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税制メールマガジン 第57号              2008/11/7

2008年11月07日 | 税制メルマガ
税制メールマガジン 第57号              2008/11/7

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◆ 目次
1 巻頭言
2 税制をめぐる最近の動き
3 主税局職員コラム~消費税と私~
4 元主税局員コラム 「税を考える週間」~IT化・国際化と税~
5 諸外国における税制の動き~税制を通じて感じるドイツ~
6 編集後記

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1 巻頭言
 
 10月30日に新しい総合経済対策「生活対策」が政府・与党で決定さ
れました。
 この「生活対策」では、現下の金融経済情勢を踏まえ、国民生活と日本
経済を守る観点から、
(1)生活者の暮らしの安心
(2)金融・経済の安定強化
(3)地方の底力の発揮
を重点分野として、セーフティネットの強化や自律的な内需主導型経済成
長への移行を図るために必要な施策をとりまとめています。

 税制関連では、一つには、家計の緊急支援のために、総額2兆円を限度
とする生活支援定額給付金(仮称)を実施することとしています。これに
ついては、特別減税及びこれに関連する臨時福祉特別給付金を実施するこ
ととしていましたが、家計への緊急支援としての効果をより迅速に実現し、
かつ、低所得者の方にも広く公平に行き渡ることができるよう、給付方式
としたものです。現在、その実施方法等について検討を急いでいます。
 このほか、自律的な内需拡大による経済成長に資するものとして、住宅
ローン減税の延長・拡充、省エネ・新エネ設備等の投資促進税制、中小企
業に対する軽減税率の時限的引下げ等の中小企業対策の税制措置などを行
います。

 今回の「生活対策」の規模は、国費ベースで5.0兆円程度、事業費ベ
ースで26.9兆円程度となっています。その財源については、赤字国債
に依存しないこととし、そのための特例措置として財政投融資特別会計の
金利変動準備金の活用等を行います。
 他方、日本の財政は大きな赤字を抱えており、今後、高齢化に伴って社
会保障給付は増大を続けます。今回の「生活対策」では、足元の景気回復
を最優先にして各般の施策を時限的に行いつつ、同時に、経済状況が好転
した後に、安心な社会保障のため、社会保障の安定的な財源を確保するた
めの税制抜本改革の道筋(「中期プログラム」)を年末に策定することと
しています。この中で、消費税のみならず、所得、消費、資産にわたる各
税目について、「税制抜本改革の全体像」もお示しする予定です。

【参考】首相官邸ホームページ
○「生活対策」について(概要)
http://www.kantei.go.jp/jp/keizai/images/gaiyou.pdf
○ 生活対策
http://www.kantei.go.jp/jp/keizai/images/taisaku.pdf

                  主税局総務課企画官 宇波 弘貴

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2 税制をめぐる最近の動き
 
(1)日本とパキスタンとの間で新しい租税条約が発効します。
・概要は、下記URLにてご覧いただけます。
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/sy201010pa.htm

(2)日本とサウジアラビア王国との間で租税条約の締結交渉を開始します。
・概要は、下記URLにてご覧いただけます。
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/sy201022sa.htm

(3)日本とオーストラリアとの間で新しい租税条約が発効します。
・概要は、下記URLにてご覧いただけます。
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/sy201104au.htm

(4)日本とフィリピンとの間で租税条約(改正議定書)が発効します。
・概要は、下記URLにてご覧いただけます。
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/sy201105fi.htm

(5)『税を考える週間』が始まります。
 国税庁では、毎年11月11日~17日を「税を考える週間」とし、国
民の皆様に税の意義・役割について能動的に考えていただくとともに、税
務行政への理解を深めていただくため、さまざまな広報広聴活動を行って
います。
 財務省主税局もこの時期に合わせ、税の意義・役割や財政・税制の現状、
税制改革に向けた基本的考え方などを紹介した新しいパンフレット「税制
について考えてみよう」を作成し、全国各地で配付することとしています。
ホームページにも、このパンフレットを掲載していますので、是非ご一読
いただければと思います。

・国税庁ホームページ「税を考える週間」特集ページ
http://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/week/index.html

・新パンフレット「税制について考えてみよう」
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/pn01.htm

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3 主税局職員コラム~消費税と私~

~消費税との出会い~
 思えば、学生生活最後の年度に入った初日(平成元年4月1日)に、私
の懐に新たに課せられた税金、それが消費税でした。未熟な一学生にとり
まして、現代社会で生活していく以上誰もが行っている「消費」という行
為を対象として課税するという新税の発想は新鮮でした。この日から、例
外なく自分も消費税を負担することになったのですが、3%という税率で
消費に広く薄く負担を求めるこの税を通じて、学校で学んだ国民の三大義
務の一つである納税の義務をより身近に体験することとなったのです。

~消費税のこれまで、そしてこれから~
 学生の時に導入された消費税でしたが、平成9年の税率の引上げ(3%
→5%)もあり、今や国の税収の約20%を占める基幹的な税目として、
重要な役割を担うに至っています。
消費税は、経済の動向や人口構成の変化に左右されにくく、財貨・サー
ビスの消費に広く等しく負担を求める性格から、勤労世代など特定の者へ
の負担が集中せず、その簡素な仕組みとも相まって、貯蓄や投資を含む経
済活動に与える歪みが小さいという特徴を持っています。
このため、平成19年11月の政府税調答申でも、「税制における社会
保障財源の中核を担うにふさわしい」と謳われているように、極めて重要
な税目に位置付けられています。

 このように、我が国の基幹税として定着した消費税ですが、国民の皆さ
んにご負担いただく以上、その制度が、信頼性・透明性の高いものでなけ
ればならないことは当然のことです。
 消費税には、その導入時点では中小事業者に対するいくつかの特例措置
が設けられていました。これらの措置は、その対象となる方々の事務負担
の軽減など、当時においては相応の理由があって設けられたものでしたが、
一方で、消費税制度の公平性・透明性の観点から議論があったことも事実
でした。その後、これらの特例措置については、消費税の導入時からの時
間の経過に伴って、制度の定着状況や実務の実態を踏まえながら、累次の
見直しが行われてきています。その結果、現在では、消費税制度の信頼性・
透明性は相当程度向上しているものと考えられますが、今後、消費税に期
待される役割を十分に果たしていく上では、その信頼性・透明性を高める
ため、引き続き、一層の取り組みが求められるのだと思います。

              主税局税制第二課主税企画官 菅家 秀人

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4 元主税局員コラム 「税を考える週間」~IT化・国際化と税~
   
 先日、国税庁広報キャンペーンキャラクターであり、女優でピアニスト
の松下奈緒さんが国税庁を訪問され、「e-Tax普及のお手伝いをした
い」と語られました。この模様は、新聞記事やテレビのニュースでとりあ
げられましたので、ご覧になった方も多いかもしれません。

 毎年11月11日から17日は「税を考える週間」です。国民の皆様に
税の意義や役割についてより能動的に考えていただくとともに、税務行政
への理解を深めていただくため、国税庁ホームページを中心とした広報広
聴活動を行っていきます。

 今年のテーマは、「IT化・国際化と税」。国税庁の取組についてご紹
介するとともに、IT化施策の利用を促進していくこととしています(詳
しくは、国税庁ホームページの「税を考える週間」特集ページをご覧くだ
さい。)。

 国税庁のIT化施策としては、e-Taxをはじめ、ホームページで確
定申告書が作成できる「確定申告書等作成コーナー」、タックスアンサー
(税に関するQ&A)、インターネット公売など、いろいろあります
(「税を考える週間」では、講演会など各種施策を行いますが、私も広報
第一係長という役職上、一番率先して広報しなければならないような気が
しまして、IT化施策の一環(?)として、11月のマラソン大会で
e-TaxをPRしようと考えたのですが、練習で膝を故障してしまいま
した。国税庁のITは故障しないとよいのですが・・・。)。

 これらのIT施策の入口となるのは、国税庁ホームページです。
 国税庁ホームページは、1.税の情報を提供する機能、2.納税者サー
ビスの窓口としての機能、3.納税者の皆様からご意見をお聴きする窓口
としての機能、を持っており、いわば一つの税務署が存在しているような
ものです。
 昨年のアクセス数は1億件を超えているため、このホームページは「最
も小さく、しかし最も来訪者数が多い525番目の税務署である」と言っ
ても過言ではないでしょう(全国の税務署数は524です。)。

 実は、私は、約5年前に国税庁ホームページを担当していたことがあり
ます。当時は、古い通達を遡って全て掲載するなど膨大な事務を抱えてい
たため、季節によって変えるはずのトップページの窓内の画像が、夏にな
っても満開の桜、秋になっても海辺のリゾートなど、季節外れになってい
たこともありました・・・。
 また、掲載ルールを細部まで定めたものがなかったため、「これは○○
のため重要。何とかこれを目立つよう一番上に(しかも大きく)載せて」
など、各課の要望に応えているうちに、トップページの構成にまとまりが
なくなってきました。

 今では、皆様が利用しやすいよう、作成したガイドラインに沿ってホー
ムページを運営しています。原則としてどのページへ行っても共通のフォ
ーマットが用いられ、所得税、消費税など税目別のページ、個人向け又は
法人向けのページ、税理士向けのページなど、区分別のページを設けてい
ます。
 19年度には、全国12の国税局(所)ごとにあったホームページを国
税庁ホームページ内に移し、一つのコーナーとしました。
 さらに、どなたにも容易に利用していただけるよう、検索機能や案内機
能の向上を図るとともに、文字の拡大・音声読み上げ機能など、視覚に障
害のある方や高齢者の方の利便性にも配意しています。
 今後も、更なる内容の充実を図り、皆様が使いやすいホームページとな
るよう努力してまいりますので、ぜひ国税庁ホームページもご利用いただ
ければ幸いです。
 
(国税庁は、ホームページの新着情報とメールマガジンの配信サービスを
行っています。税制メルマガご愛読の皆様も、併せて御愛読をいただけれ
ば幸いです。)

国税庁ホームページはこちら
http://www.nta.go.jp
新着情報・メールマガジンの登録はこちら
http://www.nta.go.jp/merumaga/index.htm

         国税庁広報第一係長(前主税局広報係長) 石井 貴

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5 諸外国における税制の動き~税制を通じて感じるドイツ~

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相。最近、ドイツの金融機関、ヒポ・リ
アル・エステートへの500億ユーロの融資決定や、預金全額保護の発言
から彼女がニュースで取り上げられることも多く、よく目にする名前です。

 2005年11月、彼女はドイツにおける初の女性首相となり、200
7年1月からの付加価値税率の引き上げ(16→19%)、2008年1
月からの法人税率の引き下げ(25→15%)など、大きな税制改革を次
々と成し遂げています。そんな彼女の出身地が旧東ドイツ地域であること
を、そして現在のドイツにはドイツ統一にまつわる税があることを皆様ご
存知でしょうか。

 ドイツといえば、ベルリンの壁崩壊を経て1990年10月に東西ドイ
ツが統一されたことはあまりにも有名です。そしてドイツ統一後、東ドイ
ツ諸州に対する支出の増大等に伴う財源措置として、1991年に導入さ
れたのが「連帯付加税(Solidaritätszuschlag)」です。
付加税というだけあって、所得税額、法人税額に応じてその税額が決定し、
その税率は最高で5.5%となっています。本来は1991年のみの時限的
措置としての導入でしたが、1995年に恒久的措置として再導入されました。
税収すべてが連邦に帰属する連邦税であり、その税収は約100億ユーロ、
全税収に占める割合は06年で約2.3%となっています(ちなみに、日本
において全税収に占める割合が同程度の税目としては、相続税や酒税
(08年度予算で約2.8%)があります)。

 このように、「連帯付加税」は東西ドイツ統一を経た現在のドイツなら
ではの税目であることがお分かりいただけると思います。一見、難しそう
に見える税制。しかしその中には、その国の歴史や文化、大きく言えば価
値観が反映されたものがあるということに、ちょっとした驚きを感じます。

 さて、今月11日から17日までは「税を考える週間」です。秋も深ま
り、夜が長くなった今日この頃、税制を通じて日本の歴史や文化、価値観
に想いをはせてみるのも良いかもしれません。

                     主税局調査課 林 ひとみ

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6 編集後記

 税制メールマガジン第57号を発行させていただきます。
 今回は、11月11日から17日までの「税を考える週間」に合わせ、
記事の内容もこれまでと若干テイストの異なるものとなりました。如何で
したでしょうか。
 この「税を考える週間」にあわせて、財務省主税局では、税制に関する
パンフレットを毎年度作成しています。今年度からは、「税制について考
えてみよう」というタイトルに変わり、内容、デザインとも一新いたしま
した。新しい犬のキャラクター「たっくす君」が、日本の税制について分
かりやすく解説してくれています。パンフレットの作成作業を通じて、税
制について、簡潔にかつ分かりやすくお伝えすることの難しさに悩む日々
が続きましたが、税制と日本の財政の全体像について自分でも勉強しなが
ら作業を行うことができました。結果として、新しいパンフレットは、こ
れまでよりもより親しみやすいものに出来たのではないかと考えています。
 新しいパンフレットは、全国の税務署などで配布しているほか、財務省
の税制ホームページから印刷用データを入手できるようになっています。
是非お手に取って頂き、ご一読頂ければ大変嬉しく思います。
 次回は、11月下旬に配信予定です。是非、お楽しみに。

新パンフレット「税制について考えてみよう」はこちら
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/pn01.htm
                             (和田)

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ご意見募集のコーナー

政府税制調査会では、今後の審議の参考にさせていただくため、広く国民
の皆様から、ご意見を募集しております。

http://www.cao.go.jp/zeicho/iken/iken.html

当メールマガジンについてのご意見、ご感想はこちらへお願いします。

mailto:mg_tax@mof.go.jp

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