1分で読める小さなお寺の法話集

子育て、人材育成に関する法話を実話と歴史から紐解いて書いております。

【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 亡父は拙僧が幼い頃から「見てわからんもんは、言うてもわからん。人は教えられても身に付かん。気付かにゃ身に付かん」と。

2024-03-09 10:06:44 | 法話

【3月10日投稿分】3月6日、X(旧Twitter)に投稿した法話の不足分追加。


今春、小学校に上がる幼稚園児(男の子)を持つ読者の母親から、3月5日(前回の法話投稿日)の夕刻に相談が。「住職の法話に『この子は、勉強だけは出来るんだが』という言葉と『指示をされないと動かない指示待ち人間』という言葉が。息子はそんな風になってもらいたくないので、親として、 何をどう気を付けていけばいいでしょうか」と。「前者も、後者も、昔から一定数はおりましたもんね。少し増加した様には感じますが。親が先走って、何でもかんでもしてやらない事ですかな。経験の裏付けがない知識者は、ただの『物知りさん』でしかない。ただの『物知りさん』では、実践の役には立ちませんもんね」と。


続けて、拙僧「わが寺の檀家さんで、年収十数億円の電気会社の社長さんがおられまして。その方が次の様な話を拙僧に。『有名大卒の新入社員を連れて現場に入った時、機械が倒れても突っ立ったまんまで動かないので、君、それ、起こしてくれんか、と頼むと、はい、と。倒れたが為に電線コードが。が、気付かず突っ立ったまんまなので、君、すまんがコードが抜けてるから、と言うと、はい、と。素直は素直だし、人間的にも上等(大らかで、優しいなど)なんだが、何せ、指示をされにゃ動かん。昔に比べ、機転の効く(気が効く)人間が減ったは、事実かな。他の社長さん達とも、この話はよくするんだよ、住職』と言われてましたよね。拙僧の父は偶に『見てわからんもんは、言うてもわからん。人は教えられても身に付かん。人は気付かにゃ身に付かん』と拙僧が幼い頃より、その様に注意をしてくれてました。拙僧が大学を卒業し、お寺の仕事に入ってからは『見てわからん者は、言うてもわからん。が、言うてやらんと、尚、わからん。言うてやる人間は嫌われる。だが、誰かがその嫌われ者にならにゃならん。お前が住職になった時には、その嫌われ者の役目をしろ』の言葉に変わりましたよね」と。


更に拙僧、この読者母親に「こうなったは、近年の教育環境が影響しているのかもしれませんね。小学校から高校まで、学校にいる時も、先生の指示の中で勉強を。家に帰っても、先生から指示された課題(宿題など)を勉強(先生の指示の中)。塾でも学校と同じ(先生の指示の中)様な流れ。ずっと先生の敷いたレール(指示)の上で、10年間も勉強を。そうなりゃ、自主性が身に付くはずがないですよね。大学でそれなりにバイト(苦学、社会経験)や、自主的に動かなければならないクラブ活動などをした学生なら、少しは指示待ち人間を回避出来てる様ですが、親の仕送りだけを、ただ待つだけの学生(ゲーム三昧学生、寝たきり学生、合コン学生など)は、輪を掛けて指示待ち人間に。拙僧の時代(40年以上前)においても、一定数はそんな学生がいましたもんね。『お前さ、少しくらいは、バイトでもしたらどうだ』と注意しても『仕送りが入るまで、我慢すればいいだけだから』と、全く体を動かそうとしない(社会経験をしようとしない)知人が何人も。あくまでも、拙僧がこれまでに相談を受けた、または、経験をしてきた狭い範疇での状況(印象)ですけどね。勿論、大半の人は卒業後、社会に揉まれて徐々に改善されていってる様ですが。しかし、中には、40代になっても、50代になっても、60代になっても、自主的に動かないままの人間も」と。


加えて、この読者母親に「今から30年程前(拙僧30代の頃)だったかな、福岡のある地方銀行頭取の講演に縁が。その時に頭取が話された話を拙僧、ある地方の商工会議所の講演で披露させてもらった事が。その話とは、その頭取さん曰く、この銀行では新入社員に数日間、只々掃除だけをさせると。掃除をさせたら、その人間が仕事が出来るか、機転が効くか、大体わかると。それを見て配属を決めると。ある年、その掃除期間中に超一流大を卒業した息子の母親が『こんな掃除をさせる為に、私の子供をこの銀行に入れた訳ではございません』と頭取室に血相変えて押し掛けて来たと。対し頭取さんが『それならば、あなたの息子さんが力を発揮出来る会社へ、お移りになられたら如何ですか』と即、母親と息子を追い返したと。胸がスッキリした話でしたが『まさかこの会場(拙僧が講演していた商工会議所)に、この銀行の人はいないでしょうね』と尋ねると、1人の男性が手を挙げて『住職さん、今でもわが銀行では、新入社員に数日間、掃除をさせておりますよ。掃除をさせれば、人間性までわかりますもんね』と。この話も面白いでしょ」と、この母親に。


最後に拙僧「社会人スタート時点で、1歩前に出ている人達がおりますが、しかし、親の七光や大学の名前が通じるは、最初のうちだけですよ。いつまでも仕事を覚えなくて、即戦力にならない若者に『君が出来るは、勉強だけか』と、会社から呆れられた人を何人も見てきました。今、こんな事を言うと『○ハラ』と叩かれるんでしょうが。確かに、親の七光君、有名大卒君などは、土俵に上がるまでは、恵まれているのかもしれませんが、1歩土俵に上がれば、相撲を取らにゃならんは、自分ですもんね。十両、前頭、小結、関脇と上がっていけるか、いけないかは、自分の努力次第。人前に姿を晒してくれている政治家2世さんや、芸能人2世さんを見れば、その事がよくわかります。親が如何に有名でも、子供本人が実力を付けなきゃ、その内、人は見限って、離れていきますもんな。案外にそんな肩書を持っている人達の方が、初めからハードルが高いから、苦しく、辛いのかもしれませんね。さて、この一連の話ですが、何かの参考になりましたら。あなただけではなく、こうした相談は拙僧、年に何度も受けますよ」と、この幼稚園児を持つ母親に。


因みに、余談ですが、家内の妹は英国人に嫁いで、ロンドンに25年住んでいますが、その息子達(現在22歳双子、日本語ベラベラ)が小学生の頃、日本に来た時に「英照(拙僧の事。向こうではファーストネームで呼び合う)、イギリスでは、過去に起こった戦争を議題に出して『どうすれば、この戦争を回避する事が出来たと思うか』のディスカッションを小学生にさせてるんだよ」と。これには、驚いた。日本では考えられない学習法なのでね。勉強法に『これ、正解』はないとは思いますが、こんなやり方もあるのか、と。


嘗て、教育委員会での講演で、参加して頂いた高校社会科の男性教諭に「何故、日本は、歴史の勉強を、令和、平成、昭和、大正、明治、江戸、の順に教えていかんのですかね。令和が現在こうなっとるは平成の、平成がこうなったは昭和の、昭和がこうなったは大正、明治の、と遡って教えていった方が、子供達にとっては大いに、将来の参考になると思うんですが。今更、竪穴式住居で暮らし、土偶を必要とする生活はないんだから。今の時代は知りませんが、拙僧の頃(40年以上前の中高時代)は、最も大事と思っていた昭和(近代)の授業を、学期末でバタバタと時間に追われて急ぎ足で。何となく『これって、違うんじゃないか』と思ってましたけどね。日本は、何ですか、『昭和の時代をじっくりと子供達に教えたくない』という特別な理由が、何かあるんですかね」と、その先生に申し出た事が。


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【追伸】尚「法話が長い」と不快感を示されておられる方々には、大変心苦しく申し訳ないので、拙僧の法話が目に入らない様に『ブロック』をさせてもらっております。楽しみにされている方々もおられますので、ご理解頂きまして、それでどうか、ご容赦くださいませ。


次回の投稿法話は、3月15日になります。






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