Dr. 讃井の集中治療のススメ

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"SICU Pearls 外科ICUで困った時に開く本" 刊行になりました

2011-11-21 18:12:17 | 集中治療

SICU Pearls 外科ICUで困った時に開く本(中外医学社)刊行になりました。

 

http://www.amazon.co.jp/SICU-Pearls-外科ICUで困った時に開く本-讃井-將満/dp/4498050428/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1321751614&sr=8-1

 

https://www.chugaiigaku.jp/modules/shop/index.php?main_page=product_info&cPath=42_12&products_id=1207

 

SICU(Surgical ICU:外科ICU)のベッドサイドにあったらいい本を、と考えて作りました。

第一章は、SICU患者の診かたについて、予定入室、緊急入室、毎朝の回診にわけて、そのポイントを解説しています。

第二章は、“図表で見るSICU診療のチェックポイント”です。この章は「とりあえずの診療ができる最低限の知識」が直感的に目に飛び込んできて、「アタマの中に残像は残っているが覚えていない数字、表、図」が “本を開けばそこに載っている” ことを目標にしました。

第三章は、“SICU管理各論”。体裁は既存の書籍と大きな違いはないと思いますが、一般外科、心臓血管外科、脳外科、整形外科、泌尿器科、産科、外傷に至るまで、各科専門医に診療のエッセンスを列挙していただきました。

第四章は、“Trouble Shooting"。読んで“得したー”と思う章にしたいと思いました。SICUにおける典型的なトラブルシューティングについてコーヒーブレイク風に記載していただきました。

通読していただいてももちろん嬉しいですが、どちらかと言えばその場しのぎ的に "困った時に開き" 、困っていない(時間的余裕のある)時に元文献にさかのぼって勉強する、という使い方がこの本の生きる道と思います(注1)。

ご評価、ご批評、お願いします。

最後になりましたが、執筆していただいた先生がた、ご協力いただいた出版社のみなさん、共同編集の松浦先生、ありがとうございました。度重なるご修正のお願いや刊行が遅くなったことをお詫び申し上げます。

 

以下、さっそく受けた質問。

Q1:SICUって何ですか?

A:外科(surgical)ICUのことです。日本では比較的この用語は馴染みがないかもしれませんが、米国ではSICUやみなさんご存知

循環器内科(CCU)

新生児(NICU)

脳卒中(SCU)

以外にも

内科(medical: MICU)

心臓血管外科(cardiothoracicまたはcardiovascular: CTICUまたはCSICU)

脳外科(neurosurgical: NSICU)

外傷(trauma: TICU)

小児(pediatric: PICU)

など比較的分化が進んでいます(注2)。

 

Q2:pearlsって何ですか?

A:clinical pearls(臨床の真珠)のことで、「臨床医の知識と経験に裏打ちされた、現場での診断・治療に役立つ「格言」のようなもの」(注3)です。本著では、clinical pearlsがいかにも格言のような格好で明記されているわけではありませんが、その気になって読むと第一章、第三章、第四章には多数のSICU pearlsが隠されていると感じるはずです。「格言」は先達から伝えられるものばかりではなく、個人、施設で作っていくものでもあると思います。是非、 “SICU Pearls 外科ICUで困った時に開く本”をヒントに、生きたmy (our) clinical pearlsを作っていただければと思います。

 

以下、注です。

注1:参照文献にさかのぼりやすいように、文献情報をできるだけ同一ページ内に記載しました。

注2:それに比べて日本、豪州などは比較的混合ICUが多いようです。患者管理の立場からすると分化されたICUの方がやりやすいと思いますが、重症患者の総合医であるintensivistの立場からすると混合ICUの方がおもしろい?

注3:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1424645579