ザ・サウンド オブ わんわん The sound of wan wan

ベルジアンシェパードグローネンダールのズースです。

犬のいる暮し

2009年05月21日 | 
犬のいる暮し (文春文庫)
中野 孝次
文藝春秋

このアイテムの詳細を見る


「ハラスのいた日々」の続編といえます。
ハラスの死後、5年間は犬を飼う気になれなかった著者が、2代目、3代目と犬を迎え、その3代目のメス柴には、子犬も産ませます。
老年にはいっての犬たちとの生活と考察がつづられています。
志賀直哉が犬好きで、「米」という名のイングリッシュセッターを飼っていたとか、谷崎潤一郎はグレーハウンドを飼っていたとか知りませんでした。
それにしても、柴犬への偏愛が徹底している著者、その上「かわいい」という言葉は若者的価値観で、未熟性と幼児性の賞賛にすぎないから好まない、「ポメ、マル、ヨーキー」の御三家犬への愛好がその象徴で嫌悪感が犬にまで及ぶとか、北国の橇犬のシベリアンハスキーを飼う人まで軽蔑するとか、昔流行ったスピッツは飼い主まで安っぽく見えたとか、はてはゴルフをする人が国賊だ、とか、いやはや相当の頑固じいさん、偏屈じいさんだなあ・・・とおかしくなりました。
でも、犬への愛情、犬との生活との喜びについての文章には、犬を飼っている人なら、深く共感し、うなづけることでしょう。
飼い犬の死は、「われわれの魂をくじくように作用する」という文にはまさにそうだったなあ、と思いました。
最終章の、老年が犬を飼う、ということへの考察もよかったです。
この偏屈じいさんの他の著作「清貧の思想」なども読みたくなりました。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿