情報公開は民主主義の基本だ
情報を秘密にすることは、民主主義に反する。国民が主権者であるのだから、社会を構成するすべての成人が、その政治決定過程に関与する権利を有するのは当然のことである。
有権者から政策決定を委ねられた政治家から政策実施を委ねられた官僚は、いずれも委ねた人々の想定や期待に応えた行動をとらねばならない。政治家は国民に対して「説明責任(アカウンタビリティ)」が果たさねばならない。これが民主主義だ。日本は民主主義国家である。自民党政権は国民への説明責任(アカウンタビリティ)を果たさなければならない。情報公開は民主主義の基本だ。
「アベノマスク」単価開示求め大学教授が提訴 「政策の妥当性検証」 大阪地裁 毎日新聞デジタル版
新型コロナウイルス対策で国が全世帯に配った布マスクを巡り、納入業者との契約単価や発注枚数を開示しないのは違法だとして、上脇博之・神戸学院大教授が28日、国に開示などを求める訴えを大阪地裁に起こした。配布は安倍晋三前首相の肝いりで「アベノマスク」とも呼ばれたが、政策の効果や業者選定の不透明さが批判されてきた。上脇教授は「巨額の公金が使われた政策の妥当性を検証するために開示が必要だ」と訴えている。
訴状などによると、国は4月以降、マスク不足を解消するため、約260億円をかけて全世帯に2枚ずつマスクを配布。厚生労働省は同月、野党の質問に対し、マスクを納入した3業者の名前と業者ごとの契約額を明らかにしたが、マスクの単価や発注枚数は公表しなかった。
上脇教授は4~5月、業者選定の経緯や契約内容などが分かる文書の開示を厚労省などに請求。国は7~8月、契約書や見積書などの一部を開示したが、「今後の価格交渉に支障を及ぼすおそれがある」などとして、マスクの単価や発注枚数は開示しなかった。
上脇教授は訴状で、現在ではマスクが供給過多となっており、国が再び業者に大量のマスクを発注する可能性は低く、単価や枚数が明らかになっても不都合はないと主張。「発注方法や業者選定が適正だったかは国民の関心が高い」として、単価などの情報を開示しないのは違法だと指摘している。【藤河匠】
「アベノマスク」の単価は143円 黒塗り非公表の文書で黒塗りし忘れか
立岩陽一郎 | 「インファクト」編集長
巨額の税金を投入して1世帯に布製マスク2枚を配るというその政策が議論を呼んだ「アベノマスク」だが、一部の業者からのマスク1枚の価格が143円だったことが、政府が開示した文書で明らかになった。単価は非公表とされており全て黒塗りになっていたが、一部で塗り忘れが有ったと見られる。原告らは、価格を非公表にする理由は無くなったとしており、全面的な契約内容の開示を求める。
情報開示は神戸学院大の上脇博之教授が厚生労働省と文部科学省に対して行ったもので、8月27日に開示された文書では、マスクの単価は非公表とされ、該当する記述は全て黒塗りになっていた。
このため、上脇教授はきょう(9月28日)、大阪地方裁判所にマスクの単価の開示を求める訴えを起こすことにしているが、このうちの文部科学省が開示した文書に、「厚労省内に設置されているマスクチームから、業者との交渉により、単価が143円(税込み)になる連絡があり、4月17日に業者より見積書の提出があった」と記されていたことがわかった。
弁護団の谷真介弁護士が開示された文書を精査していて発見した。
文書には、「これに伴い、4月20日付けで変更契約を行うものである」とも書かれており、この契約におけるマスクの単価について文部科学省が厚生労働省に合わせて143円にしたことを伺わせる記述になっている。
一方で、文書では、マスクの総数や単価を示す部分が黒塗りになっているため、谷弁護士は、「黒塗りをし忘れたのではないか」と話している。
上脇教授と弁護団は143円が全てのマスクの価格なのか確認する必要が有るとしており、一部でも金額が明らかになった以上、国がマスクの単価を非公表にする理由は無くなったとして、裁判で全面的な契約内容の開示を求めることにしている。