女性専用車両反対派や痴漢冤罪厨は、いつになったら『男の敵は“男社会”』だと気がつくのか?

女を叩いても、長時間労働や男らしさの押し付け問題は解決しない。悪因は男性主体の競争社会。管理職の9割は勝ち組男。

クオーター制やクリティカルマスについて。朝日新聞より。

2018-08-20 23:35:16 | ジェンダー問題

 

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2017衆院選 みえ見聞録
女性と政治 考えた 学習会に記者参加
 
国際的に見て極端に女性議員が少ないと言われる日本。今回の衆院選でも県内の小選挙区に立候補した11人のうち女性は1人だけだ。女性比率の少なさと言えば、新聞記者だってそう。平成生まれの女性記者が、女性議員を増やそうと活動する市民団体の学習会に飛び入り参加した。
 
■2000年代 制度創造する立場 80年代「芽生え」→90年代「助走」
 「女性が変える政治」と題した学習会は衆院選が公示された後の週末、名張市で開かれた。
 女性11人が集まり、長机をロの字形に並べて囲んだ。ほとんどが現役の議員や研究者たちだ。記者も自己紹介し、「(圧倒的に男性が多い職場で)おじさんたちは私のことなんてわかってくれないな、という不満を感じつつ仕事しています」と心境を話すと、笑いながらうなずいてくれた。
 この日の講師は、三重大教授の岩本美砂子さん(60)。学生時代、「何で女性なのに政治学をやりたいの?」と言われながらも、女性と政治をテーマに研究を続けてきた先駆者だ。
 女性の政治参加はどのように進んできたのか。岩本さんは、記者が生まれる少し前、1980年代から歴史を説き起こした。
 80年代は「芽生え」の時期と位置づけることができるという。それまで1%程度にとどまっていた地方議会の女性議員の割合が上向き始めたからだ。
 その頃、中曽根内閣が進める行政改革の波が地方にも押し寄せていた。女性を中心とした市民運動は福祉や教育などの切り下げに反対。「だが、男性ばかりの首長や議員はまともに取り合わず、女性の中で『政治を男任せにはできない』という意識が広がっていきました」と岩本さん。
 国政にも大きな動きがあった。86年に主要政党で初の女性党首となる土井たか子・社会党委員長が誕生。89年の参院選では「マドンナブーム」が起き、女性の政治参加を後押しした。
 90年代は2000年代につながる「助走期間」だった。96年に成立した「母体保護法」は、当初の「母性保護法」から女性議員の働きかけで名称が変わった。政策の中身に女性の声を反映させることは難しかったものの、法律の名称変更や政治の方向性を作ることができる立場だったという。
 00年代以降は女性議員の割合がさらに増え、要職にも就くように。女性運動が法制定につながった01年の配偶者暴力防止法(DV防止法)ができ、松島みどり法相(当時)が検討会を発足させた性犯罪の厳罰化(17年)も実現。「目に見える形で、女性が制度を創造できるようになったのです」
 とはいえ、国会議員の数を見るとまだまだ少ない。列国議会同盟(IPU)の調査によると、日本の国会議員に占める女性の割合は193カ国中165位(9月1日時点)の低さだ。「日本は40年遅れている」と岩本さん。
 09年に衆院で11・3%に上った女性議員の比率も、12年には7・9%と後退している。「女性の望む政治に近づいていっているかというと
 
■介護保険制度 声反映しきれず 変革へ、まずは人数が必要
 日本が足踏みしている間に、各国はどんな取り組みを進めたのだろう。
 岩本さんが紹介したのは、候補者や議席の一定割合を女性に割り当てる「クオータ制」だ。世界108カ国で取り入れられているという。
 女性議員が一定数を占めることがなぜ、それほど大切なのか。岩本さんは「クリティカル・マス」という経済用語で説明した。
 商品やサービスの普及率が一気に跳ね上がるための分岐点となっている普及率のことで、16%を超えると急激に市場に定着するとされる。「大勢の男性の中に女性が1人や2人で15%を下回ると、男性に合わせるように同調圧力が働き、お飾りになってしまいます」
 政治の世界では、女性議員の割合の「30%」が女性の望む政治を実現するクリティカル・マスと考えられているという。「政治を変えるにはまずは人数が必要。30%を超えると、女性が男性に異なる立場を主張しやすいし、女性の中の異なる立場も代表できます」
 岩本さんは、社会問題には、女性の主張を反映しきれなかった制度の「成り立ち」が尾を引いているものもある、とも指摘する。
 例に挙げるのは00年に始まった介護保険制度だ。
 女性は介護の負担から解放されると歓迎したが、制度設計にまで入り込むことはできなかった、と岩本さんは解説する。
 中でも問題だったと岩本さんが指摘するのは、介護の報酬が主婦のパート代並みに設定されたことだ。「厚生労働省はあくまで『主婦の家庭内労働』と位置づけた。それまで介護を担ってきた女性の苦労を聞き入れず、誰にでもできる仕事であるかのような賃金設定をした。報酬が低すぎて離職が多いという今の問題につながっています」
■参加者の声は
 学習会の後半は、岩本さんの話を受けて、参加者が意見を交換した。
 「女性議員が増えるのはいいことだけど、現状では所属する政党の論理が優先しがち」と語ったのは、無所属で活動する地方議員。
 国会や地方議会の選挙で男女の候補者数を「均等」にするよう政党に努力を求める男女候補者均等法案は6月の国会で成立せず継続審議に。女性は法案を早く成立させてほしい、と意見書を議会に提出したが、政党所属の女性議員は会派の方針通り、反対に回ったという。「選挙の時は『女性目線で』と言っているのに、がっくりきた」
 大阪大学の大学院で女性問題を勉強しているという元橋利恵さん(30)は「女性の社会進出というと、他の人が意見を言っている時にそれを遮ってでも前に出るというイメージがある。でも、自分はそうはなりたくない」。女性のリーダーが各界に増えていくことで、ロールモデルができることを期待する。
 
〈取材後記〉
■女性議員増えれば…期待
 女性の政治家が増えたら本当に世の中が変わるの? そんな懐疑的な気持ちも抱きながら参加した学習会。ただ、岩本さんの話には思い当たる節があった。
 入社以来、周りは男性ばかりで常に「15%」以下の立場。最初は先輩の下ネタに聞こえないふりをしていたが、いつの間にか自分から笑うようになった。「女の子もいるのにごめんね」と気遣われるより気が楽だからだ。女性らしさを隠して仕事し、ずいぶん「男らしく」なったと思う。いわば、男社会に「同化」していたのかもしれない。
 女性が男性に同調せず、自分らしくいられるには一定の仲間が必要だということにもあらためて気づいた。女性議員が一定数まで増えていけば政策にも私たちの声が反映されていくのでは、という期待が持てた取材だった。(國方萌乃・27歳)
 

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