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英文読解 one パラ道場:東日本大震災の年-今年の流行語大賞は「なでしこJapan」に決定!

2011年12月04日 14時54分21秒 | 英文読解 one パラ道場


ご案内の通り、毎年恒例の「今年の流行語大賞」が決まりました。
今年、東日本大震災の年、2011年の新語・流行語の年間大賞は、

б(≧◇≦)ノ ・・・「なでしこJapan」!

個人的には、「б(≧◇≦)ノ ・・・頑張ろう、日本!」を密かに押していたのですが、実際、入賞した他の言葉の中には軒並み「東日本大震災関連語」が入ったとか。ある意味、口では表せない苦難・苦境を突き抜けて、「でも、頑張ったね日本、頑張れるさ日本」という日本国民の今年の心象風景の構図を、大賞受賞の「なでしこジャパン」を含め入選した語彙のラインナップを通して日本担当の流行語の神様が描いてくださったの、鴨。

入選したこれら10個の語彙が形成する模様(the configuration)を鳥瞰するとき、私はそう思わずにはいられませんでした。而して、政府や国にはあまり頼らないでおこうという覚悟。よって、日本人同士の絆、および、日本と友達である同盟国アメリカとの絆をこそ頼りにする、そんな、<保守主義>と親しい、凛として清々しい日本人の心意気がこの選考結果に流れ込んでいるの、鴨。

ということで、以下、今年の新語・流行語大賞の決定を報じた英文報道の紹介です。

б(≧◇≦)ノ ・・・来年も頑張ろうね、日本!






'Nadeshiko' buzzword of year, 3/11 terms next
"Nadeshiko Japan," the nickname of the women's national soccer team, has been awarded a high-profile prize for being the No. 1 buzzword of the year.

A selection panel of U-can Inc., an education and career support company, every year chooses 10 buzzwords for the U-can Shingo Ryukogo Taisho prizes.

Five of this year's top 10 words are related to the March 11 quake-tsunami disaster.

The soccer team became a national sensation when it scored its stunning triumph in the World Cup in Germany in July, providing hope and vitality as the country struggles to recover from the devastation of the triple whammy in March from the earthquake, tsunami and nuclear crisis.



The disaster-related phrases that generated the most buzz are "kizuna" (human bonds), "kitaku nanmin" ("refugees" who can't get home) "kodama de shouka?" (is that just an echo?), "3.11" and "fuhyohigai" (harm caused by unfounded rumors).

Kizuna came in for repeated use by people and the media to emphasize the importance of human sympathy and relationships in helping survivors of the monster disaster.

Kitaku nanmin refers to people who have difficulty going home due to transportation disruptions after a natural disaster.

Kodama de shouka is a phrase from a poem by poet Misuzu Kaneko that was used in a public service commercial by the Advertising Council of Japan. The ad was aired numerous times after the disaster to say that people respond with kindness when treated kindly by others, in repetition.

Fuhyohigai has been often used to refer to severe financial damage farmers and fishermen suffered due to public fears of radiation from the Fukushima No. 1 plant.

The selection committee didn't rank the nine words after Nadeshiko Japan, which received massive media coverage this year. No Japanese national team, male or female, had before been crowned world champion by FIFA.

Nadeshiko is a flower unique to Japan, and the word is often used to describe beautiful and strong Japanese women.・・・


(321 words)

【出典:Japan Times, Dec. 3, 2011】





【語彙】
buzzword:玄人が使う隠語的な専門用語/キャッチフレーズ(cf. buzzは「ブーンブーンと蜂が群らがるようにうるさい」), the women's national soccer team:サッカー女子日本代表チーム, a high-profile prize:世の注目と関心を集める賞,

be related to sth:~に関連する, score:(得点・勝利)をあげる, stunning triumph:見る人を驚愕せしめるような勝利, devastation:壊滅的な被害, whammy:災難, disaster-related phrases:災害に関係した言い回し, refugee:難民/避難者, unfounded rumor:根拠の怪しい噂,

emphasize:強調する/力説する, human sympathy:対等な人間同士の共感/「お互い様だよ」という助け合いの気持ち, survivors of the monster disaster:絶後ではないが空前の規模の大災害を生き延びた被災者, disruption:中断・途絶,

a poem by poet Misuzu Kaneko:詩人の金子みすゞの詩(cf. 個々の詩ではなく「詩集」とか「詩一般」は不可算名詞のpoetryを用います。two pieces of poetry), the Advertising Council of Japan:公益社団法人ACジャパン(公共広告機構),

respond with:~に反応する, in repetition:繰り返し繰り返し, refer:参照する, suffer:被害などを被る, radiation:放射能, Fukushima No. 1 plant:福島第一原子力発電所, selection committee:選考委員会, massive media coverage:マスメディアによって頻繁に取り上げられたこと, crown world champion:世界チャンピオンに輝く, FIFA:国際サッカー連盟, beautiful and strong Japanese women:可憐かつ強靱なる日本女性





【読解躓きの石】
冒頭のセンテンス、前置詞のforの用法の確認。

"Nadeshiko Japan" has been awarded a high-profile prize for being the No. 1 buzzword of the year.

(「なでしこジャパン」が人の口の端に今年最も頻繁に上った言葉に与えられる、注目度の高い賞を受賞した)

類例を見ておきましょう。

a prize for young life scientists(学位取得直後の優秀な【分子】生物学分野の若手研究者に与えられる賞)
a prize for numerical software(優れた数値解析ソフトウェアに与えられる賞)

the Outstanding performance prize(=the prize for outstanding performance:大相撲の殊勲賞)
the Technique prize(=the prize for technique:大相撲の技能賞)
the Fighting spirit prize(=the prize for fighting spirit:大相撲の敢闘賞)

a prize for encouragement(奨励賞)
a prize (awarded) for (a person's) effort(努力賞)

a prize for being organized(きちんと整理整頓したde賞/ものごとを組織的に配置したde賞)
a prize for being the biggest Liar(最大の嘘をついたde賞;a prize for the biggest Liarは「大嘘つきde賞」)

要は、prize(/award)for sbは、「~した人/~である人」に与えられる賞であるに対して。
他方、prize(/award)for sthは、「~が達成されたという事態/~に至った状態」を考慮して、そういう
業績や状態に関係する(貢献した/責任のある)人に対して贈られる賞ということです。

そう考えれば、本文、「a prize for being the No. 1 buzzword」は動名詞句がsthになっている
だけで、普通の prize for sth とパラレル。ただし、「a prize for the No. 1 buzzword」と比較すれば、
話者には「その言葉を口の端にのせた人々」のことがより強く意識されていること、更に、「その評価が永久不変
のものというわけではないけれども、まー世間はそう考えてるよね」というニュアンスも含むと思います。



第2センテンスで比較・最上級の言い回しも確認しておきましょう。これです。

Five of this year's top 10 words are related to the March 11 quake-tsunami disaster.

(今年の上位10位に入賞した言葉の中の五つは3月11日の震災と津波の災害関連の語彙が占めた)

日本語では「今週のベスト10はぁー?」とか「残るはベスト3です。楽しみですねぇー!」とかよく口に
されますが、それは完全な「和製英語」。そして、単体で用いられる「トップ10」や「トップ1」も、「和風」
と言ってもよいくらいの微妙な表現。つまり、

ベスト1→the very best(one of them)
ベスト5→the five bests(of them)

と、ここでのbestは可算名詞扱いなのです。よって、それを形容詞に使うことは「×」ということ。

他方、「トップ10」の方はというと、これはtopは副詞でその後ろの数詞は形容詞。
つまり、「トップ○○」という表現は、例えば、

top 10 (songs of this week:今週の人気、上位10曲)
Top 3 (TV stars that are most popular in today's world:今、世界で人気のあるTVスター三羽烏)

という形式が省略されたもの。そう考えれば、上のサンプルで省略された部分を見ても分かるとおり、
それらは前後の文脈から誰しもが省略部分を容易に想像できる場合にだけこの言い回しは意味が通る代物。

而して、「トップ10」とかの意味を英語では普通、

this week's top 10
the 10 best songs of this week

というように手厚く表現されます。
 


最後。ここは瞬時に意味が取れましたか。下から4段目のセンテンス。これです。

The ad was aired numerous times after the disaster to say that people respond with kindness when treated kindly by others, in repetition.

(その広告は、東日本大震災の後、何度も何度も繰り返し繰り返し放送され、人間は他人に親切にされると親切をお返しするものなのですよというメッセージを視聴者に語りかけた)

ポイントは、that節の中の述語動詞、respondの意味。ここは、「should respond」のshouldが省略
された仮定法現在と考えるべきだと思います。「要求・命令・提案・願望・推奨・断定」を表すあれ。

I recommended that she (should) confess her secret to him.
(彼に秘密を打ち明けた方がいいよ、と私は彼女に勧めた)

普通、従属節の述語動詞として仮定法現在形を取る、主節の述語動詞は、

S→V→・・・(that:S→V→・・・)’


要は、上の図式で、仮定法現在形のV’を取るVは、「be+形容詞」の形態も含め、

命令:command, orde,
要求:insist, request, demand
提案:suggest, propose, recommend
断定:decide, determine

「緊急の、絶対に必要な:imperative」, 「 不可欠な:essential」,
「極めて重要な:vital」, 「必要な:necessary」, 「望ましい:desirable/advisable」
「重要な: important」, 「ありえへんがな:impossible」等々です。

しかし、「~するために」と目的を表す不定詞の副詞的用法に使われる「V:say」も、
その「V’:従属節の述語動詞」に仮定法現在を伴うのです。よって、逆に言えば、
下の2文はほぼ同様な意味なのです。

I wrote a letter to say that she (should) confess her secret to him.
I wrote a letter to recommend that she (should) confess her secret to him.
(彼に秘密を打ち明けた方がいいよ、と私は手紙で彼女に勧めた)





尚、本ブログで使用する「従属節の記号化の表記ルール」については、
下記拙稿をご参照ください。

・英語の従属節-記号表記の試案
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/9ee7fdce2f5e1d256850b930664ea154


また、英文法の事項に関して疑問を感じられた場合にはこちらを参照してください。

・『再出発の英文法』目次
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/4c90b691d5e0e53d8cb87f7803a437ce







【和訳】

今年、最も流行った言葉は「撫子」、東日本大震災関連語がそれに続く
「なでしこジャパン」、サッカー女子日本代表チームのこの愛称が、年間で最も人の口の端に頻繁に上った言葉に与えられる、世間からも強い関心が寄せられる賞を受賞した。

ユーキャンが作る選考委員会は、ちなみに、ユーキャンは教育支援と進路支援を生業にしている企業なのだけれども、その委員会は、毎年、世の人々の口の端に頻繁に上った10個の語彙を選びユーキャン新語・流行語大賞を授与している。

今年、入賞した10個の言葉の中の五つは3月11日の震災と津波の災害関連の語彙が占めた。

サッカーの女子日本代表チームは、七月にドイツで開催されたワールドカップで衝撃的な優勝を飾り、日本全体を興奮の渦に巻き込んだ。而して、地震・津波・原発事故という三月に惹起した三重の不運による壊滅的な被害からなんとか立ち直ろうと喘いでいたこの国に、希望と勇気をなでしこの優勝は与えることになったのである。



入賞した震災関連の流行語には、「絆:人と人との結びつき」「帰宅難民:帰宅できなくなった「難民」のような人々」「こだまでしょうか:それはこだまだけのことでしょうか」「3・11」そして「風評被害:根拠薄弱な噂が引き起こす被害」が含まれている。

絆は、空前絶後の今般の災害の被災者支援に際して、対等な人間と人間の間に成立する共感や同情、そして、人と人との結びつきの大切さを強調しようとする論者やマスメディアがこの言葉を繰り返し用いたこともあってのランクイン。

帰宅難民とは、自然災害による交通機関の不通に伴い帰宅することが難しくなった人々のこと。

こだまでしょうかは詩人の金子みすゞ【1903-1930】の作品の中の言葉である。ACジャパン制作のある公共広告がこだまでしょうかを使用したもの。この広告は、その広告は、東日本大震災の後、何度も何度も、繰り返し繰り返し放送され、人は他人に親切にされると親切をお返しするものなのですというメッセージを視聴者に訴えかけた。

福島第一原子力発電所が放出した放射能に対する遍く広まった恐怖感に起因する、農家や漁民が深刻な経済的損害を受けた現象を指し示す言葉として風評被害はしばしば人々の口の端にのぼっている。

選考委員会は、年間大賞を受賞したなでしこジャパンを除き、入賞・入選した九つの言葉に順位をつけてはいないけれど、しかし、なでしこジャパンという言葉が、今年、マスメディアを通して頻繁に用いられ話題になったことは間違いない。男女を問わず、FIFA主催の世界大会で優勝した日本の代表チームはこれまでなかったのだから。

ちなみに、撫子とは日本に固有の花の名前であり、他方、なでしこという言葉は、美と力を併せ持つ日本女性を象徴する言葉としてしばしば用いられている。(後略)




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