立山モアイの多趣味ブログ

以前から色々な趣味があります。天文、釣り、園芸、DIY、その取り組みを紹介します。

美しい二重星アルビレオ(白鳥座のベータ星)

2015年05月07日 21時30分09秒 | 天文
天文ファンの間で、根強く人気を保っている天体があります。アルビレオという固有名で呼ばれる場合が多い恒星です。アルビレオは、はくちょうざ座の白鳥のクチバシの位置にある星で、そんなに明るい星ではないので肉眼で見て目立つわけではありません。ところが、このアルビレオを天体望遠鏡で拡大して観察すると、2個の星に分かれて見えるのです。肉眼で見て1個の星が、望遠鏡で拡大すると2個に分解して見える場合、これらの星は「2重星」と呼ばれます。ダブルスターです。つまり、2個の恒星が非常に近接して見えている場合、人間の肉眼では1個に重なって見えてしまう(分解できない)のに、望遠鏡だと2個に分かれて見える(分解できる)という原理です。二重星は、様々な星座に存在します。なかには3個に分かれて見える3重星や、4個に分かれて見える4重星もあります。例えば、おおぐま座のミザールは3重星、こと座のイプシロン星は4重星です。
さて、二重星に関しては続きの情報があります。二重星は、2つ重なって見える星ですが、たまたま夜空の同じ方向に2つの恒星が位置していて偶然重なっている場合(見える方向は同じだが恒星までの距離は全く違うのでお互いに関係ない星が偶然重なって見えるだけ)と、2つの恒星が同じ方向に重なって見えるだけではなくて実際にそれら2つの星が宇宙空間でも全く同じ距離に存在して実際に隣り合っている場合(見える方向も星までの距離も全く同じでお互いに関連のある星が同時に見えている)に、分かれます。そして、2つの星が宇宙空間でも隣り合って存在する場合は、(一部例外を除けば)その星同士はお互いの周囲を回り合っていることが多いです。このお互いの周りを回りあう2つの恒星を「2連星」と呼びます。2重星の中には、かなりの割合で2連星があります。2連星とは、2つの太陽がある恒星系であり、1つの太陽だけを持つ地球とはずいぶん違った環境です。そして、この記事で紹介しているアルビレオは、2重星であるものの、2連星なのかどうかはハッキリしていません。現在のところ偶然重なっているだけの通常の2重星であるとされています。ただ、2連星である可能性も捨てきれないのが現状のようです。
アルビレオは、美しい配色を持つ2重星としても有名です。画像をご覧下さい。水色とオレンジ色の対比の美しい2重星です。この美しさは、宮沢賢治の作品『銀河鉄道の夜』でも「サファイア」と「トパーズ」という宝石の色になぞらえて記述されています。
なお、アルビレオは固有名で、正式な名称は「はくちょう座ベータ星」です。よく、望遠鏡でアルビレオを紹介していると、「水色とオレンジ色の2つの星がありますが、どっちがアルビレオなんですか?」という質問を受けます。答えとしては、「両方ともアルビレオです。2つ合わせてアルビレオです」という説明をしています。アルビレオを始めとする2重星は、肉眼で見ると1個の星にしか見えません。つまり、1個の星に対してアルビレオという名前が付いているので、望遠鏡で分解して2個に分かれたからといって、それら2個に別々の名前があるわけではないのです。

※この記事の画像に使用したアルビレオの画像は、自分で撮影したものです。自宅前で、セレストロンC8望遠鏡を使用し、デジタルカメラQV-3500EXで撮影しました。撮影後に画像処理を行いましたが、色情報はいじっていません。天体の持つ配色を尊重して処理しました。
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