れます。拍手や咳がうざいだけなんちゃうん、椅子の調節してると嫌味言われるからコンサート止めたくなっただけちゃうん、と、ちょっと思ってしまいました。まぁでもそんな正直なグールドも私は大好きですわ。
以前バッハの「マタイ受難曲」の生演奏を聴きに行った事があるのですが、特にキリストが死ぬ所などはいくら素晴らしいアリアでもさすがに拍手とか気分的にもう出来ないわけですよ。演奏に感動もしつつ「ああああ、キリスト死んじゃったよー」みたいな空気も会場全体でしみじみ味わってて、なんだかとても良かったですね。音楽をあのように聴いたのは始めてでした。だからアドレナリン云々の言い分も「音楽とは聴衆の歓喜のためだけにあるのではない」という意味ではとても理解できます。
でもでも、草枕の話は初耳でした。私は夏目漱石が苦手なので、草枕を敬愛していたというグ-ルドに理解はできないですね。日本文化に傾倒していたって訳でもなさそうだし。。これはちょっとショック。
傾倒している人に、自分が理解出来ない部分があると、気落ちしてしまいます。私って結局あの脳内で完璧に仕切り直されたバッハを奏でる事のできる指捌きとそのエキセントリックな逸話の数々だけに惹かれているだけなのかもなぁと残念に思ったり。
でも彼が無類の動物好きだちゅうのは嬉しいし。犬好きなのは連弾してる写真とかもあり有名ですがセキセイインコも可愛がっておられたみたいなんで、もう私にはものすごく親近感のある天才って感じです。だから夏目漱石の事はあんまり考えないようにします。(笑)
このゴールドベルクのジャケットはカッコイイですよね~。LP盤購入して壁に飾りたいです。
↓これ、知ってます?グ-ルドが愛犬にあてた手紙。カワイイんですよ。
私もうららにお手紙書いてみようかしらという気になりました。
バンクォー・グールド殿
きっとソ連の犬について知りたいんじゃないかな。本当にほとんどいない。大半は戦争中に殺されてしまったそうだ。そのとき以来ペットを飼うのはとてもブルジョワなことだと考えられているらしい。それでもいちばんよく見かけるのは毛を刈りこんでいないプードル。雑種はいくらかいるけれど、コリーとおぼしきイヌは一匹もいない。おまえがここにいたら、わがもの顔で街を闊歩できるよ。今朝僕の部屋の外で猫が喧嘩をしていたけれど、こいつをじゃまして欲しかったな。お皿をきれいにして、いい犬でいるんだよ。
そんな番組が放映されたんですね! 私も見たかったです。
芸術を追求するが故にライヴを拒み、気難しい、時には変わり者とレッテルを貼られ・・・それでも録音を残してくれたおかげでいつまでも彼のピアノを聴けるのは本当にありがたいことです。
かぶだよしさんの「水平よりも垂直を選んだ」という言葉、言い得て妙です、感動しました。
多分、きるさんもバーンスタインの段で、笑いをこらえ切れなかったのでは?もう、かぶだよしなんてゲラゲラ笑ってしまって…。あのバーンスタインをして、あんな感情的にしてしまう彼が…もう、可笑しくて可笑しくて!彼とバーンスタインとのやり取りを考えると、私の場合藤山寛美より笑えました。
多分、グールドは慣例化した儀式のように、最初から最後まで温々と居座る観客と奏者達とによって作り出された予定調和をぶち壊したかったのだろうと思います。
ブラームスのピアノ協奏曲を虫眼鏡で拡大して音と音の配列を強烈に提示して見せ、ゆっくりと円やかな演奏にする事によって予定調和として皆が思い描いていたブラームスのピアノ曲を全然違ったものとして見てほしかったのかな?と予想しております。視点と時間軸を切り替えながら、曲想を多面的に見るという楽しみもあるんだぞ!と言いたかったのかもしれません。CDを買って聴いてみるまで、あくまでも予想範囲内の事なので違うかもしれませんが、聴いてみるまでのある種の楽しみもあって、競馬の予想屋のようなCDの買い方もこれまた楽しいでゅす。
悪名高い名盤、バーンスタインのスピーチ入りブラームスのピアノ協奏曲第1番のCDですがamazonのカスタマーレビューを読む限り、グールドの演奏自体はビックリする程のエキセントリックなものではなかったらしいでゅす。「…何度も繰り返して聴きたい演奏というよりも、できることなら体験したかった。 」というレビューの下りに激共感したかぶだよしです。
彼の生まれた時代背景や文明の利器をフルに生かしたグールドの実験的精神溢れる音楽創りは、大バッハと重なる部分ですおね。
きるさんは、「マタイ受難曲」を聴きに行ったのですね~。物語性を帯びたアリア系の音楽は左脳が色々と順序立てて解釈し始めてしまう(勝手に…)ために、音楽自体を純粋に聴きたいのですが、感動が脳の分析の為に薄れてしまうので、めんどくさくなってしまって…いや、自分の脳が面倒くさいのですけどね。(笑)
もの凄く感動した時って、確かに精神的内面世界に入ってしまい、体がある事すら忘れてしまうので拍手忘れてボーーーッとしてしまう事がありますね。伊予鉄バスの車掌さんに感動した時もそうなりましたから~。(笑)
人間とは超我が儘で退屈している生き物だから、多分演奏会で、アンコール曲が終わった後の拍手している自分を脳が予測してしまっている部分があると思うんです。予測した部分と現実とがまるで、ファスナーのスライダーを時間軸とともに上げながら上手く噛み合わさっていけば平常心で拍手も出来ますが、予測を遥か越えて今まで聴いた事も無いような表現に入られてしまうと、暫くの間脳は「ツーーーーーー」状態に入ります。その意味が分かるまで数十秒から何年か脳は通奏低音のようにずっと探り続けていたりします。
つまり、それが心が動いたという事、「感動」という事になるのではないかと思いました。
そうそう!スタニスラフ・ブーニンのバッハ、いいでゅすよ~~♪何だか、ジャズなのか?的な要素もあったり、実験精神に満ちあふれております。彼のショパンコンクールの時の演奏もスゴかったですが、バッハがこれまたいぃ~んですよぉ~。
グールドの愛犬に宛てた手紙、泣けました~!
パンクォー・グールドっていうお名前なのですね。名前も可愛い!人間よりも犬寄りな生き方してましたもんね。彼らしい手紙ですね。
きるさんは、夏目漱石嫌いだったのですか?
どの辺りが嫌いなのだろうか?のぞでゅす!ってか、個人の好き嫌いに謎もへったくれもありませんが、かぶだよしは高校時代、夏目漱石の原作を皆でパロって漫画化したものを授業中回し読みしながら「今日で死んでしまうかもしれない!」と言うくらい笑わせてもらったので、大好きですよ~♪恩を感じる程です。(でも草枕読んでのいでゅす!)
話が微妙にずれましたが、死ぬ前の方の「ゴールドベルク変奏曲」も買いました~♪
「汁を…」で、ゴールドベルク弾いている老いたグールドの姿を観る事が出来ましたが、この姿に泣きましたよ。美しいとすら思いました。演奏を聴くと、何故か?アンドレイ・タルコフスキー監督の「ノスタルジア」という映画の中で、狂人ドメニコとの約束を果たそうとした男が蝋燭を手に火を消すまいとしながら温泉を歩いてゆくシーンを思い出しました。
実に見応えのある内容でした。
そうですおね、彼の変人ぶりはもう笑いを越えて泣けてくるところまでいっていましたね。
今現在、ホールや、音楽会に出向かなくても家の中でクラシックを楽しめる喜びは、グールドの変人としての貢献があったからなのかもしれませんね~。
随分とマニアックな録音テープの切り貼り作業を繰り返していたようですから、そのノウハウが現在も生かされていると思います。
バラードさん!「水平よりも垂直を選んだ」を理解してくださるとは!嬉しいでゅすっっ!
十字架の縦と横の比率も縦が長いのは、そうだったのか!とか、クロスしている部分は縦と横のエネルギーが衝突してスゴい爆発を起こしながら、芸術を生み出している処なのかも!なんて考えてしまいました。