【12月20日投稿分】
昨日、檀家の家へ、今年納めの仏壇参りに伺うと、夫婦位牌(めおといはい)と夫婦骨壷(粉砕機で粉にして、夫婦一緒に1つの骨壷に)の話になりました。昨今は、この夫婦位牌と夫婦壺、これを望まれるご主人達が、ちらほらと出てきましたね。拙僧の法話の影響かいな。ところが、この話になると、どの家庭においても奥さんが「どうして死んでまで、こん人と一緒におらにゃならんの。真っ平ごめん被るわ」と。まあ、本心かどうかは別にして、一応、拒否反応をされます。いやはや、ご主人さん達、今日までにいったい何を、仕出かしてきたんでしょうな。まだ、取り返しの効きそうなご主人さん達は、急いで挽回をしなきゃ、残された時間は、結構に短かかですばい。
さて、そんなこんなで、この話が盛り上がっていた時、この家の40代奥さんが「住職さん、1つお願いがあるのですが」と切り出してきた。対し「何ですかいな」と拙僧。「別に、主人が嫌いだとか、主人の家の納骨場所に入りたくないとか、そういう訳じゃないのですが、もし、もしですよ、私の方が主人よりも先に旅立った時には、少しの間でいいですから、実家の父と母が眠る、実家の納骨場所に入れてもらうっていう、わがままは可能ですか」と。対し、拙僧「それは、勿論、可能だよ」と答えた後、ご主人の方に目を向けると「この人(家内)は、前からそれを望んでいて。まあ、どっちが先に逝くかはわかりませんけどね。仮に、私が先に逝ったとしても、その望みは叶えてあげたいかな、と。ただ、その時は期限を決めて、私の方(嫁ぎ先の納骨場所)に帰ってきてもらいたいですが。同じ屋根(納骨堂)の下とはいえ、住む部屋が違ったら、寂しいですもんね」と。対し拙僧「了解しました。ご主人が先に旅立たれた場合は、そうしましょうね。奥さんが先に立たれた場合は、少しの間とは言わず、ご主人が後から追ってくるまで、実家の納骨場所に父上と母上と共に、親子水入らずで居ればよか。そうしてあげましょうね」と。
続けて、拙僧「この件、了解しました、とは言いましたが、年齢的に拙僧の方があなた達夫婦より、10歳以上も年上だから『よし、心得た、任せい』と、責任を持って胸を叩く事が出来ないので、その事を後継する息子達に言っておきますよ。その息子達が万が一、その事を忘れていたらいかんので、君らの家の過去帳に、その旨の事を書き記しておくからね。人が亡くなれば、戒名を記す為に必ず、過去帳を開くから、決して忘れる事はないですから。過去帳ってね、その家の人が他界された時の重要事が、書き記してあるから、結構に面白いんだよ。所謂、過去帳は『〇〇家メモ帳』というところかな。その家の資料にもなるんだ。ところでね、奥さん、あなたのその要望ってね、あなただけが言ってきた訳じゃないんだよ。偶に頼まれる事がある。あの世に逝ったからとて、親子だもんね。そりゃ、遺骨になっても甘えたいだろうし、親元というは、落ち着けるわな」と。
最後に拙僧「生まれ里と嫁ぎ先が、同じ納骨堂でよかったね」と言うと、ご主人が思い出したかの様に拙僧に「あっ、住職、1つ大事な事を言い忘れてました。私が先でも、家内が先でも、2人共が旅立った時点で、2人の遺骨を一緒に粉砕機に掛けて粉にし、1つの骨壷に納めていただけませんか。以前、住職の法話でこの話を聞いた時『これだ。これしかない』と、その時点で決めておりましたので」と。対し拙僧「うんうん、いいよ、了解しました。過去帳にその旨の事も、一緒に書き添えておきますね。だけど、あなた達はまだ、40代なのに、この話はちいと、早うございませんかいな」「何言ってんですか。住職は法話の中で度々『明日の命を約束されている人間は、誰1人もいない。自分だけは死なんと思うとりゃせんか』と言ってるじゃないですか」「おっ、おっ、そうじゃった」と。
【余談】
先日、ある50代読者の男性から、拙僧にこの様な問い掛けが。「わが家の菩提寺(代々の先祖を供養、葬式をしてくれる寺院)の他に父(80代)は、長年お世話になった他宗のお寺がありまして。その寺院のご住職に父は『戒名を付けてもらいたい。菩提寺は〇〇宗だけど、どうしても〇〇宗の〇〇上人さんとのご縁を結んで、この世を去りたい』という思いを。これって、何か問題がありそうなんですが、どうですかね、住職(拙僧)さん」と。
対し、拙僧「他宗寺院のご住職に授けてもらった戒名でも、快く受け入れてくれるご住職(菩提寺)も中にはおられますが、大抵は難しいでしょうな。各々の寺院には、各々の規定(使用する漢字、料金)というものがございますからね。お父上が『どうしても』と言い張るのなら、菩提寺では、菩提寺のご住職に授けてもらった戒名で供養していただいて、そのお世話になった他宗寺院においては、その寺院のご住職に戒名を授けてもらい、その戒名で永代に供養して貰えば、それでよか」と。対し、その息子さんが「戒名が2つあるっていうのは、いいのですか」と。「歴史の中では、複数の戒名持ちは、結構におられるんだよ。その寺院、その寺院、とのご縁が、個人的にある人がおられるからね」と。
この拙僧の進言に対し、50代息子さんが「そうですか。じゃ、もう1つ。その場合、これからの子孫は、どの寺院を重視(授かった戒名)すればいいのですか」と。「そりゃ、当然、菩提寺です。他宗寺院はあくまでも、その他宗寺院と故人本人との関係(ご縁)だけの事ですので。その縁あった他宗寺院で未来永劫、供養をしてもらいたいという、故人本人の思いを子孫が受け入れた、というだけの話です」「なるほど、よくわかりました」と。
【付録】
拙僧はこれまでに、約10年間でSNSに3000話の長短法話、また、法話の本を3冊、世に出させて頂きました。そのご縁がきっかけとなり、テレビ(約半年、週1回)、ラジオ、新聞、雑誌などや、教育委員会、学校、幼稚園、病院、老人ホーム、デイサービス、町内会老人の集い、倫理法人会、他宗寺院、葬儀斎場、社員研修などへの講演(北九州在住の拙僧が、遠方では九州南部、関西、関東、北陸、東北まで。尚、檀家は千葉県にも)にも呼んで頂き、方々で法話交流を。あらゆる話とまでは言えませんが、様々なジャンルである程度(仏教仏事系の他にも、癒し系、漫談系、人生系、目から鱗系、子育て系など)の話が出来ると思いますので、何かのお役に立ちそうでしたら、時間調整の許す限り、集いの大小問わず(参加者数人でも)足を運ばせて頂きますので、お気軽に、facebook、X、Instagram のメール(コメント欄)で、お声を掛けてくださいませ。勿論、この様なお話でいいなら、でございますが。拙僧も今年で62歳です。父親の他界年齢を基準にすれば、あと僅かに10年。これより先の残された時間は、1人でも多くの人のお役に立てれば、との思いです。『今、自分に出来る事を、今やる』ですね。
下記で拙僧の過去の法話を読む事が出来ます。興味がございましたら、是非。
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拙僧が持つグループ「出会うは運命、出会ってからは努力、最後は感謝」
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【追伸】尚「法話が長い」と不快感を示されておられる方々には、大変心苦しく申し訳ないので、拙僧の法話が目に入らない様に『ブロック』をさせてもらっております。楽しみにされている方々もおられますので、ご理解頂きまして、それでどうか、ご容赦くださいませ。
次回の投稿法話は、12月25日になります。添付写真は、わが寺の納骨堂と永代堂。


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